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協力金不正受給に都が倍額請求へ 中小企業庁も不正を調査、自主返還には加算・延滞金なし 

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東京都は12月27日、感染拡大防止や時短営業の協力金について不正受給が判明したとして、30件、総額約8800万円分を取り消すと発表した。不正受給していた店舗などには、違約金を含めて給付額の2倍を請求する予定だ。また、中小企業庁も持続化給付金・家賃支援給付金の不正調査を実施しており、自主返還を受け付けている。
 

不正受給に対する罰則

東京都によると、2020年4月から2021年9月までの約122万件の協力金申請について審査した結果、30の事業者が経営する33の飲食店などで不正受給が見つかった。総額は8786万円にのぼる。不正の内容としては、営業許可証を偽造して提出していたケースと、時短営業を実施していないにもかかわらず時短営業したと申請し、協力金を受給していたケースがある。
 
東京都はこれらの事業者に対して、協力金の返還に加え、協力金と同額の違約金を請求する。つまり、協力金の倍額を請求することになる。また、請求に応じない場合については警察に相談する方針だ。協力金の不正受給は、場合によっては詐欺などの犯罪にあたる重いものである。
 

中小企業庁は事業者名を公表

中小企業庁も持続化給付金の不正受給の調査を進めている。1月4日には個人事業主・法人あわせて904件を認定している。このうち669の事業者は、受給金額に加え20%の加算金および年率3%の延滞金を返納しているが、返納していない事業者については、名前と所在地を公表した。これは持続化給付金規定に基づいた措置である。2021年12月23日時点で、持続化給付金の不正受給は総額9億957万3000円にのぼっている。中小企業庁は不正受給の返還を引き続き求めている。なお、調査開始前に自主的に返還を申し出て返還を完了すれば、原則として加算金や延滞金は課さないとしている。これまでに、持続化給付金については約2万件の申し出があり、金額にして約157億円が返還されている。
 

警察による事件化も継続

警察の摘発、事件化も続いている。警察庁によると去年11月までに、持続化給付金の不正受給の摘発は全国で計2262件(約22億円分)、家賃支援給付金は46件(約1億円)にのぼった*1。経済産業省は、下記の行為はすべて不正であり犯罪であると警告している。
 
*1「コロナ給付金、不正受給は9億円超 返還拒めば名前や所在地の公表も」朝日新聞デジタル 2021年12月21日
 

・事業を実施してないのにもかかわらず申請する。
・各月の売上を偽って申請する。
・売上減少の理由が新型コロナウイルスの影響によらない場合は給付対象とならないことを認識しつつ、申請する。(季節性のある事業において、意図的に通常事業収入を得られる時期以外を対象月として申請することを含む)
・賃貸借契約に基づく賃料を実際よりも高く偽って申請する。(家賃支援給付金のみ)

 
同時に持続化給付金については専用のコールセンターを設置し、相談を受け付けている。
気になる事業者はまず相談するのが良いだろう。
 

持続化給付金事業コールセンター
直通番号:0120-279-292
IP電話専用回線:03-6832-6631
受付時間:8時30分~19時00分(土曜祝日を除く日曜~金曜日)

 
返済シミュレーションや必要書類などについてはホームページ上で紹介されているのでこちらをチェックしたい。
 

補正予算決定の「事業復活支援金」などについて

なお、「事業復活支援金」などの事業を盛り込んだ令和3年度の補正予算が12月20日、国会で成立した。飲食店が注目したいのは以下の制度である。
 

事業復活支援金

コロナ禍で大きな影響を受ける事業者に、地域・業種問わず、固定費負担の支援として、5か月分の売上高減少額を基準に算定した額を一括給付するもの(図2)。2021年11月~2022年3月のいずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月までの間の任意の同じ月の売上高と比較して50%以上または30%~50%減少した事業者が対象になる。
 

 
図2 事業復活支援金の給付額等
(出所:「事業復活支援金のご案内」中小企業庁)
 

資金繰り支援

政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申込期限を年度末まで延長するなどの措置(図3)。問い合わせは中小企業庁人業環境部・金融課(03-3501-2876)。
 

 
図3 資金繰り支援の概要
(出所:「資金繰り支援のご案内」中小企業庁)
 
各種補助金の不正受給や制度の不正利用は犯罪行為にあたるだけでなく、のちに支援を利用できなくなるというペナルティを受ける可能性もある。緊急事態宣言解除後も客足の戻りが鈍く、さらにオミクロン株の出現で先行きが不透明な中では、利用できる補助金や制度は正しく上手に使い続けたい。
 

 

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