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酒類提供者(飲食店)も罰則の対象に 忘年会・新年会シーズンに気をつけたい自転車の飲酒運転

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2024年11月から新しい道路交通法が施行され、自転車の酒気帯び運転が新たに罰則対象となりました。自転車による交通事故が年々増えており、防止のために自転車運転中の「ながらスマホ」の罰則が強化されたのに次ぐのが今回の対策です。
 
また、自動車同様、飲酒運転をするおそれがある人に酒類を提供したり、あるいは飲酒している人に自転車を提供したりすることなども酒気帯び運転の「ほう助」として禁止されているため、飲食店側も気をつけなければなりません。改正法の内容をくわしく見ていきましょう。
 

◆自転車の酒気帯び運転に関する新しい罰則

まず、2024年11月から自転車の酒気帯び運転に対して適用される罰則の内容です。下のようになっています。
 
・酒気帯び運転
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合
自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合
酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
・自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合
同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
 
※アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転する行為は「酒酔い運転」とされ、今般の改正道路交通法施行以前から罰則として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が規定されています。
 
(引用:政府広報オンライン「2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!」
 
注意しなければならないのは、酒類を提供する側にも罰則が設けられているという点です。
 

◆交通事故全体の2割が自転車関連

警察庁によると、自転車関連事故の件数は増え続け、交通事故全体の2割以上を占めるようになっています。
 

自転車関連事故の割合
(出所:政府広報オンライン「2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!」
 
また、飲酒することで自転車事故の第一当事者(過失割合が大きい方)が死亡・重症となる事故の割合は格段に上がることもわかっています。
 

飲酒による自転車事故の死亡・重症の割合
(出所:政府広報オンライン「2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!」
 
飲酒しているかどうかで、死亡・重症事故を起こす割合は倍近く違うのです。
 

◆「自転車運転者講習」の義務付け

また、「危険行為」を繰り返した場合は講習を受けなければなりません。ここでいう危険行為とは、下の16種類です。
 

自転車運転における危険行為
(出所:警察庁「自転車運転者講習制度の概要等」
 
上記の危険行為を3年以内に2回起こした場合、「自転車運転者講習(3時間、6000円)」の受講命令が下されます。受講命令に従わなかった場合、5万円以内の罰金が課されます。
 

◆来店客はもちろん、従業員にも注意を

来店客の交通事故防止は飲食店にとって大切な仕事のひとつです。その安全に配慮し安全に気を配るのはもちろんのことですが、従業員の通勤・退勤手段にも目を配る必要があります。実際、12月に入り、飲食店のアルバイト従業員が仕事で飲酒した帰宅中に酒気帯び運転で検挙された事例もあります。*1
 
忘年会・新年会シーズンを迎えます。今回の法改正をきっかけに、事故を防ぐ方法を改めて考えてみましょう。
 
*1 「自転車の「酒気帯び運転」容疑で男性を検挙 県内の検挙は初」
 

清水 沙矢香(しみず・さやか)

2002年京都大学理学部卒業後、TBSに主に報道記者として勤務。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種市場・産業など幅広く取材、その後フリー。取材経験や各種統計の分析を元に多数メディアや経済誌に寄稿中。
 

 

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