ニュース・特集

毎年接近する大型台風 飲食店ができる事前の備えは?雨量のミリ数の目安とは?

画像

2024年8月末から9月の初めにかけて日本に接近・上陸した台風10号では、風だけでなく大雨も続いたことで、各地で道路の冠水などもみられました。毎年のように大きな被害をもたらす台風ですが、台風が近づいている地域だけでなく、今回は離れた場所でも大雨の被害が出ています。
 
そして、台風には停電のリスクもあります。これらの被害や影響は、対応が遅れると人命にも危機が及びます。飲食店が台風接近時に備えるべきこと、日頃から意識しておかなければならないことについてご紹介します。
 

◆台風10号では遠い場所でも大雨

2024年8月末に日本に上陸した台風10号は過去最大級と予測されたほど規模が大きく、全国を巻き込みました。実際に全国で多くの地域に避難指示が出されました。停電も多く発生しました。
 
台風10号の特徴は台風から離れた地域でも大雨が続いたことです。台風の中心がまだ九州北部にある段階にもかかわらず、東京や神奈川で大雨が降り続き、道路が冠水したり、避難指示が出されたりしたくらいです。
 
さらに、北海道の太平洋側では同時に前線も発達していたため、北日本にも大雨をもたらしました。台風に対しては、「まだ遠いから」と気を緩めてはいけません。台風が日本に近づいている、という段階でニュースはこまめにチェックする必要があります。
 

◆台風接近時の営業判断

では、台風が接近しているとき、飲食店はどのような対策を取るべきでしょうか。
 

◇雨量に対する基礎知識〜降水量の「ミリ数」の意味

まず、雨に対する基礎知識をご紹介します。ニュースでは自然災害時、各地ごとに降水量の予測が報じられますが、「何ミリ」と言われてもピンとこない人の方が多いかと思います。気象庁による分類は下のようになっています。「1時間あたり何ミリ」というのがどういう現象につながるかが具体的にわかります
 

降雨量のミリ数の目安
(出所:「雨の強さと降り方」気象庁
 
「1時間あたり30ミリ以上」がひとつの目安になりそうです。「道路が川のようになる」これは移動を控えるべき雨量です。それ以上、50ミリを超える雨量になると「危険」という領域に入ります。まず予想雨量を早めにチェックして、早めの休業判断をするのが良いでしょう。
 
飲食店としては可能な限り営業したい、というのは誰もが思うことでしょうが、お客さんや従業員の危険を考慮する必要があります。
 
「大雨だけれど予約しているから行かなきゃいけないかな…」とお客さんは思うかもしれませんが、来客の危険や、他の来客が見込めない、などの経営的な判断のもと、予約がある時にやむを得ずキャンセルする場合は、後日、他の形で対応しましょう。また、予約客に対する説明のためにも、上記にある雨量の目安を知っておく必要があります。
 

◇事前のテイクアウトに切り替える方法も

台風の接近がわかると、スーパーなどで事前の買い出しをする人が出てきます。そこで、台風接近前にテイクアウトを実施するのも良いかもしれません。仕入れた食材を無駄にしない方法にもなります。
 

◆停電への備え〜「通電火災」に注意

さて、台風の発生時には停電がつきものです。そこで知っておかなければならないのが、「通電火災」の可能性です。停電から復旧した際に火災が発生するというものです。
 
防止のために、以下の点に注意しましょう。
 
・停電時は電化製品の電源を切り、プラグをコンセントから抜く。コンセントに差しっぱなしのプラグに水分がたまると、通電時にそこから火災が発生します。
・浸水が想定される時や避難しなければならない時は、必ずブレーカーを切って店舗を離れる
・同時に、ガス栓も閉じる。通電時に、漏れたガスに引火するおそれがあります。
 
なお、数日間休業するという場合、離れている間にいつ浸水や停電が起きるかわからないことにも注意が必要です。また、浸水した家電製品は使わず、電器店などに点検してもらいましょう。
 

◆ハザードマップで店舗所在地のリスクを確認すところから

そして日頃から、自分の店舗がどのようなリスクのある場所にあるのか知っておく必要があります。下の図は、国土交通省が提供しているハザードマップポータルサイトで、新宿駅近辺の洪水と内水(側溝や排水路、下水道などから水が溢れる水害)のリスクを表示したものです。隣近所であっても、向かい側どうしであっても、道路の高低差などによってリスクが異なる地点があることがわかります。
 

新宿駅近辺の洪水・内水リスク
(出所:「ハザードマップポータルサイト」
 
よって、店舗は大丈夫でも、帰宅時には道路の冠水など事情が大きく異なっている可能性があることに注意が必要です。ハザードマップポータルサイトでは、住所で検索すればその土地の災害リスクを確認できます。
 

 
使い方もわかりやすく紹介されていますので、まずは店舗のある場所の災害リスクを確認してください。なおハザードマップは自治体のホームページからも確認できます。
 

◆「警戒レベル」について

最後に、災害時にテレビなどで紹介される「警戒レベル」について確認しておきましょう。
 

避難情報の警戒レベル
(出所:「避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)」内閣府
 
今回は「警戒レベル5」である「緊急安全確保」も全国で多く見られました。これは平たくいうと、「避難所に向かうことも危険なので、その場から離れず自分でできることをやってください」という意味合いです。余計な身動きは取るな、ということです。よって、警戒レベル5の発令を待ってはいけません。
 
また、よく「〇〇市の一部」とテレビで紹介されるのは、自治体は地区ごとに土砂災害や、急傾斜地崩壊、浸水想定について「警戒区域」を定めているからです。こうした区域に該当する場所はもともと災害のリスクが高く、真っ先に避難情報が出されます。自治体のホームページなどで、こうした区域に該当しないか、近くに警戒区域がないかも確認しましょう。
 
「台風に備えて休んだけれど結局大丈夫だったじゃないか」、それは逆に良いことです。思っていたより被害が小さかったという地域もあれば、思っていたより被害が大きかった地域もあるからです。今回、台風10号は複雑な進路をたどりました。自然災害は100%予想できるものではありませんから、逆にお客さんに注意喚起できる存在になるのが良いでしょう。
 

 

「ニュース・特集」の関連記事

関連タグ

「ニュース・特集」記事の一覧