開業レポ

飲食店開業者インタビューvol.43「ジャパニーズイタリアン ai’s」チームで作り上げる飲食店の魅力/オーナー 杉浦康祐さん

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まさにコロナ渦、2021年3月7日に恵比寿にオープンした、「ジャパニーズイタリアンai’s」。オーナー、かつソムリエとしてサービスを行う杉浦康祐さんは、長年の飲食業界のキャリアを生かし、2019年12月に会社を設立。2020年3月より「広尾 こうもと」の経営をまかされることとなりました。今回の「ジャパニーズイタリアン ai’s」が、自身として初めてコンセプトメイクから行った業態です。怒涛の2年半を経て、週末にはスイーツ専門店として「Orso Bianco」を運営するなど、様々なアイデアで常に新しい挑戦を行っています。
 
―2021年の3月7日のオープン当時のことを教えていただけますでしょうか。
(杉浦さん)この物件はあるイタリアンシェフからの居抜き譲渡なのですが、そのシェフが2020年9月でここを移転するというのをSNS発信されたんですね。その情報を聞き、もし次の契約者がまだ決まっていないなら話を聞きたいとアプローチしました。うちのシェフである池谷がそのシェフとつながっていたのも大きなアドバンテージでしたね。同じイタリアン業態ということもあり話がスムーズにまとまり、スタッフも過去に働いていた仲間が次々に集まってくれて、あとはオープン日を決めるだけ。当時は緊急事態宣言の発令に振りまわされていて、私の予想では、3月7日に完全にあけるはずだったので、その日をオープン日に決めたんです。結果はあけなかったですね(苦笑)。
 

 
―物件はほかにも内見をされていたんでしょうか。
(杉浦さん)はい、もちろんです。シェフ池谷とパティシエの加藤と3名でいつかお店をやりたいという目標を掲げていたので、ジャパニーズイタリアンのコンセプトはすでにできあがっていて。オープン日を決めていたわけではないですが、よい物件があればといくつかチェックはしていました。そんな中、今回のお店は場所も広さもすべてにおいてバランスがよかったのでほぼ即決でしたね。オープンまでに手を加えたのは、本当に必要最低限です。クリーニングをかけたのと、テーブルの天板をかえたくらいです。あとは、店名のサインなどで、トータルで開業経費は1500万ほどです。物件取得費は別ですが。
 
―「ジャパニーズイタリアンai’s」のコンセプトについて詳しく聞かせてください。
(杉浦さん)前職のオーナーが生産者との関係を大切にしていたというのも影響しています。3名とも前職時代に出会っているので。今回の「ai’s」も、とにかく日本全国の旬の素材をいかにおいしく調理してお客様に提供するかということに徹底的にこだわっています。スタッフみんなで生産者の方の畑に収穫のお手伝いにいったりすることで、お客様との会話の糸口にもなりますし、顔が見える生産者が作る野菜に関してもスタッフの愛情が深くあるのは当たり前ですよね。
 
―先ほど、すぐにスタッフが集まってくれたとのお話がありましたが、求人はかけていないということですか?
(杉浦さん)そうですね。広尾のお店とあわせ、現在25名のスタッフ(15名正社員、10名アルバイト)がいるのですが、ありがたいことに一度も求人をかけたことがないんです。
 

 
これはすごい会社の強みだと思っていて。働きやすい環境であれば、人は安心して人を紹介してくれますし、声をかけやすいですよね。特に飲食業界は人材不足という話題で持ち切りです。でも、どの業界も同じだと思いますが口コミといいますか、信頼できる仲間からの紹介であれば、かなりの確率でどちらにとってもよい結果につながると思うんです。だから、とにかくスタッフがまず働きやすい環境づくりというものは意識していますね。
 
―働く環境について、具体的に伺うことはできますか?
(杉浦さん)まずは月7日のお休みと自由な有給取得です。この有給については、スタッフにはどんどん活用してもらっています。自分の推し活や、趣味の時間、旅行にあてていますね。このように、自分を開放することでリラックスでき、仕事にも一生懸命向き合うことができます。さらに、みんなが積極的に取得するため、休みを補う意識も必然的にスタッフ間で生まれるんです。休み明けに、自身の体験をみんなに共有してくれたりするのもよい雰囲気づくりになっていると思います。
 
