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吉祥寺で飲食店を開業「横丁やアーケードが中心の吉祥寺駅北側エリア」吉祥寺駅編Part2
学生も多く集う吉祥寺。それもそのはず、総理大臣を輩出した成蹊大学や女子大御三家としても知られる東京女子大学といった学校もあり、駅周辺には学生にも優しいお店や人気の店が目白押し。老舗と新店の入り混じる横丁やアーケードやデパートが共存する、そんな吉祥寺駅北側エリアを散策して行きます。
吉祥寺駅の北側には大きなロータリー
吉祥寺駅の玄関といえば、こちら側のロータリーが最初に思いつく人も多いはず。
タクシー乗り場はもちろん、こちら側には主に西武新宿線や西武池袋線の主要駅方面に向かう西武バスや関東バスが多く発着。また、羽田空港や成田空港へ向かうバスもあり、とても利便性が高いのが特徴。駅前には銀行や薬局、コンビニなどが立ち並び、吉祥寺名物のアーケード街の入り口もここがスタート地点。多くの人が行き交う、とても活気ある街であることがうかがえる。
駅の付近にはPARCOなどの商業施設もあり映画館も併設されている。
大きなアーケード街が北側のシンボル
吉祥寺の北側と言えば、アーケード街。駅のロータリーから入ると、飲食店だけでなくたくさんの店舗が軒を連ねている。
生活必需品の専門店が数多く並び、吉祥寺在住の方にはお馴染みの商店街。ゲームセンターやファーストフードなどもあるため、学校帰りの制服姿も見られるのも特徴。
まずは吉祥寺サンロード商店街。1971年のアーケード完成に伴って今の名称になり、五日市街道まで約300m続いている。こちらにはスーパーマーケットもあり、日常の買い物客が多く見受けられる。サンロード入口近くには、そばの名店「吉祥寺 砂場」。こちらの店主は「室町砂場」で修行され、1992年に開業。
1997年にオープン「ベッカライカフェ・リンデ」はドイツパンの専門店で、本場ドイツのレシピと技術を譲り受けた本格派。2004年にハモニカ横丁でオープンした「スパ吉」は、2021年にサンロード商店街に移転。自家製の生パスタをお手頃価格で提供していることから、学生やサラリーマンにも大人気。
次に向かうのは、1961年に開業した吉祥寺ダイヤ街。東西南に分かれてT字上になっており、武蔵野通り、吉祥寺通り(公園通り)、平和通りまで各80m〜90mになっている。入口の近くには今年の7月にリニューアルオープンした「蔵元居酒屋 清龍」が。こちらは蔵元の直営店ということで、美味しい日本酒が手頃な価格で提供されている。
吉祥寺で行列といえば精肉店の「吉祥寺さとう」。まん丸の揚げたて元祖丸メンチカツが看板商品で、なんと1日5000個売れるのだとか。2階には同店が経営する鉄板焼き店の「ステーキさとう」も。
和菓子屋さんの「小ざさ」。こちらの40年以上、早朝から並ばなければ入手できないという幻の羊羹が有名で、最中の入手も困難なのだとか。
こちらは1950年に創業、おでん種やさつま揚げ、練り物の「吉祥寺 塚田水産」。最近では少なくなったおでん種の専門店として、遠方からも買いに来るファンも多いのが特徴。昨年より、19時からは店頭を開放して「立ち呑みおでん屋つかだ」として立ち飲み屋をオープン。おでんはもちろん、酒にぴったりのつまみも豊富。
海外の味は北側にも多数
吉祥寺南側同様に、北側にも海外からの初出店や、本場の味が楽しめる店が多い。
「LEBRTE PATISSERIE BOULANGERIE 東京」は、2018年にパリから日本初上陸したパンとスイーツの専門店。ガラス張りの店舗は、1階がショーケースのある購入スペース、2階にはカフェスペースが併設されている。「Lanikai Juice」は、アサイーボールとスムージーの専門店としてハワイのオアフ島から日本に初上陸。平日・休日問わず、大行列ができている。
「Melrose and Morgan」は、イギリス・ロンドンの高級住宅街に本店のあるデリ&グロッサリーショップ。ロンドン本店のレシピを使って日本の食材を融合させたスコーンやビスケットなどを提供。トートバッグをはじめとしたショップオリジナルグッズも大人気。
