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低価格居酒屋に加盟、独自に業態を開発し、さらに新業態で展望を拓く

いま、東京の居酒屋市場で「Z世代に人気」というブランドが急速に台頭してきている。
これらの主要なところを挙げると、「とりいちず」(FS.shake)、「鶏ヤロー」(鶏ヤロー)、「おすすめ屋」(おすすめ屋)、「テルマエ」(BIRCH)、「均タロー」(ジュネストリー)となる。
それぞれの特徴はさまざまだが、共通しているポイントは、「ドリンクがひたすら安い」こと。ビール、ハイボールが200円以下である。そして、客単価は2000円あたり。客層は見事に20代であるこれらのお店のメニュー構成や価格を見ていて、これらの顧客は、お店で食事をすること以上に「コミュニケーションを深める」ことを目的としているようだ。
今回は、この中の一つ「均タロー」を展開しているジェネストリー(本社/東京都大田区、代表/東明遼〈りょう〉)のことを紹介しよう。
ジュネストリー代表の東明遼氏は1994年3月生まれの31歳。「均タロー」の1号店は、2022年7月、東京下北沢にオープンした。以来、東京を中心に16店舗(うちFC4店舗)を展開している。
商売の安定を考えて「鶏ヤロー」に加盟する
「ジュネストリー」という社名は、フランス語「若さ」「青春」を意味する「ジュネス」と、英語の「ストーリー」を組み合わせた造語で、「若者の物語」という意味が込められているという。
さて、同社代表の東明遼氏が飲食業に就くようになったのは、高校生の当時のアルバイトから。母が外食企業の焼鳥店でランチタイムのパートタイマーをしていて、お店から「お宅の息子さんにも手伝ってほしい」と誘われたことがきっかけだった。そこで、東明氏の兄がディナータイムのアルバイトを行い、東明氏もそれに続いた。
高校を卒業する段になって、東明氏がお店の店長に「社員になりたい」と申し出たところ、社員になった。そして、22歳まで同社に勤務をして、店長も経験した。この間、こつこつと600万円を貯金し、これを開業資金に充てて独立開業した。
最初のお店は、JR鶴見駅から徒歩10分の場所。ここに「100円焼鳥」の居酒屋を開業した。その1年後、駅近くで商売をしたくなり、京急平和台駅から徒歩30秒の場所に、「もつ焼き」のお店を構えた。9坪で家賃が30万円だった。「平和島にもつ焼きのお店がない」ということから選んだこの業種であったが、東明氏のお店のすぐ近くに、もつ焼きの低価格チェーンがオープンした。東明氏のお店のもつ焼きは1本150円だったが、こちらのお店は80円。東明氏のお店には際立つ特徴がない。そこで「居酒屋のFCの加盟店になろうか」と考え、いろいろと調べるようになった。
一般的な居酒屋FCの加盟金は300万円で、同時の東明氏にとって、これでは加盟に踏み込むことが出来ない。「加盟金50円、ロイヤリティ50円(当時)」というFC本部を見つけた。それが、「均タロー」の原点となる「鶏ヤロー」。そして、同社のホームページに書き込まれている同社代表、和田成司氏のメッセージはとても熱かった。
【東明社長は、「鶏ヤロー」と出会ってから独自の業態開発を行うようになった】
同チェーンの加盟金とロイヤリティを見て「どんなところでマネタイズをしているか不安だった」と言うが、問い合わせをした翌日に、担当の人がいろいろと説明をしてくれて、「なるほど」と。そこで、「鶏ヤロー」に加盟した。
「鶏ヤロー」の1号店がオープンしたのは2014年。東武スカイツリーラインの松原団地駅近く。ここには獨協大学があり、「ドリンク全品99円」を筆頭にした低価格路線は、学生たちによく受けた。客単価2000円で定着していった。
「鶏ヤロー」に学び、独自業態「均タロー」が誕生
ジュネストリーが「鶏ヤロー」に加盟して、同社の「鶏ヤロー」1号店をオープンしたのは蒲田店。2019年で東明氏は25歳であった。そして、コロナになるまで3店舗に増やした。
コロナになってから、「鶏ヤロー」は出店ペースを上げていった。ジュネストリーが加盟した当時は10店舗足らずであったが、コロナが落ち着いた2023年あたりには60店舗を越えた(2025年6月には、100店舗超え)。
ジュネストリーでは、創業の鶴見のお店を後輩に譲り、平和島のお店は閉店した。コロナの中で、同社がオープンした「鶏ヤロー」は、練馬店と下北沢店。これで「鶏ヤロー」は5店舗になり、社内では「そろそろ直営やりましょうよ」という気運になっていった。
