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飲食店がイベント出店する際に食品衛生責任者は必要?許可や手続きなども解説

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飲食店がイベントに出店すると知名度が向上するほか、売上の向上にも効果があります。この記事では、イベントに出店するまでの流れや食品衛生責任者の情報、飲食店営業許可を取得するまでの流れなどを解説します。飲食店を経営しており、イベントへの出店を検討している人は参考にしてください。
 


 

◆イベントに出店するまでの流れ

イベントであっても、常設店と同じような流れです。まずは出店場所の選定・確保しましょう。出店場所を確保できたら、2週間前までにメニューや調理の工程、店舗のレイアウトをまとめ、保健所に事前相談します。次に、申請書や営業設備の大要・配置図、責任者資格の写しなど、必要な書類を提出します。
 
申請から許可証の交付には時間が必要なため、開催の10日前までに申請しましょう。その後、施設検査を受け、問題がなければ許可証が交付されます。同時に、イベント出店で使用する棚や設備、道具などの什器、店頭ディスプレイや商品ポップ、のぼりなどの販促物を準備します。
 

◆食品衛生責任者の基本情報

食品衛生責任者とは、食品を提供する施設において食品衛生に関する知識を持ち、衛生管理を担当する責任者のことを指します。食品を扱う事業者は、常設店だけでなくイベントであっても食品衛生責任者を置かなければいけません。
 
ただし、調理師や栄養士、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士などの資格を持っていれば、食品衛生管理者の資格を兼ねられます。
 

◇食品衛生責任者の役割

食品衛生責任者には、いくつかの役割があります。まず、設備の衛生管理や不衛生箇所を改善する役割です。施設や食材を衛生的に保つために、施設や手洗い場の清掃、原材料の品質チェックなどを実施します。
 
また、スタッフの健康を管理する役割もあります。従業員に対して、手洗いや消毒を徹底したり、調理器具や食材を正しく取り扱うよう指導したりしなければなりません。また、体調不良の従業員は勤務させず、休ませるよう配慮する役割もあります。
 

◇食品衛生責任者の資格を取得するには

食品衛生責任者の資格は、飲食店営業許可の取得に必ず必要です。取得には栄養士や調理師などの資格を取得しているか、食品衛生責任者養成講習会に参加しなければなりません。
 
食品衛生責任者養成講習会は各自治体で実施されており、講習会を修了し、保健所へ申請することによって資格を得られます。食品衛生責任者には有効期限がありません。更新手続きは必要なく、一度取得すると永久に有効です。
 

◇食品衛生責任者の受講内容

食品衛生責任者養成講習会では、食品衛生学・食品衛生法・公衆衛生学の3つを学びます。食品衛生学では、主要な食中毒や健康被害および事故と原因、食中毒の発生を防ぐための基本的な対応などを学びます。受講時間は約2.5時間です。
 
食品衛生法では、食品衛生法の全体像や自主的な衛生管理に関する内容、食品等の自主回収報告制度に関する内容、営業規制に関する内容などを学びます。受講時間は約3時間です。公衆衛生学では環境衛生や労働衛生について学びます。受講時間は0.5時間です。
 

◇食品衛生管理者との違い

表記が似ている「食品衛生責任者」と「食品衛生管理者」ですが、異なる資格です。取得方法が異なり、食品衛生管理者は講習を受ければ取得できる公的資格であるのに対し、食品衛生管理者は難易度が高く厚生労働省が管轄する国家資格です。食品衛生管理者は、食品衛生責任者の役目を果たせますが、その逆は担えません。
 
配置場所も異なります。食品衛生責任者は基本的に全ての食品を取り扱う施設に設置されますが、食品衛生管理者は特に衛生上の考慮が必要な食品や添加物を製造・加工する施設にのみ設置されます。
 

◆飲食店営業許可の基本情報

飲食店営業許可は、飲食店を運営する上で必要な許可です。場所や施設に対して認められるものであるため、飲食店営業許可を取得し営業する事業者であっても、イベント出店する際は新たに許可を取得しなければなりません。
 
