繁盛店への道

人気レストラングループ スぺシャルインタビュー「KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA」取締役・総料理長 梶原政之さん

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六本木本店が10周年!2022春、六本木ヒルズに移転

2012年に「気の合う仲間と気軽にワイワイ楽しみながら、がっつりご飯を食べていただきたい!」をコンセプトに六本木に産声をあげ、カジュアルイタリアン業界を牽引する「KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA」。今年、10周年を迎えるにあたり、4月に本店が六本木ヒルズに移転オープンすると発表され、業界内でも注目が集まっています。六本木ミッドタウン店、恵比寿店、msb Tamachi店と次々に店舗展開が進む中、どこの店舗もスタッフのエネルギーがあふれていて、接客が良いと評判です。
 
いったい、どのようにスタッフ指導やモチベーションキープなどを行っているのでしょう。これまでの10年の歴史を紐解きながら、総料理長の梶原政之さんにじっくりとお話をお聞きしました。
 
―六本木本店がオープンした際の料理長だった梶原さんも、お店とともに10周年ですね。
(梶原さん)そうですね。あっというまに。オーナーが独立の際に一緒にタッグを組んでオープンしたのが、10年前です。イタリアから帰国した際に前職企業へ声をかけてくれたのも、17歳の初アルバイト勤務の時に履歴書を受け取ってくれたのも実はオーナーなんですよ。
 
―え、それはすごいです。そして、パートナーとなって会社運営をしているという。
(梶原さん)本当にご縁ですよね。今は取締役・総料理長として、メニューの開発はもちろん、キッチン導線の決定から、アルバイト教育までを担っています。
 
―さっそく質問になりますが、梶原さんが思う使いやすいキッチン導線を教えていただけますか?
(梶原さん)クルクルと動き回れる“アイランドキッチン”ですね。なぜならば、うちのようなサイズのお店は、出来る限り少ない人数でまわすことが大切だと思うからです。よく、「となりのポジションのことは範疇外なので、知りません」というようなお店ってありますよね。大きいレストランだと仕方のないことだとは思うのですが、「KNOCK」のキッチンではありえません。担当ポジションにより忙しくなる時間はそれぞれ違います。まずは、サラダ場や前菜担当が忙しくなり、その後、パスタ場、メイン、デザート、洗い場とタイムスケジュールがずれ込みますよね?その時に、常にそれぞれのスタッフが隣のポジションをサポートできるよう、チェックしあえる導線を組みたいんです。
 
―なるほど! そもそも「KNOCK」のキッチンはどの店舗もお客様から見えますよね。
(梶原さん)はい。もうこれからは、見られることを意識した料理人でなければいけないと感じています。ただ、下を向いて料理を作り続けていればいいという時代は終わったと思うんです。お客様の反応をはじめ、レストランのさまざまなシーンをちゃんと受け止めながら料理をつくってほしいですね。もちろん、見られているということは、笑顔一つにおいても気を抜くことはできませんけど。
 

 
話は少しそれますが、今来ているスーツは、わたしのコックコート替わりです。このスーツ、撥水加工もありつつ、ウォッシャブルで伸縮性もあるので、とてもスムーズに調理ができるんです。実際、調理以外の仕事もおおいので、どのシーンにも対応できるという意味でもメリットがありますね。
 
―ほかにキッチン内で大切にしていることはありますでしょうか。
(梶原さん)非日常のレストランにおいて、日常を感じるものはなるべくお客様の目にとまらないような工夫をしたいと思っています。ラップだったり、アルミホイルだったり。その点では、ホテルレストランなどの収納も参考にしますね。あと、吊るしの棚はつけないようにしています。空間が狭く感じるきがするのと、見える収納ってとても難しいんです。整理整頓がすこしでも崩れると見苦しいですから。
 

 
あとは、キッチンの壁にあえてステンレスを使用せず、タイルなどにしていますね。掃除などの作業効率を考えて、全面ステンレスにしがちですが、やはりお客様から見える場所としての見え方や、キッチンスタッフの気持ちもタイルのほうがほっこりすると思うんです。
 
―今は、「KNOCK」4店舗の総料理長という立場ですが、各店舗の料理長とのコミュニケーションはどのようにされていますか?
(梶原さん)もちろん、カラダは一つなので、自分が入らないお店のチェックという意味では、盛りつけは写真共有からチェックしアドバイスをするようにしています。その上で、出来る限りお客さんと同じ目線でお店の料理を味わうように、突然食べにいきますね(笑)あとは、店舗の共有アプリがあるので、顔を合わせないスタッフとも日々コミュニケーションをとっていますし、スタッフ研修も頻繁に行っています。
 
