非居住者・外国法人から物件を借りる際に納税する源泉徴収税20.42%とは?
外国法人や外国人、転勤などの都合で日本国内に居住していない物件所有者がその不動産を賃貸するケースで、借主自らが賃料の20.42%を源泉徴収税(所得税および復興特別所得税)として税務署に対して納付をし、借主は、源泉徴収税を差し引いた残額を毎月の賃料として貸主に対し、支払うこととなる(貸主の立場から言えば、源泉徴収税を差し引いた残額を毎月の賃料として受け取ることとなる)ことをご存じでしょうか?ここでは、不動産の源泉徴収税20.42%とは何か、源泉徴収税が必要な場合、オーナーチェンジやサブリース物件の場合はどうするのか、源泉徴収税の支払い方法などについて詳しく解説をしていきます。
◆ここでいう非居住者の定義
我が国の所得税法では、『「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。』とあります。住所は、その人の生活の本拠がどこにあるのかを判断基準としています。日本人であっても海外に1年以上にわたり長期に居住している者、外国人や外国法人が非居住者に該当することになります。
参考:No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁
◆不動産の源泉徴収とは何か
不動産の源泉徴収を理解するためには、他の源泉徴収について考えてみるとわかりやすいです。例えば、サラリーマンの給与の場合は、所得税が源泉徴収されています。実際には天引きされ会社が個人の代わりに税務署へ納付する仕組みとなっています。これは、個人に納税の手続きを任せてしまうと、税金の取りっぱぐれが発生してしまう可能性があり、会社に天引きをさせ会社から納付させた方が確実で効率的だからです。非居住者・外国法人が貸主となる物件についても考え方は同様です。つまり非居住者・外国法人に納付を任せてしまうと納税してもらえない可能性があるからです。なので借主が代わりに税務署へ納税した方が確実であるということが言えます。このことについて不動産の管理会社や借主が知らずに源泉徴収をしないでそのまま賃料を支払っているケースがあると聞きますのでご注意ください。
◆源泉徴収が必要な場合
不動産の源泉徴収税の支払い義務者は、借主なのですが、全ての借主が該当するわけではありません。借主が法人の場合は用途を問わず支払う必要がありますが、個人の場合は、その個人および親族の居住用以外の用途の場合に支払う必要があります(個人および親族の居住用として使用する場合は支払う必要はありません)。具体的には、店舗や事務所として不動産を使用するケースが多いかと思われます。但し、非居住者の居住国と日本の間で租税条約を締結している場合には、減税や免除となる場合があります。この減税または免税を受けようとする場合は、源泉徴収税の支払日の前日までに、租税条約届出書や所定の申請書を支払い義務者である借主を経由して所轄税務署に提出をすることが、貸主側に求められます。源泉徴収が必要なケースは様々な条件によって取扱いが変わってくるので、詳細については税理士などの専門家に確認をするようにしてください。
◆オーナーチェンジの場合
昨今、日本の不動産を海外の方が購入するケースが増えてきました。つまり外国法人または外国人へとオーナーチェンジするケースは珍しいものではなくなってきたということです。途中から物件の所有者である貸主が非居住者となった場合、当然に源泉徴収制度が適応されます。うっかり忘れていたでは済まないので、オーナーチェンジの際にはしっかり対応するようにしましょう。
◆サブリース物件の場合
法人や個人(店舗などの事業用)で非居住者から物件を借りる場合は、源泉徴収制度が適用されます。では、サブリース物件はどうでしょうか。サブリース物件とは、物件所有者(賃貸人)―賃借人(転貸人)―転借人といったように物件所有者から借受け、第三者に転貸する契約形態のことを言います。このケースにおいては、賃借人(転貸人)に源泉徴収制度が適用されるため、転借人に支払い義務が生じることはありません。サブリース物件の場合、源泉徴収の手間が省けるメリットがあります。
◆源泉徴収税20.42%の支払い方法
例えば、賃料が500,000円の店舗物件を借りた場合、500,000円×20.42%=102,100円となり、これを所轄税務署に納付をし、500,000円-102,100円=397,900円を貸主に賃料として支払います(店舗は事業用の利用となるので消費税が発生しますが、ここではわかりやすくするため消費税については割愛します)。この源泉徴収をした20.42%相当額は、借主が賃料の支払いをした翌日の10日までに所轄税務署に納付しなければなりません。
◆おわりに
ここまで非居住者・外国法人から不動産を借りる際に納税する源泉徴収税20.42%は何かについて関連する事項を含め説明してきました。源泉徴収税は、借主に支払い義務があるものになります。借主に物件所有者である貸主が非居住者・外国法人であることの確認義務はありませんが、源泉徴収税が未納であった場合は、強制徴収やペナルティーが課されることになってしまいますので注意が必要です。
参考:非居住者等に対する源泉徴収のしくみ
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