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多くの病原菌を運ぶやっかいな存在 飲食店に現れるネズミの害や駆除方法、対策を知ろう

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ネズミに関する相談件数が年々増えています。ネズミは客に不快感を与えるだけでなく、飲食店内にさまざまな害をもたらします。人や電線を噛むだけでなく、糞尿、そしてネズミじたいに害虫が寄生していたり、ゴキブリよりもはるかに多い数の食中毒原因菌を運んだりします。
 
日本の街中にはどのような種類のネズミが存在するのか、ネズミが店内にいることでどのような害をもたらすのか、また、ネズミを寄せ付けないためにはどうすれば良いかを解説していきます。
 

◆日本の街中に現れるネズミは3種類

日本の街中で見かけられるネズミは、おもにドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの3種類で、それぞれ下のような特徴を持っています(*1*2ほか)。
 

 
それぞれに特徴を持っていることがわかります。泳ぎが得意なドブネズミは排水管の中を移動できますし、登りや綱渡りが得意なクマネズミは配線を立体的に移動できます。ハツカネズミは体が小さいので、店内に侵入しやすいことでしょう。
 

◇寒くても活動する

また、ネズミは冬眠する動物ではありません。よって暖房のある場所では、冬の寒い時期でも活動しています。むしろ、暖かい場所を求めて屋内に侵入するため、秋から冬にかけてこそ注意が必要です。
 

◆ネズミに関する相談件数が増えている

さて近年、ネズミに関する相談件数が増えています。東京都ではネズミに関する相談件数が10年前に比べ、約2倍になっています
 
害虫などの相談窓口を設置している東京都ペストコントロール協会によれば、都内でのネズミに関する相談件数は2013年に1860件だったものが、23年には3629件になり、特に繁華街を中心に相談が増えています*3。飲食店の生ゴミや摘み残した果樹などが要因とみられています。屋内やビル内では、警戒心の強いクマネズミが多いのだといいます。
 

◆ネズミがもたらす飲食店への害

ネズミは、もちろん飲食店では目にしたくない存在ですが、夜行性なので人前に姿を見せないこともあります。しかしもたらす害は多岐に渡ります。
 

◇ゴキブリよりも多種多様な菌を運ぶ

ネズミからは、これまでに下のような感染が報告されている、あるいは危惧されています。
 

家ネズミ類が運ぶ菌類
(出所:「Ⅲ 被害の実態」東京都
 
あまりも種類が多く全てを把握するのは難しいことですが、カンピロバクターやサルモネラ、ブドウ球菌といった食中毒に関するものだけでなく、ペストや肝炎といった重篤なものも含まれます
 
飲食店の衛生環境としてはゴキブリが大きな関心ごとになりがちですが、ネズミはゴキブリよりもはるかに多い菌を運びます。それだけではなく、ネズミそのものにイエダニなどが寄生しており、ダニが人に付着することもあります。もちろん、ネズミの糞尿も不衛生な環境をもたらします。
 

◇いろいろなものを噛む

また、「噛む」習性があります。人を噛んで感染症をうつすだけでなく、食品や家具、電線やガス管をかじって、停電や火災の原因になったり家電製品に影響を与えたりします。
 

◆ネズミの対策と駆除方法

最後に、ネズミを店内に寄せ付けない対策、あるいはネズミが見つかった時の駆除についてご紹介します。侵入させない、見つけたら駆除する、という両面からみていきましょう。日本ペストコントロール協会などが示しているのは以下のような方法です*4。
 

◇ネズミ侵入の予防・対策

ネズミを店内に侵入・繁殖させないためには、ネズミが住みにくい環境を作ることです。
 
・エサを与えない=特に夜間、屋内外の食品やゴミ箱をきちんと片付けましょう(ネズミは夜行性です)。
・隠れ家をつくらせない=ネズミは掃除の行き届かない場所を選びます。屋内だけでなく屋外の整理整頓も心がけ、不要なゴミ類はすぐに捨てましょう。
・侵入路をふさぐ=内外装に隙間やネズミのかじり穴があればトタン板などでふさぎましょう。通風口には金網を取り付けましょう。
・巣を作らせない=ネズミは安全な場所に巣を作ります。紙類、ティッシュペーパー、ビニール袋、布・断熱材、ダンボールなどが巣の材料になります。よってこれらはこまめに処分する必要があります。
 

◇ネズミの駆除方法

そして、発見した時のネズミの駆除方法です。
 
・毒エサを配置する=市販の毒エサを用法、用量に従い出没場所に配置します。普通、効果はゆっくり現れますから数日間は続けて配置します
・捕獲する=市販のネズミカゴ、ネズミ用粘着シートを説明書に従い出没場所に配置します。壁際にそって配置する事が効果的です。
 
また、ネズミ捕り用の粘着シートも市販されているほか、殺鼠(そ)剤もあります。なお、一部の自治体では、ネズミカゴの貸し出しや粘着シートの配布事業を行っているところもあります
 

◆遭遇しなければ発見が難しい面も、相談先は?

ここまで、飲食店に出現するネズミの特徴や対策方法をご紹介してきました。飲食店には様々な害虫も発生しますが、ネズミの発見の難しさは、ネズミは卵を産まない哺乳類であるということです。
 
虫であれば、卵らしきものを見つけたら存在を知ることができますが、ネズミはそうではありません。また、寒い時期でも活動し、むしろ暖かい場所を求めて屋内へ侵入する動物です。よって、これからの時期こそ、対策が必要と言えます。なお、ネズミの被害などについての相談は、「ペストコントロール協会」が各地に相談窓口を設けています*5。必要に応じて、早めの相談をしましょう。
 
*1 「ネズミについて」横浜市港北区
*2 「ねずみの種類と駆除の方法」西宮市
*3 「ネズミ相談10年で倍 コロナ収束飲食店ゴミ増」読売新聞オンライン(2024年6月)
*4 「ネズミ駆除」日本ペストコントロール協会
*5 「都道府県協会」日本ペストコントロール協会
 

 

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