―素晴らしいです。杉浦さんの飲食業へ惹かれたきっかけを教えてください。
(杉浦さん)原点は、幼少期にさかのぼるんですが、祖父との外食がとても楽しい思い出として記憶に残っているんです。で、いつしか「人を喜ばせたい」という想いが自分自身の中で湧き上がってきまして。さらには、ライブで観客を楽しませるアーティストのライブなどをみて、裏側というか相当な準備や覚悟をもとに表舞台に出ているということに感動し、なんとかして自分も人を楽しませる職業に就きたいと思うようになりました。そんな気持ちで大学時代にレストランのサービスでアルバイトを始めたのですが、まんまと魅力に落ちてしまいまして(笑)大学を3年で中退し、服部栄養専門学校のオーナーシェフ養成講座に2年間通いました。その経験が、今でもかなり役立っています。シェフやパティシエなどの調理工程なども一通りはわかるので。しかし、自分はお客様への接客が楽しいため、ソムリエとしてサービスを極めるというスタイルを選びました。
 
―独立についてはいつ頃から意識をされていたんでしょうか。
(杉浦さん)私は、有難いことに前職でカジュアルな店舗からラグジュアリーレストラン、大型店舗まで様々なスタイルの業態に関わらせていただきました。よい部分だけではなく失敗の経験などからも自分なりの考え方が徐々に構築され、自分でやるとしたらという想定が、出来上がってきたんだと思います。そんなタイミングで、運営をまかせたいとお話をいただく機会に恵まれ、株式会社を立ち上げたという流れです。個人事業主ということも頭をよぎりましたが、やはり働くスタッフにとっては、企業のほうが安心感はあるかな、と思いましたし、実際に保険の部分やなにかあった際の補償に関しても責任を負える立場として、私自身の責任感も一層芽生えたと思います。
 

 
―杉浦さんの今後の展望を教えてください。
(杉浦さん)急いで店舗展開をする予定はありません。とにかく今あるお店のクオリティをどんどん上げていくことが大切だと思っています。実は、広尾のお店はコロナ前よりも今のほうが客単価は上がっているんですね。コロナ渦を経てお客様へのサービスを今まで以上にきっちりと行った成果だと思っています。この「ai’s」に関しても、パティシエの加藤のデザートが人気を博したため、週末はスイーツの業態に変換して営業するなど、流れをみてフレキシブルに対応する力が大切だと考えています。
 
―これから独立開業を目指す方に向けてメッセージをお願いいたします。
(杉浦さん)とにかく、ネットだけで調べるだけでは、その街の空気感やお客様の流れを知ることはできません。しっかりと足を使って情報をゲットしてほしいと思います。例えば、地元の不動産屋さんと仲良くなって、街の情報を直接聞くとか。もちろん、発信も大切です。SNSを利用して、次はこんなお店をやりたいと思っていると声にだすとか、物件を探しているとか。発信することで、人からいろんな情報が集まってくるんです。あと、外食ってよほどの方でない限り、毎日はしないですよね。そんな限られた回数の外食の中で選んでもらえるってことは本当にすごいことだと思うんですね。だから、心から感謝して、お客様と向き合って接客することが大切だと思います。
 
―貴重なアドバイスありがとうございます。今日はお忙しい中ご協力ありがとうございました。
 

<おすすめ料理>

季節野菜のフォンドゥータ

 

ai’s オリジナルパフェ

 

【店舗情報】

ジャパニーズイタリアンai’s
住所:東京都渋谷区広尾1-1-38スクエアサイドビル1F
TEL:03-6712-6201
営業時間:ランチ11:30~15:30(L.O.14:30) 土祝17:30~22:00(L.O.21:00)
定休日:日曜日・月曜日(日曜日はOrso Biancoとして営業)
最寄駅:恵比寿駅より徒歩6分
 
週末だけオープンする贅沢なおやつ屋さん Orso Bianco
営業時間 : 日・祝 / 11:00~17:00 (L.O.16:00)
定休日 : 月曜~土曜(ai’sとしてイタリアン営業)
 
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
 

 

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