飲食店営業許可にはいくつか種類があります。「一般営業施設での営業許可」、「臨時営業・臨時出店での営業許可」、「車両での営業許可」などです。イベント出店であれば、臨時営業・臨時出店での営業許可を申請しましょう。
 

◇臨時営業許可の取得

イベントでの臨時営業には、出店するエリアを所轄する保健所に対し営業許可を得るための申請が欠かせません。販売する食品やドリンクの内容、調理方法、設備の詳細を申請書に記載し提出しましょう。提出した申請書が受理されると、飲食物の販売が可能となります。
 
臨時出店には条件があり、住民祭や産業祭、花火大会や盆踊りなどへの出店であること、出店日数が1年間に5日以内であることが条件です。
 

◇地域ごとの出店許可

地域ごとの出店許可を得るには、出店するエリアを管轄する保健所に対し書類を提出します。イベント出店は、臨時営業に区分されるケースがほとんどです。また、多くの自治体では、臨時営業を飲食店営業と菓子製造業の2つに分類しています。
 
飲食店営業許可の種類によって異なるため、提供する内容が飲食店営業・菓子製造業のどちらに該当するか確認し、書類を作成しましょう。保健所の基準を満たした内容であれば書類が受理され、飲食店営業許可証が発行されます。
 

◆イベント出店する際の注意点

イベントに出店する場合、いくつかの注意点があります。まず、店舗に問題がなくても申請者に問題がある場合、出店の許可が下りません。以前食品衛生法に違反し行政処分を受けていたり、飲食店営業許可を取り消されたりしている場合、不許可のおそれがあります。
 
また、複数個所で出店する場合、箇所ごとに飲食店営業許可証の取得が必要です。場所や設備に対しての許可であるため、許可を得ていない場所で出店する場合は都度の申請が欠かせません。
 

◆飲食店営業許可取得までの流れ

飲食店営業許可の取得までにどのような過程を踏む必要があるのか、具体的な流れを解説します。
 

◇保健所への事前相談

飲食店営業許可を取得するためには、保健所への事前相談が欠かせません。イベント開催の2週間までを目安に、提供する内容や調理の工程、店舗のレイアウトなどの資料を持ち相談しましょう。イベント出店であれば、主催者と出展者両方が届け出なければならないケースもあります。検査に合格するには細かい要件となるため、早めの相談がおすすめです。
 

◇飲食店営業許可の申請

事前相談を終えたのち、飲食店営業許可の申請に必要な書類を作成、提出しましょう。必要な書類とは、申請書や営業設備の大要・配置図、責任者資格の写しなどです。準備が整ったのち、飲食店営業許可申請を保健所へ提出します。申請してから許可証の発行までには時間を要するため、イベント開催日の10日ほど前までには申請しましょう。
 

◇施設検査を受ける

飲食店営業許可の申請後、保健所の担当者が店舗予定地である現地に出向き、施設検査を実施します。キッチンカーであれば、車両検査が行われます。検査時にチェックされるポイントは、照明、厨房内、トイレ、冷蔵庫などです。
 
具体的には床や内壁・天井は清掃しやすい材質であるか、厨房と客席が壁やカウンターで区切られているか、手洗い設備は十分な大きさであるかなどがポイントとなります。
 

◇飲食店営業許可証の交付

施設検査後、問題点が見つからなければ飲食店営業許可証が交付されます。申請から交付までには時間を要するものの、交付予定日は検査時にわかります。交付方法は各自治体によって異なるため、検査時までに確認しておきましょう。また、交付された飲食店営業許可証は、営業時には見える場所に掲示することが義務付けられています。
 

◆まとめ

飲食店がイベントに出店すると、知名度や売上の向上が期待できます。ただし、イベントへの出店には、食品衛生責任者や飲食店営業許可が欠かせません。取得には受講や申請が必要で一定の時間と手間が求められるため、手順に従い早めに準備しましょう。
 
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飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

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