開業レポ

注目新店舗インタビューvol.19 熟成焼売とウーロンハイ専門店「KAMERA」

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渋谷のディープな場所で「エロカオス」がコンセプト

2021年10月26日に渋谷のディープな街、百軒店にオープンしたお店「KAMERA」。熟成焼売とウーロン茶ハイを中心にカジュアルな台湾中華が楽しめます。オーナーの目良慶太さんと、メニュー開発を行ったオーナーシェフである亀谷剛さんとの出会いは約20年前。目良さんは、広告代理店として起業、亀谷さんは2年連続ビブグルマンを取得している「Bistro Rigole」を三軒茶屋で営んでいます。
 
「アルバイトで数カ月だけ務めた飲食店で気が合って友人になったんです。亀谷は、その後フランスに渡り、自分は就職したんですね。それぞれのキャリアを積みつつ、自分も違う世界にいながらも飲食店へのあこがれもあって。いつか一緒にお店をやりたかったんですよね」と目良さん。オープンから4カ月、今の心境をお二人に伺いました。
 
―この渋谷・百軒店で物件を探そうと思った理由から教えていただけますでしょうか。
(目良さん)私が新卒で就職した会社が道玄坂だったこともあり、自宅も職場も遊び場も渋谷。もうここ、渋谷しか土地勘がないというくらいの生活で。でも渋谷の街も次々と再開発が進み、昔ながらの人情味あふれる場所が少なくなってきているんです。日々、渋谷で街歩き、いや飲み歩きをしていたところ、ディープな百軒店の界隈には個性豊かなお店が多くて。「こんな場所に出店できたらいいな」なんて思っていたら、飲み屋さんで、この街の商店会会長さんと偶然と隣になって色々と話を伺うことに。「なんかご縁がうまれたかも」って感じていたら、この街で物件がでたとの連絡が入ってたんです。そうしたら、その会長さんのお店の向いだったという(笑)。
 
―そんな偶然を引き寄せたんですか?
(目良さん)そうなんです。物件リサーチに関しては、パートナー亀谷の知人にお願いしていたんですよね。だから、本当にびっくりして。でも、すぐにいくつかのエントリーがあったようで、これは逃すわけにいかないと、パワポで資料をつくって、大家さんにプレゼン&交渉に行きました。その甲斐あってか、無事に契約を結ぶことができましたね。もとは、スパイスバルだったんです。リニューアルしたばかりで中は綺麗でした。造作・譲渡で契約をしましたが、内装部分はほぼ作り変えています。床もはがしましたね。
 
(亀谷さん)冷蔵庫などの厨房機器や空調は、そのまま使用しています。水回りなどは移動できないので、ある程度の制約は掛かりますが、13坪弱の空間をスタッフが動きやすいスタイルにできたと思います。
 

 
―コンセプトはどのように決めていったのでしょうか。
(目良さん)お店のコンセプトは「エロカオス」ですね。オランダに娼婦街があるんですが、混とんとしている空気感が大好きで。そんな空気を纏ったお店にしたくて。渋谷の百軒店のイメージとも通じるところがあると思いますし。
 
(亀谷さん)私もフランスに渡っていた際には、まさにそんなエリアに住んでいたこともあり、外国のあの何とも言えないカオスな感じはすぐに共感できましたね。
 
―なるほど。春画がグラスに描かれていたり、飾ってあったりとエロスの融合は納得です。
(目良さん)自分が好きな春画アーティストにお願いしているんです。日本の浮世絵芸術性をもっと知ってほしいという想いがあって。ぜったいに外国の方にも喜ばれると思うんです。
 
―では、料理のことについてお伺いしたいです。焼売とウーロンハイになった経緯は?
(目良さん)東京は飲食店もあふれているし、なんかシンプルな方がいいなと。わかりやすいメニューがいいなというところからスタートし、最終的には亀谷がフレンチなのですが、その感覚を取り込みつつ、ここでしか食べられない焼売を作り上げようと。ウーロン茶に関しては、本格的に中国茶の先生に入れ方も教えてもらい、毎日店でお茶を入れているんです。ここはこだわりですね。
 
(亀谷さん)看板メニューをとことんおいしい焼売にしたかったので、あらゆる方面からリサーチをしましたね。私も自分の店があるので、毎日ここにいられません。なので、別のスタッフが作っても味のブレがないようにと試作を繰り返しました。
 
―お店をオープンしてみて、大変だったことはありますか?
(目良さん)それが、特にないんですよね。なんかいろんな方に助けてもらいつつ、私にとっては初めての飲食店ですが、亀谷もいますし、スタッフもみんなもともと顔見知りで。逆に、お店を持ってみて、いろんな方から「すごいおいしい」「接客がよかった」などの声をいただいて、なんかうれしいなという日々ですね。売り上げも順調ですし。あ、でも飲食店って開業するのに、こんなにお金がかかるんだ!って思いました(笑)
 
(亀谷さん)それは、固定費が絶対的にかかるビジネスですから。それでも、支援金があったおかげで契約後の家賃が助かってますからね。
 

 
―本当に働いているスタッフの方の笑顔が素敵ですね。
(目良さん)頼もしいですね。お店が順調なのは、彼らのおかげです。自分は別事業を本業としているので、ここは信頼できるスタッフに任せているので。
 
(亀谷さん)もともと飲み仲間的な感じで知り合っているのもあって。みんな自由な感覚で楽しんで働いてくれていると思います。
 
―「KAMERA」の店名はお二人の名前からですよね。
(目良さん)はい。本当は、もう少しふざけたネーミングを考えていたんですけど、周りにとめられまして。シンプルに二人の名前を重ねた店名になりました。
 
―オープン販促などはどのような手法を取られたのでしょうか。
(目良さん)お金をかけて何か告知ということは一切していないです。インスタとか自分達でできることをきちんとやるというスタイルです。
 
―現在、お客様の層はどんな感じの方ですか?
(目良さん)思っていたより若い方の来店が多いですね。男女比は半々かな。「インスタをみてきました」という声をよく聞くので、そういう意味では大きなPRをしなくても口コミ形式で広がって言っているのはありがたいです。
 
―この先の出店に関しては考えていらっしゃいますか?
(目良さん)年内にもう一店舗出したいと思っています。できれば同じ渋谷エリアがいいですね。今後、地方を想定した際は、仙台を考えています。好きな街ですし、東北の人たちが集まってくるエリアですから。
 
(亀谷さん)実は、私のビストロも渋谷に移転したいなと考えていて、物件リサーチをし始めたところです。やはり、いろんな意味でも近くにお店を運営しているということのメリットは高いですからね。
 
―ますます「KAMERA」の進化が楽しみですね。お忙しい中、ありがとうございました。
 

<おすすめ料理>

山形豚の熟成焼売・烏龍茶ハイ(台湾四季春)

 

仔羊と黒米の熟成焼売・烏龍茶ハイ(鳳凰単叢)

 

ひまわりよだれ鶏

 

岩海苔ときのこの春巻

 

店舗概要

KAMERA エントランス

 

取材・文 青山友美  食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中

 

 

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