初出店ではないが、「Bubby’s」もアメリア・ニューヨークのトライベッカで人気のカフェ&レストラン。2017年にオープンしてから、パンケーキやハンバーガーなどが愛され続けている。
そして吉祥寺には海外の本場の味が楽しめるお店も。1999年にオープンした「パトワール」は本場のインド人がシェフで、ナンやライスが食べ放題という学生にも嬉しいサービスが。五日市街道沿いに佇む「Sajilo Cafe」は本格的なネパール出身の料理人が腕を振う、7坪の小さなお店で、こちらは女性客に大人気。
ずっと愛されるには理由がある、そんな老舗のラインナップ
吉祥寺には本当に昔から変わらず味を提供してくれる店が多い。学生時代の数十年前に吉祥寺で通った思い出のお店がまだ元気に営業中、なんていうエピソードもよく聞くエリアなのではないだろうか。
1978年に創業の「まめ蔵」はカレー専門店。ほっとする空間で提供されるカレーは、どれも1000円前後と嬉しい。あやつり人形劇団の劇団員さんが始めたという「COFFEE HALLくぐつ草」は、1979年に創業された老舗カフェ。洞窟のような店内が特徴で、メニューの中でもレアチーズケーキとカレーが人気。
1985年創業の「茶房 武蔵野文庫」は、挽き立てのコーヒーやクリームソーダ、そしてこちらもカレーが人気メニューなのだとか。「吉祥寺サムタイム」は、ジャズの生演奏と料理、そしてお酒がたのしめるバーで、1975年に創業。週末はランチ営業でも生演奏が楽しめる。
1972年に吉祥寺でオープンしたという洋食店の「らすぷーる」は、再開発などで現在の場所に移転。こちらも同じく洋食店の「まざあ・ぐうす」は1982年に創業。マザーグースに登場するキャラクターの絵やさまざまな絵本が飾られて、雰囲気も満点。
1977年に創業した老舗カフェの「吉祥寺 多奈加亭」は、吉祥寺本店のほかに、駅ビル内にも洋菓子店を出店するほどに住民に愛される店。1975年に創業の「食事とお酒 カヤシマ」は、コーヒー専門店からスタートして現在ではお酒の飲める洋食店としてファンも多い。
1980年に創業した「檸檬雫(レモンドロップ)」は、新鮮な素材とこだわりの製法を活かして丁寧に作られたレモンケーキが代名詞。
よく聞く「東急裏」のエリアって?
吉祥寺をよく知る人が言うのが「東急裏」というキーワード。これは、東急百貨店の裏にアパレルショップや人気の飲食店が多く、そのエリアが東西南北にどんどん拡大し、東急百貨店の西側全体がこう呼ばれるようになったのだとか。
おしゃれと美味しい、そして生活感がうまく共存して新たなスタイルを生み出しているエリアとして注目を集める東急裏のエリアにはカップルも多く、人気店が多く出店している。
古道具と日用雑貨、そしてカフェが併設された「四歩(しっぽ)」は、駐車場のスロープのような不思議な導線で店舗へ誘ってくれる。「PRESQUILE chocolaterie(プレスキルショコラトリー)」は、世界で数々の賞を受賞したショコラティエが2016年にオープンしたビーントゥバーショコラの専門店。
「コマグラ カフェ」は、なんともフォトジェニックな黒いチーズケーキを目指して女性客が連日訪れるカフェ。半地下にある「バーガー喫茶 ちるとこ」は、蔵前から2022年に移転したハンバーガー店で、テーマは喫茶店とダイナーの融合なのだとか。
「TALK BACK」は1987年創業の老舗ビストロ。一番人気のオムライスは昔から変わらぬ安心の味。2012年にオープンした「Bistro Hutch」は、ビストロ激戦区にありながらも、予約の取りにくい店として確立。
「Pizzeria & Trattoria GONZO」は、オールデーダイニングとしてランチからディナーまで、いつでも美味しいグランドメニューが楽しめるイタリアン。「アムリタ食堂」は、日本とタイの融合が楽しめるタイ料理店で、店内もタイの雰囲気が満載。
忘れちゃいけないこんな有名店も
吉祥寺には、まだまだ忘れてはいけない飲食店も。
吉祥寺で登頂、と言えば「肉山」。予約困難なことで知られる名物の赤身肉をはじめ、色々な肉料理が堪能できる2階の店舗とは別に、1階には系列店の「ステーキ&ハンバーグそして勝揚げ 肉山」が2022年にオープン。
