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食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い|資格要件やメリット・注意点を解説

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食品衛生責任者と食品衛生管理者は、どちらも食品の衛生管理を徹底するために必要な資格です。飲食店を運営する際にも必要なため、事前に概要を把握しておきましょう。この記事では、それぞれの資格の違いやメリット、注意点などを解説します。法律に違反した場合の罰則も解説するため、ぜひ参考にしてください。

 


 

◆食品衛生責任者と食品衛生管理者の違い

食品衛生責任者と食品衛生管理者は、扱う食品と認定機関が異なります。食品衛生責任者の資格で扱える食品は、店舗や工場などで製造・販売されます。資格を認定するのは都道府県です。
 
食品衛生管理者は、ハム・マーガリンなどの添加物や、食品衛生法で定められた特定の食品を扱えます。資格を認定する機関は、厚生労働省です。食品衛生管理者は国家資格であるため、食品衛生責任者より上位の資格です。
 

◆食品衛生責任者とは

食品衛生責任者とは、施設の衛生管理の業務に必要な資格です。食中毒を予防するため、購入から調理、提供までに責任をもち、営業者の指示に従って食品衛生の管理や運営を行います。飲食店を開業する際、施設もしくはその部門ごとに、資格保持者を1人以上置くことが義務化されています。
 

◇資格要件

食品衛生責任者は、以下の資格を所持する必要があります。
 
1.医師・歯科医師・薬剤師・獣医師もしくは、学校教育法に基づく大学で医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修めて卒業した者等
2.栄養士、調理師、製菓衛生師、と畜場法に規定する衛生管理責任者、と畜場法に規定する作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士、食品衛生管理者の有資格者
3.食品衛生指導員として、公益社団法人新潟県食品衛生協会が実施する指導員養成講習の課程を修了した者
 
上記の資格を所持していない場合は、養成講習会を受講しなければなりません。養成講習会は、都道府県もしくは政令市が開催しています。受講する際は、約1万円の費用がかかります。
 
※参考:食品衛生責任者について(現行の取扱い)|厚生労働省
 

◆食品衛生管理者とは

食品衛生法施行令において、食品衛生管理者は、製造もしくは加工を衛生的に管理するための資格です。施設ごとに専任の資格保持者を1人以上置かなければなりません。また、衛生管理と従業員教育をするためにも、資格保持者による管理が必要です。飲食店に食品衛生管理者の資格保持者がいる場合、より高度な衛生管理ができます。
 

◇資格要件

食品衛生管理者の資格要件は、以下のいずれかに該当するものです。
 
1.医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
2.学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者(関連通知)
3.都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
4.学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
 
※参考:食品衛生管理者|厚生労働省
 

◆食品衛生責任者を取得するメリット

食品衛生責任者は、衛生管理に必要な資格です。ここでは、資格を取得するメリットを解説します。
 

◇適切な衛生管理を実施できる

食品衛生責任者の資格を取得することで、正しい専門知識をもって衛生管理ができます。たとえば、鮮度や品質、表示などの確認と管理が挙げられます。細菌検査や食品添加物の検査も、適切に実施できる点もメリットです。また、施設の清掃や虫、ねずみなどの駆除も実施できます。食品衛生法に則って活動することで、営業施設ごとに衛生管理を徹底できるでしょう。
 

◇従業員への指導や健康管理ができる

食品衛生責任者の仕事には、従業員の衛生管理の指導や健康管理も含まれます。たとえば、手洗いや消毒の徹底や体調不良の従業員の休養などです。衛生教育を通じて、衛生意識を高め、食品を安全に取り扱う意識も醸成できます。安全な食品を提供するために、衛生管理の基礎理解を促進しましょう。
 

◆食品衛生責任者を取得する際の注意点

食品衛生責任者を取得する際は、講習会の参加や防火管理者の資格取得も必要です。ここでは、注意点を解説します。
 

◇講習会に参加する

食品衛生責任者は、資格を取得した後も定期的に講習会を受講することが必要です。資格に有効期限はありませんが、食品の安全性を保つ知識を学び続けることが重要です。最新の食品衛生情報を得たうえで、法律の改正にも対応しなければなりません。スタッフの衛生教育や訓練をするためにも、講習会に参加するとよいでしょう。
 

◇防火管理者も取得する

飲食店を開業する際は、防火管理者の資格も取得しなければなりません。防火管理者の資格は、火災が起きた際の被害を最小限に抑えるため、防火管理上必要な業務を学ぶものです。消防計画を作成し、消火設備の点検・整備や消火訓練・避難訓練を実施します。客席が30席以上ある場合、建物の規模や収容人数に応じて、甲種と乙種どちらかの資格を取得する必要があります。
 

◆食品衛生責任者がいない場合の罰則

食品衛生法は、食における健康を守る法律です。食品衛生責任者なしで飲食店を営業した場合、営業許可の取り消しや営業活動の全部、または一部禁止などの罰則を受けます。最大2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金を科される可能性もあります。飲食店を経営する場合は、法律を遵守して、悪質な店であると判断されないように注意しましょう。
 

◆衛生管理HACCP(ハサップ)が義務化されている

「HACCP(Hazard Analysis and Critical)」は、食の安全性を確保する衛生管理の手法です。日本語に訳すと、「危害要因分析と重要管理点」です。食品製造に関わる事業者が危害要因を把握し、原材料の入荷から製品の出荷まで、安全性を管理するために義務化されています。
 
「HACCP」に沿った活動は、製造工程における、食品の製造過程の前後を一貫した管理が可能です。食中毒菌や異物など危害要因を防ぐために、基準や方法を設定します。
 

◆食品衛生管理者を取得するメリット

食品衛生管理者も、食品の安全管理のために必要な資格です。ここでは、資格を取得するメリットを解説します。
 

◇食品や添加物の製造・加工をできる

食品衛生管理者は、食品衛生の専門家を証明する資格です。食品や添加物の製造・加工ができるだけでなく、従業員の指導や衛生コンサルといった、より専門的な業務も可能です。また、新製品の開発や既存製品の改善などの業務にも対応しています。専門的な業務に従事したい場合は、食品衛生管理者の資格取得を目指すとよいでしょう。
 

◇資格取得者の需要が高い

食品衛生管理者は、配置が義務づけられているため、資格取得者の需要が高い点がメリットです。加糖粉乳や調整粉乳、マーガリン、ショートニングなど、さまざまな食品の製造や加工に対応できます。飲食店を開業するだけでなく、食品メーカーをはじめとした企業に就職、もしくは転職する際にも有利に働くでしょう。
 

◆食品衛生管理者を取得する際の注意点

食品衛生管理者は、資格を取得するハードルが高い点が特徴です。講習を修了するために、医療関係の資格を取得したり、3年以上衛生管理の業務に従事したりしなければなりません。食品衛生責任者よりも資格取得のハードルが高いため、学ぶことが多い点にも注意が必要です。食品衛生管理者の資格の更新はありませんが、定期的に講習を受講して学びを継続する必要があります。
 

◆まとめ

食品衛生責任者と食品衛生管理者は、扱う食品や認定の機関が異なります。飲食店を開店する際は、1人以上の食品衛生責任者の配置が必須です。法律に違反すると罰則を受ける可能性があるため、必ず資格保持者を配置しましょう。
 
レスタンダード株式会社は、「居抜き物件掲載トップクラス居抜き市場」を運営しており、開業のノウハウをはじめとした、飲食店の出退店に関して熟知しています。飲食店経営に役立つ幅広い情報を発信しているので、ぜひ参考にしてください。
 

 
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

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