―聞いているだけで、スタッフのみなさんがとても働きやすそうですね。
(梶原さん)とにかく、労働環境は大切にしていますね。もちろん、自分たちが若いとき、休みがないのも通常営業でしたけれど、今は、時代が違います。しかも、弊社には、60名のスタッフ、10名のアルバイトが集まってくれています。いかに、働き方の希望を叶えながら日々楽しく働いてもらえるのかが大切な時代ですよね。すこし行き詰っていたり、人間関係で悩んでいても、スタッフの連携により、はやめにクリアになることが多いです。人って、課題があるほうが頑張れるんですよね。何も課題がないと、ある意味退屈になりへんな思考になってしまいがち。そこを店舗移動であったり、ポジション変更だったりがあるだけでかわるんです。有難いことに、コロナ禍でも休業中もみんな前向きで、スタッフが欠けることはありませんでした。
 
―素直にすごいです。特にスタッフ教育で大切にしていることは何でしょうか。
(梶原さん)自分たちのお店のことだけに意識をむけるのではなく、東京のレストラン業界をきちんと把握するように伝えています。私たちのお店には、多くのレストランオーナーも来店くださるんですね。それなのに、自分たちはそのお店に足も運んだことがないというのは、関係性としてよくないじゃないですか?若いスタッフにも、ランチでもカフェ利用でもいいからお店を知るという意識をもってほしいと。それだけで、会話もとても広がると思いますよね。あとは、きちんと座学で学んでもらうことを心がけています。営業中のアドバイスは、メモもしづらいですし、忙しい中でどうしても漏れていってしまいます。きちんと学ぶ環境をつくるのも我々の仕事だと思っています。
 
―梶原さんの料理人生をお伺いしたいです。
(梶原さん)とにかく料理を学ぶためにイタリアにいきたかったんです(笑)でも、10代の自分はどうしていいのかわからず、東京のイタリアンに履歴書をもっていくんです。そこで、レストラン業界というものを知って、20代で念願のイタリアへ。2年ほどいくつかのレストランで働かせてもらいました。その後帰国し、100席あるレストラン料理長も経験し、現オーナーの独立に際し、料理長として着任するのですが、若干27歳。当時は、本気で”無我夢中”ですよね。六本木の路面店ですし、超えた舌をもっているお客様へ料理を提供するという現実に必死でした。もはや、懐かしい!
 
―でも、もう10周年!なんと移転されるそうですね。
(梶原さん)そうなんです。今回、六本木ヒルズへの移転が決まりました。この本店の営業は4月8日までで、六本木ヒルズのグランドオープンは4月29日です。
 

 
―どんなお店になるんでしょう。このタイミングでお話いただけますか?
(梶原さん)今、まさに図面をみながら試行錯誤しています。やはり楽しいですね~!ヒルズということで、オールデイダイニングで営業する予定です。もちろん、お客様の需要もあるのでランチセットもつくります。時世的なことも有りますが、実は、その前から世界の人気レストラン視察をしていたなかでオールデイレストランの在り方を考えていたんですよ。
 
―いままでの人気メニューに加えて、あたらしいメニューも楽しみです。
(梶原さん)社内にテストキッチンがあるので、時間があれば常に試作をし、みんなで試食をしていますね。「KNOCK」のメニュー開発には、シーズナルの野菜もかかせません。そもそも、「KNOCK」の強みのひとつは、全国の生産者のみなさんとの絆ともいえるんです。定番人気のトマトスパゲティのおいしさも、まさにトマトの旨みがあってこそですし、ハーブをはじめとし、かかせない生産者パートナーがたくさんいます。畑にもお邪魔することで、野菜の成り立ちもみることができますし、自分たちで草抜きしたり、収穫をすると何より愛情が沸きますよね。
 
―今日は、社内事情も含め、たくさんのお話をありがとうございました。ますます「KNOCK」のこれからが楽しみです。
(梶原さん)ありがとうございます。「PASTAが好き・KNOCKが好き・料理が好き」というシンプルな想いで、たくさんの仲間とこの先も進んでいきたいと思います。
 

<おすすめ料理>


▲「日本のトマトが美味いから!」スパゲティ
 

▲マスカルポーネとこんがりレーズン「パネ・パンナ」
 

店舗概要

  • 店名KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA
  • 移転オープン 2022年4月29日
  • 住所六本木ヒルズ 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー ヒルサイドB2F
  • TEL03-3478‐8220
  • HPhttps://mother-restaurants.com/

CUCINA BUONA ITALIANA KNOCK 外観

 


取材・文 青山友美 
 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中

 

 

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