突然の地震 ~備えと発生時に飲食店が取るべき行動~ まとめ
最近、日本各地で地震が頻発しています。いつどこで発生するかわからないだけでなく、南海トラフや首都直下といった大地震の可能性が指摘されています。また、地震発生時の揺れ方にも種類があり、いつも同じとは限りません。これらを踏まえ、地震への備えと発生時に飲食店が取るべき行動についてご紹介します。この記事をきっかけに再確認してください。
日常的な備え~店内設備について~
まず、被害を最小限にするために、店内設備を工夫しておく必要があります。
家具、食器、照明
東京都によると、近年の地震による負傷者の30~50%は、家具類の転倒・落下・移動が原因です*1。そこで、まずは下記を確認してみてください。
1)家具、照明は可能な限り壁もしくは滑り止めを使って固定する。絵画やディスプレイにも注意が必要。
2)落下時に割れやすい照明や、重い照明は使わない。
3)客席の近くには、転倒しやすい家具や多くの食器を置かない。
4)収納棚には耐震ラッチをつける。
*1 出所)東京都防災ホームページ
避難経路の確保
お客様と従業員の安全を守るために、避難経路を確保する必要があります。そのためにまず必要なのは、下記の3つです。
1)どの席からでも速やかに避難できるような座席と家具のレイアウトを考える。
2)食器など割れ物の置き場を考える。
3)避難経路周辺にものを置かない。
特に、外階段などテナントビルの共用部分に食材の段ボールなどを置いている店舗が多く見られます。これは、そもそも消防法違反にあたります。また、可燃物を共用部分に置くことは日頃から放火の被害に合う可能性もありますので絶対にやめましょう。
「長周期地震動」への備え
地震の揺れには種類があり、「長周期地震動」と呼ばれる「大きく・長く」揺れることがあります。
*地震動の長さによる揺れの違い(気象庁ホームページより引用)
大きく長く揺れる長周期地震動は高層ビルのイメージがあるかもしれませんが、地震によっては低層でも起こります。これによって吊り下げ照明が落下しやすくなるほか、液体が容れ物から溢れやすくなります。コンセントが抜けて照明器具が落下することもありますので、しっかりと固定しましょう。フライヤーの油が溢れることもあります。近くに可燃物を置かないようにしましょう。
地震発生時の初動
地震発生時には慌てて飛び出さず、まず最初の数分以内に取るべき最低限の行動は以下です。この3つは覚えておきましょう。
1)ガスの元栓を閉める。
2)お客様・従業員には店内のテーブル、椅子やクッションでまずは身を守ってもらう。
3)停電した場合はブレーカーを落とす。(電源復旧時に火災の原因となります。)
そして、避難経路の安全確認をしたうえで、必要があればお客様の避難を誘導します。余震の可能性がありますので、みだりに店に出入りしないでください。情報を待って落ち着いた行動を取りましょう。
営業を中断する場合の会計はどうする?
さて、そう大きくない地震であればそのまま営業を続けることができるでしょうが、断水・停電や設備の破損などで営業を中断しなければならない場合、お客様への対応はどうするべきでしょうか。
考えられるのは以下のようなシチュエーションです。
1)お客様自らの判断で注文をキャンセルされた場合
2)お客様は飲食を続けたいが、店の都合や判断によって営業を中断する場合
3)予約したお客様の判断により来店前にキャンセルされた場合
注文途中のオーダーは基本的に請求料金の対象外とした方が良いでしょう。また、コースの予約で来店しているお客様の場合については、店として予めどのくらいを割り引くのか、無料とするのかなどの対応を決めておく必要があります。
最も良いのは、予約の段階で自然災害の場合はどう対応するかを伝えておくことです。やりすぎと思われるかもしれませんが、後のトラブルを避ける最も有効な方法でしょう。
また、お帰りのお客様にはクーポン券を発行するなど、再度足を運んでもらう工夫があるとなお良いでしょう。
帰宅困難になった場合
インフラや交通機関に支障が出てお客様や従業員が帰宅困難になった場合は、最寄りの避難所へ案内します。常にテレビやラジオで情報を共有しましょう。また、店を離れる時間が長くなりそうな場合、特に夏場は食材の傷みが衛生状態の悪化に繋がります。冷蔵庫の開閉は極力しないなどの対応を検討しておく必要があります。
マニュアルの徹底と定期的な訓練を~巨大地震に備えて~
災害発生時に最優先されるべきものはまず人の命であることは言うまでもありません。
また、マニュアルを作成し、社員はもちろんアルバイトひとりひとりにまで浸透させる必要があります。なお、マニュアルは読んだだけではそう簡単に行動には移せません。実際に体を動かすことでしか身につきませんので、定期的な訓練が必要です。
最近は各地で震度5弱〜5強といった大きな地震も相次いでいますが、その規模の地震でものが倒れるようでは対策は足りていないと言えます。最大震度7のレベルの地震は実際に想定されています。南海トラフ地震や首都直下地震がそれにあたります。地震の規模が巨大になると、ものが倒れてくるだけでなく「飛んでくる」レベルになることを知っておきましょう。
なお、東京消防庁がチェックリストを作成しています。是非活用してください。
- ニュース・特集最新記事はこちらから
「ニュース・特集」の関連記事
関連タグ
-
「まん延防止等重点措置」来月6日まで延長 36都道府県に適用拡大
-
「まん延防止等重点措置」来月6日まで延長 36都道府県に適用拡大