こうして生まれた、同社オリジナル業態の構想は、このような内容。
まず「鳥貴族」のイメージがあって、それよりちょっと低い料金均一であれば、新参の業態でも十分に戦うことができるのではないか、と。そして、「鶏ヤロー」ではお通し代をいただくが、このお店ではいただかない。そして、グルメサイトの人と相談している中で、「食べ飲み放題があると、予約を取りやすい」という。そこで、「食べ飲み放題」2980円(税込)を入れた。
店名は、「均タロー」とした。この業態の構想を「鶏ヤロー」代表の和田氏に説明して理解いただいて、そこから「均タロー」の物件を探した。
そして、ジュネストリーが既に「鶏ヤロー」営業している下北沢に物件が上がった。そこで、「鶏ヤロー」と「均タロー」がカニバルことがなければ、業態として成立すると考え、この同じ下北沢で、「鶏ヤロー」に「均タロー」が対抗する形で出店した。2022年7月のことである。この「均タロー」は24坪60席で月商600万円くらい。翌23年3月大宮に70~80席の「均タロー」をオープンした。ここは1000万円あたりを売るようになった。
【「均タロー」2号店の大宮店の看板。低価格の訴求が分かりやすい】
「均タロー」が走り出した当時の客単価は、「鶏ヤロー」と同じ2000円であった。それが、「均タロー」はお通しがないということで「0次会」(「軽く一杯」の動機)や、夜遅くや深夜のお客様にとってご利用しやすい。そして、2980円の「食べ飲み放題」が認知されることによって、客単価は上がる傾向を見せていき、いま2400円あたりになっている。
【「均タロー」のお客は、見事に20代ばかり、お客同士の声が大きくにぎやか】
客単価3400円の業態で、ドミナント展開を画策する
ジュネストリーでは2025年10月、千葉・柏駅から徒歩10分の場所に、同社の新業態となる「魚えもん」をオープンした。この物件より100m離れたところに「鶏ヤロー」本部の「鶏ヤロー」がある。そこで東明氏は、「ここで新しいことをやってみよう」と構想を練った。
【「魚えもん」柏店の店頭。100m離れた場所に「鶏ヤロー」本部のお店がある】
ひらめいたことは「均一価格」で、「魚」にチャレンジすること。鳥貴族の、かつて「280円」の当時、この価格に対して魚で戦うことは無理であったが、現在の鳥貴族は「390円」である。「これだと弊社が『魚の均一価格』で挑戦しても十分に戦うことができるのでは」と。そこで、刺身を「439円」の均一価格にした。
柏の「魚えもん」は50坪の店で、初月に1300万円を売った。それは、初月の土日のランチタイムに20万円。ディナータイムに30万円を売ったことが、これらの基礎となった。想定した客単価は3000円であったが、いまは3400円となっている。
東明氏はこう語る。
「僕は低価格業態をやってきて、限界を感じるようになりました。できたら値上げをしたい。それができないのであれば、弊社の中に別軸を設けるべきだと。それが『魚えもん』となって、良い営業をしています」
【こちらが1皿439円の刺身。1皿50gのポーションで食べ応えがある】
そして、この2月5日、JR新橋駅の近く、徒歩5分の場所に「魚えもん」の2号店をオープンした。地下に50坪の規模で、個室を3室設けている。これからは勤め人や、法人の利用でにぎわうことが予想される。
同社は「鶏ヤロー」と加盟店として、低価格業態の仕組みを学び、「2980円食べ飲み放題」を備えたオリジナル業態「均タロー」でワンランク上の領域を切り拓き、さらに「魚えもん」で低価格に流されない、足腰の強いオリジナル業態をつくり上げた。これからは「均タロー」と「魚えもん」を同一の場所に出店できる。
ジェネストリーは「Z世代に人気」と累計づけられている中で、このように、独自の路線を歩み出している。
千葉哲幸(ちば てつゆき)
フードフォーラム代表 フードサービス・ジャーナリスト
柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しく最新の動向も追求している。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。
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