小道の奥にひっそり佇むのは、1998年にオープンした知る人ぞ知る「RISTORAANTE IMAI」。本場イタリアの星付き店で修行をしたシェフの、厳選した食材を活かしたイタリアンが堪能できる。朝9時に、当日の整理券を受け取ることで入店ができるという「挽肉と米」は、ハンバーグと米が堪能できる大人気店。民家をリノベーションしたというこちらの店舗は、なんと第一号店なのだ。
手土産にもぴったり
吉祥寺には、ちょっとした手土産にもピッタリなテイクアウトのお店もいっぱい。
1996年に吉祥寺にオープンした「TEA MARKET Gclef」は、シングルオリジンティーを中心に販売する紅茶専門店。2年前に移転した現在の場所では試飲スペースもあるため、お気に入りの紅茶を見つけられそうだ。「たいやき そら」は、かつては屋台で販売を行っていたという、小さなたい焼き屋。昔ながらの一丁焼きにこだわった、たい焼きを、一つ一つ丁寧に仕上げている。そして夏には行列のできるかき氷店に変身をとげる。
「ビストロ パッサテンポ」は、フランスの街角にあるようなビスロトとして人気も高いが、曜日限定で販売されるマドレーヌは、贅沢なバターの風味としっとり食感が人気で、定期的に購入する人も。
根強い人気のラーメン店
北側には、全国区で有名なラーメン店が。都心の店舗では行列でも、吉祥寺ならば並ばずに味わえるかもしれない。
風味とコクのあるスープが人気の中野の名店「中華そば青葉」は吉祥寺に昨年新たな店舗が。そして戦後の屋台がスタートという荻窪の名店「春木屋」。荻窪本店の味を守りつつ、新たな味を創造するのがこちらの吉祥寺店。
豚骨醤油で東京の背脂チャッチャ系としては元祖と言われる「ホープ軒本舗」は1935年の屋台から始まり、その後、吉祥寺の地で店舗を構え、区画整理などを経てホープ軒本舗として現在の場所に移転。戦後のラーメンを語る上では欠かせない店として認知されている。
学生もサラリーマンも、みんな大好き!ハモニカ横丁
夜の帷が降りた頃に、人々が集まってくるのがハモニカ横丁。小さな店舗が立ち並ぶ横丁は、現在の横丁ブームの元祖とも言える。
ハモニカ横丁とは、1945年に駅前マーケット、いわゆる闇市がスタートと言われ、その狭い間口の商店が並ぶ様子がハーモニカの吹き口に似ていることから名付けられたのだとか。約100軒の小さな店舗は、日中は買い物客、夜は飲食店が賑わいを見せ、昭和の雰囲気満載!
「まぐろのなかだ屋」は、新鮮な魚介が堪能できる丼が人気。中でも特製海鮮丼は、最初はそのまま、最後に出汁を入れて出汁茶漬けとして2度楽しめる看板メニュー。「酒処はんなり」は細長いカンターが特徴的。ちょっとつまめる一品や焼き鳥など、リーズナブルなメニューが並び、ちょい飲みに最適。
入り口の魅力的なカウンターがある寿司屋の「片口」は、刺身やにぎりが少量でもオーダー可能。小鉢のつまみも人気で、思わずお酒がすすんでしまう。実はこちらの店には2階席もあり、カウンターが満席でも、ダメ元で声をかけてみる価値あり。
吉祥寺で餃子といえば、こちらの「みんみん」。昼夜も曜日も問わず、いつでも行列ができる大人気店。1973年に創業して以来、厚みのあるもちもちした皮に包まれた手作り餃子が人々を魅了し続けている。また、あさりチャーハンやワンタンなども人気があるのだとか。
「有職たい菓子本舗 天音」は、黒糖を使ったあんこが特徴のたい焼き屋。もっちりとした食感が冷めても美味しいと、客足が途絶えることのない名店。羽付というところもたい焼き好きにはたまらない。
再開発のために同じ吉祥寺内で移転をした店舗が多いにも関わらず、衰退することなく発展してきた吉祥寺という街。戦後の日本の発展を垣間見る横丁の存在や、古くから存在感を誇ってきたアーケード街など、古き良きものが上手に時代と一緒に成長してきたのだと感じる事ができ、とても楽しい場所になっていた。
その中にも、東急裏などの新しい風を感じるエリアが登場するなど、新旧がうまく共存しているからこそマーケティングに活用される街となったのだと実感。どんな人が訪れてもお気に入りが見つかる街、それが吉祥寺だ。
次回はどこの街に行こうかな?お楽しみに。
文・飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
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