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準備できてる!?4月1日より税込表示の完全義務化がスタート

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消費税における総額表示(価格の税込表示)の移行期間の特例が2021年3月末に失効され、4月1日より、いよいよ総額表示の完全義務化がスタートします。そもそも「総額表示って何?」という方は要注意です!未対応のお店は、総額表示義務の目的や、飲食店における総額表示の注意点を確認しましょう。
 
▷消費税の総額表示義務とは?
総額表示とは、商品値札やPOP、広告などの価格表記において、あらかじめ消費税を加算した価格を表示することをいいます。義務付けの対象は消費税課税事業者で、財務省や国税庁は、4月1日からの完全義務化にあたり、対象事業者に対して総額表示の対応を呼びかけています。
 
▷総額表示義務の目的
総額表示は、消費者が一目で価格や価格の合計額がわかるようにすることが目的です。これは、税抜き価格表示だと、消費者が実際にレジで請求されるまで支払う金額が分かりにくいことや、税抜きと税込み表示が混在すると価格の比較がしづらい、といった状況を解消するために統一化されます。
 
▷総額表示義務の対象物は?
総額表示義務の対象物は、「事業者が不特定かつ多数の者に販売する商品等の価格表示」で、店頭の看板やWeb、チラシ、新聞、テレビの広告など、全ての媒体で対象となるので注意が必要です。飲食店であればメニューブックは勿論のこと、看板や手書きの黒板までも対象となります。
 
「生ビール 380円!」「ハンバーグ定食 1000円!」など、特定の商品をウリとして看板などに大々的に表記している場合も、これが税抜き価格であれば、差し替えが必要になってしまいます。差し替えにあたり、制作や設置に時間やコストを要しますので、改めて自社、自店の表記を早急に確認すべきでしょう。
 
▷正しい価格表示を確認する
では、正しい価格表示と間違った価格表示をここでもう一度確認してみましょう。
 
◯ 正しい表示の例
生ビール 638円
生ビール 638円(税込)
生ビール 638円(うち税58円)
生ビール 638円(税抜580円)
生ビール 580円(税込638円)
生ビール 638円(税抜580円・税58円)
 
× 間違った表示の例
生ビール 580円(税抜)
生ビール 580円(本体価格)
生ビール 580円+税
 
× 表示の混在もNG
ハイボール 380円+税
生ビール 638円(税込)
 
ポイントは消費者が「一目で分かること」です。これまでの様に税抜き価格を表示すること自体は問題ないのですが、あわせて税込み価格を必ず表示しなくてはいけません。また、一方は税抜き、もう一方は税込みのような表示は混乱を招くので認められていません。
 
▷テイクアウトはどうすれば良い?
コロナ禍でテイクアウトやデリバリーをスタートした飲食店も注意が必要です。テイクアウト・デリバリーでは8%の消費税となりますが、こちらも同様に「価格表示が一目で分かること」が求められます。イートイン商品(消費税10%)とテイクアウト商品(8%)に価格差があれば両方の表示が必要となります。
 
一部の大手チェーンなどでは、客の混乱を避けるためにテイクアウトもイートインも同一価格で提供しているケースも多く存在していますが、今一度自店の価格設定の方針を確認しておきましょう。
 
▷これを機に価格の見直しも必要?
「会計オペレーションが簡単」ということで、ランチタイムは税込み価格を採用していて、ディナータイムは税抜き価格を採用している、という飲食店も多いと思います。また、居酒屋業態などでは、ディナータイムの単品メニュー表示を税抜きにすることで割安感を演出し、「注文数を増やすことで客単価を稼ぐ」売り方をしているビジネスモデルも多く存在しています。特に後者では、これまでは「冷奴 299円(税抜)」と表示出来たものが「冷奴 328円(税込)」と表示しなくてはならないので、利用者は割高感を感じてしまい、結果として、注文数が減ってしまう恐れもあります。このようなビジネスモデルの業態では、これを機会にメニュー価格を見直しする必要があるかもしれません。
 
いずれにしましても、残り1ヶ月。未対応のお店は、大手チェーン店の動向などにも注視しながら自社、自店の方針を早急に固める必要があるでしょう。
 
消費税の総額表示義務と転嫁対策に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/210107leaflet_sougaku.pdf
 
川瀬 亮太 飲食店経営/プロデュース ROOTage(株)代表取締役
 

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