開業レポ

飲食店開業者インタビュー VOL.3「WADADA」清水聡さん

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異業種からの独立開業後、半年で 鎌倉から浅草へ移転

異業種からの独立開業後、半年で 鎌倉から浅草へ移転観光客であふれかえる、浅草にカウンター6席のハンバーガー専門店が昨年の10月末に移転オープン。以前の土地も観光名所、鎌倉。
さて、オーナーの清水聡さんは、なぜにあっさりと移転されてしまったのでしょうか。
今回は、よかったこと、悪かったこと、様々なエピソードを包み隠さずお伺いすることができました。すべての出来事を少し、笑いを交えてご紹介いただく、清水さんの人柄にすっかりと引き込まれてしまいました。

ハンバーガー専門店WADADA 内装

 

―こちらのお店は、鎌倉の物件を居抜きで売却したのちに移転されたと伺いました。

(清水さん)
はい、昔から「人の集まる場所」を作りたかったので、まったくゼロからハンバーガーのお店を鎌倉の長谷にオープンしたのが、2017年の4月です。
地元の方の応援もあって、こだわりのハンバーガーができたのですが、何しろこだわりすぎでコストがUP。3カ月たったころには、「これはこの先も売り上げが伸びる予感がしない・・・」と感じてしまい、すぐに物件を売却して次の手を考えようと思っていました。

 

―鎌倉・長谷の撤退要因というのを教えていただくことはできますでしょうか。

(清水さん)
まず、さっきも言いましたが、素材にこだわりすぎましたね(笑)
地産地消っていうことで、葉山牛100%のパテを作ってみたり、パンも鎌倉のこだわりのお店にお願いしたり、野菜はもちろん鎌倉野菜。結果、本当においしいものが出来たのですが、さすがにお値段もなかなかに。一回は食べていただけても、リピートになるかといえば、難しいですよね。

ハンバーガー専門店WADADA 内装

 

―なるほど、そこで西の観光地から東の観光地へ移転されたのですね。

(清水さん)
はい、たまたま以前牡蠣小屋だった場所が居抜きで譲渡希望だというのを知人から聞きまして。店舗のサイズ的にもちょうどいいし、もともと浅草という土地にも抵抗感がありませんでした。自転車で15分ほどのところに住んでいたこともあったので。縁があるな、と決断しました。

 

―そもそも異業種からの開業だと伺いましたが。

(清水さん)
そうです、そうです。まったく、調理技術はなかったですよ。ただ、味覚には自信がありました。20代のころ、よく海外を旅していたんですね。音楽も好きだったので、ジャマイカにも半年ほど暮らしてみたりとか。そんな中で、味覚を育てたと思っています。海外ならではのダイナミックな料理や、スパイスの使い方などに興味深々でしたから。
その後、家業を継いでみたりいろいろな経験を経て、やはり「人の集まる場所」を作りたいなという気持ちから独立を決意しました。僕には、ビジネスパートナーがいるのですが、その彼が元シェフだったこともあり、レシピの組み立てやオペレーションなどを相談しながらやっています。

 

―そろそろ、移転オープンから半年ですが、お客様の反応はいかがですか?

(清水さん)
鎌倉の時よりも、ハンバーガーの種類を増やしたり、浅草ならではのネームにしたりと工夫を凝らしたことで、まずまずですね。最近では、常連の方も増えてきましたし、同じ業界のお方の来店なんかもあって、うれしい限りです。
今後は、上の階の増床も考えているところです。

ハンバーガー専門店WADADA オーナー清水さん厨房にて

 

―清水さんの独立経験から、これから開業を目指している方へアドバイスはありますか?

(清水さん)
そうですね、“こだわりながらも臨機応変”にということでしょうか。
オープンまでって、自分のやりたいことがどんどん膨らんでいって、「こうしたい!!」という気持ちが強いと思うんです。でも、自分のやりたいことを希望のスタイルでやり続けるには、体力(費用)がかなり必要で、時間もかかると思うんです。
「こだわり」と「わがまま」は違うと思うので。
その土地のお客様が求めているものに、スタイルを合わせていくということは大切なことだと思います。
あと、様々な取引先の業者の方にお世話になると思うのですが、その業界の知識を持っているのは自分よりも業者の方なので、積極的にアドバイスを求めながら信頼関係を築くことが大切ですね。僕は、鎌倉オープン時に、地元の商店街の方々にお世話になった経緯があるので、浅草に移転した今でもそのお付き合いは続けています。

 

―独立開業から1年、移転オープンして半年、これからがますます楽しみですね。

(清水さん)
はい、もっともっと認知されるように頑張っていきますよ。
幸せなことに、本当に僕は仲間にとても恵まれていますので、毎日が楽しいです。
これからも仲間が集まれる場所を守っていければと思っています。

 

これから独立する方へ アドバイス 3箇条

  • 其の1. その土地ごとに合わせた店つくりをしていこう!
  • 其の2. その道のプロに敬意を持ち、アドバイスを仰ごう
  • 其の3. 使用する食材は、必ず自分の目と舌で確かめて。

 

 

お店ができるまで

  • 2017年4月鎌倉、長谷に葉山牛にこだわったバーガー店をオープン
  • 2017年9月オープン半年にて移転を決意。居抜き物件として売却。
  • 2017年10月29日浅草に移転オープン

開業費内訳[非公開]

  • 設計施工費非公開
  • 物件取得費非公開

物件詳細

  • 長谷の家賃30万/月
  • 浅草の家賃20万/月

 

<おすすめ料理>

雷チキン

雷チキン(バッファローウィングス)
-ブルーチーズソースと楽しんで。

WADADAバーガー

WADADAバーガー
-A5ランクの黒毛和牛100%使用

 

店舗情報

  • 店名WADADA
  • 業態ハンバーガー専門店
  • 住所東京都台東区花川戸1‐5‐3
  • 交通東京メトロ・都営浅草線 浅草駅 徒歩3分
  • TEL03-5830-3639
  • HP食べログ
  • 営業時間11:30~1:00 定休日 不定休
  • 席数カウンター6席
  • オープン日2017年10月29日
  • 客単価¥2000~

ハンバーガー専門店 WADAD

店主経歴

清水聡さん
20代で海外を旅するなかで、「一人でお腹がすいている状況が一番いやだな」と感じ、「みんなでおいしいものを食べる日々を大切にしよう」と心に誓う。
家業であった、工業用の輸出箱企業の代表を務めたのちに、ハンバーガー店を開業。
他にも様々なビジネスに取り組みながら、グローバルな視点でコミュニケーションを行っている。

 

取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中

 

 

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