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飲食店で二毛作を始めるための営業許可の取得方法は?二毛作の注意点も解説

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昨今は、飲食店における二毛作が一般的になりつつあります。この記事では、飲食店で二毛作が広まった背景をはじめ、二毛作のメリットやデメリットについて解説します。二毛作を成功させるためのポイントも一緒に取り上げるため、飲食店のノウハウを知りたい人はぜひ参考にしてください。
 


 

◆飲食店の二毛作とは

二毛作は、同じ店舗で昼と夜で別のジャンルのサービスを提供する営業形式です。昼と夜、どちらも飲食店として営業するパターンもあれば、片方は料理教室や物販店として営業するパターンもあります。
 

◆飲食店の二毛作が広がった理由

飲食店における二毛作は以前から存在していましたが、近年広がった理由として、大規模感染症の影響が挙げられます。2020年以降、大規模感染症によって飲食店の営業時間は大きく制限され、居酒屋をはじめとする夜営業主体の飲食店は経営難になりました。そこで、二毛作スタイルによって営業時間を増やすことで、営業利益の低下に歯止めをかける試みを始め、現在に至ります。
 

◆飲食店の二毛作のメリット

飲食店で二毛作を行うと、具体的にどのようなメリットがもたらされるかについて解説します。
 

◇業態の変更

二毛作のメリットとして、業態を自由に変更できる点が挙げられます。業態とは、つまりお客様の利用動機です。業態を変更することで、主体業態以外の売り上げを生む効果が期待できます。業態を変更する時間を限定すれば、既存の顧客が離れるのを防ぐことも可能でしょう。
 

◇異なる客層の開拓

二毛作によって、これまで関心を持ってくれなかった客層を取り込むことが可能です。たとえば、昼は女性人気の高いカフェを営業し、夜は男性人気の高い居酒屋を営業すれば、認知度が高まり、営業成績の向上も期待できます。
 

◇マーケティングテスト

飲食店の二毛作は、マーケティングテストにもなります。どちらの業態がより人気が高いのか、またどのような客層が来店するのかなどのデータ収集を行えば、より効果的な経営戦略が立てられるでしょう。
 

◇売上の向上

前述のとおり、二毛作には新たな客層の開拓というメリットがあります。その客層がこれまでなかったニーズを生み出し、結果的に店舗全体の売上が向上するきっかけになるかもしれません。
 

◇食品ロスの軽減

二毛作によって食材を昼と夜の営業で共有すれば、廃棄する食材を減らせます。また、廃棄コストも減らせるため、店舗全体の経営成績の向上も期待できるでしょう。
 

◆飲食店の二毛作のデメリット

飲食店の二毛作には、メリットのみならずデメリットも存在します。具体的なデメリットについて、以下で解説します。
 

◇共倒れのリスク

二毛作を始めるにあたって、共倒れのリスクを念頭に置きましょう。飲食店の二毛作は、必ず成功するとは限りません。二毛作を始めた結果、更なる利益を生むどころか、主体となる業態の収益に悪影響が出る可能性もあります。特に客層が異なる飲食店を始める場合は、リスクの有無を含めて慎重に検討しましょう。
 

◇長時間労働

長時間労働のリスクが高まるのも、二毛作のデメリットです。二毛作を始めるにあたって、新しい業態の従業員を確保する必要があります。しかし、従業員の採用が上手く進まない場合、既存の従業員にさらに負担がかかります。特に飲食店をはじめとするサービス業は長時間労働になりやすいため、運営サイドは注意が必要です。
 

◆飲食店の二毛作のビジネスパターン

飲食店における主な二毛作のビジネスパターンと、それぞれの特徴について解説します。
 

◇既存店舗の営業許可で運営

既存店舗の営業許可での二毛作は、すでに取得している営業許可を生かしつつ、新しい業態の開店準備に時間をかけずにすむ方法です。
 

◆飲食店の二毛作と営業許可

飲食店で二毛作を始める際に必要な営業許可の取得費用や期間、申請の流れについて解説します。
 

◇費用

飲食店の場合、保健所に営業許可の申請を行います。審査に合格すれば、飲食店を始めるために必要な営業許可がもらえます。必要な費用は地域や業種によって異なりますが、2万円前後が一般的です。
 

◇期間

順調に申請の審査が進めば、2〜3週間程度で許可が出ます。施設基準に適合しない場合は許可が下りないため、改めて申請の準備をしなければなりません。スムーズに営業を始めるためにも丁寧に、かつ早めに申請の準備を進めましょう。
 

◇流れ

基本的な申請の流れは、以下のとおりです。
 
1.管轄の保健所へ相談(細かい認定要件の有無をチェック)
2.申請(必要書類は食品衛生責任者の資格証明書や店舗の見取り図など)
3.保健所による立ち入り検査(厨房内やトイレなどをチェック)
4.許可の取得(問題がなければ営業許可証を取得)
 
取得した営業許可証は、店舗内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
 

◆飲食店の二毛作を成功させるポイント

飲食店の二毛作を成功させるためには、どのような点が重要なのかについて解説します。
 

◇需要と利益を重視

二毛作を成功させるためには、顧客の需要と店舗の利益を重視しましょう。利益を上げるためには、顧客の需要を正確に把握する必要があります。顧客の需要を見誤ってしまうと、利益は上げられず、二毛作は失敗します。顧客がどのような需要を持っているか把握するには、市場調査やアンケートなどを実施することがおすすめです。
 

◇昼と夜の差別化

昼と夜で業態の差別化を目指すのも、二毛作を成功させるポイントのひとつです。同じようなサービスを提供するより、異なるサービスを提供した方が顧客に興味を持ってもらいやすくなります。メニューや看板の変更など、差別化を顧客に伝える方法はいくつかありますが、そのなかから自分の店舗に合ったものを選択しましょう。
 

◇コスト削減

二毛作を成功させるためには、追加コストをできるだけ削減しましょう。二毛作を始めるからといって、新しいマニュアルの作成や設備の導入をすると、余計な経営コストがかかってしまいます。既存の店舗で二毛作を行う場合、現存する設備や枠組みを生かしてコストを最小限に抑えられる考え方が重要になります。
 

◆飲食店の二毛作の成功事例

最後に、飲食店の二毛作の成功事例をピックアップし、どのような営業を行っているかについて解説します。
 

◇イタリア料理店の場合

麹町にあるとあるイタリア料理店では、夜は従来通りイタリアンを提供し、昼はカレーを提供しています。本職のイタリアン同様、カレー作りにも真剣に取り組んでおり、テレビをはじめとするメディアで取り上げられるほど高い人気を誇ります。二毛作の結果、昼は手軽に、夜はゆったりと楽しみたいお客様のニーズに応えることに成功しました。
 

◇うどん屋の場合

とあるうどん屋では天ぷらうどんのノウハウを生かし、夜は天ぷらを串に刺し、串天として提供しています。食材は基本的に昼営業のときと同じものを使用しているようですが、客単価は昼の4倍以上です。また、単価の高いお酒も串天と一緒に注文してもらうことで、さらなる売上の向上が期待できます。
 

◆まとめ

飲食店の二毛作は売上の向上や新しい客層の開拓など、さまざまなメリットがあります。しかし、経営戦略がない状態で進めても、求めている成果は得られません。二毛作を始める場合は、顧客ニーズの調査をはじめ、念入りな準備を行いましょう。
 
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飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

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