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インボイス制度が飲食店経営に与える影響とは?必要な準備や注意点を解説

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2023年10月1日から、インボイス制度が開始されます。そろそろインボイス制度に対応する準備を始めたい、と考えている飲食店経営者も多いのではないでしょうか。この記事では、インボイス制度の概要や飲食店経営への影響、対応するために必要な準備などを詳しく解説します。ぜひ、参考にしてください。
 


 
参考:適格請求書等保存方式の概要 インボイス制度の理解のために|国税庁
 
 

◆飲食店経営者が知っておきたいインボイス制度とは?

適格請求書等保存方式とも呼ばれるインボイス制度とは、消費税の仕入税額控除の仕組みのことです。2023年10月1日からは、従来の区分記載請求書等保存方式から、インボイス制度に切り替わります。インボイス制度が始まると、消費税の仕入税額控除を適用するにあたって、インボイス(適格請求書)の発行・保存が必要になります。
 
インボイスは、消費税額や適用税率などが明記された請求書です。インボイス発行事業者として登録を済ませた事業者(適格請求書発行事業者)でなければ、インボイスを発行できません。
 

◆インボイス制度が導入された背景・理由

インボイス制度が導入された理由は、正しい消費税額や適用税率を把握するためです。消費税額や税率が分かりにくくなっている背景には、2019年10月に導入された軽減税率制度があります。
 
軽減税率制度では、標準税率10%と軽減税率8%の複数税率が生まれました。しかし、複数税率の状態では、請求書などで税率を明確にしておかないと、取引でトラブルや不正が生じたり、納税額の計算でミスが生じたりする恐れがあります。
 
インボイス制度により請求書で正しい消費税額や税率を把握できると、取引のトラブルや不正が発生しにくくなり、納税額の計算でもミスが起きにくくなると期待されます。
 

◆飲食店経営においてインボイス制度は関係ない?具体的な影響について

飲食店経営でも、インボイス制度への理解が求められます。インボイス制度と飲食店経営の関係性について、具体的な影響に触れつつ解説します。
 

◇仕入先によって仕入税額控除が受けられない

飲食店では、食材を肉屋や農家などから仕入れた上で、仕入税額控除を受けているケースが多いと考えられます。しかし、インボイス制度が開始されると、インボイスを発行できない免税事業者から仕入れている場合は、仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。
 
なお、インボイス制度実施にあたり、免税事業者からの仕入れに対して6年間の経過措置が摂られる予定です。制度開始から2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%が、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%が控除されます。ただし、経過措置が終了すると、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除が一切適用されません。
 

◇経理業務が煩雑になる

インボイス制度開始後は、経理業務がこれまでより煩雑になる可能性があります。例えば、帳簿の作成・保存は、インボイス制度に対応する形で実施しなくてはなりません。
 
さらに、適格請求書発行事業者になると、納税の経理業務も発生します。免税事業者の時代は消費税をそのまま売上に計上できましたが、課税事業者となると、消費税を納税する義務が発生します。なお、適格請求書発行事業者になるためには、免税事業者から課税事業者への転換が前提です。
 

◇法人関係の顧客に選んでもらえない可能性がある

免税事業者のまま経営を続ける飲食店もあるでしょう。しかし、適格請求書発行事業者でないことを理由に、顧客離れが起きる恐れがあります。
 
例えば、法人の顧客が飲食店を利用するとしましょう。インボイスを発行できない飲食店を利用すると、仕入税額控除を受けられない顧客側は負担が増えてしまいます。味やサービスなどで顧客の心を繋ぎ止められなければ、インボイスを発行できる飲食店に顧客が流れてしまう恐れがあります。
 

◆飲食店経営において適格請求書発行事業者になる判断基準

2023年7月現在、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は原則として免税事業者です。インボイス制度の開始により、課税事業者となり適格請求書発行事業者に登録するか、判断に迷う飲食店もあるでしょう。
 
飲食店の場合は、上述したように法人の顧客離れの恐れがあります。まずは自社店舗において法人の顧客数や利用頻度などを分析しましょう。その結果、個人よりも法人の顧客の割合が高ければ、適格請求書発行事業者になった方がよいと考えられます。ほかにも、経理業務の負担増加も考慮しながら、適格請求書発行事業者になるか判断してください。
 

◆飲食店経営でインボイス制度に対応するための必要準備

インボイス制度に対応するための必要準備を解説します。手続きを進め、経理業務のワークフローや請求書の様式を変更しましょう。
 

◇仕入先が「適格請求書発行事業者」かどうかを確認する

適格請求書発行事業者に登録する可能性について、仕入先の意向を確認しましょう。上述したように、仕入先が適格請求書発行事業者でなければ、経過措置が終了すると消費税の仕入税額控除を受けられません。
 
仕入税額控除を受けなくても構わない場合は、仕入先が免税事業者のままでも問題ないと考えられます。しかし、仕入税額控除を受けたい場合は、必要に応じて仕入先を変更したり、登録申請を依頼したりして対応しましょう。
 

◇適格請求書発行事業者になるための手続きを行う

経営する飲食店が適格請求書発行事業者になる場合は、登録手続きが必要です。申請書は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。作成した申請書は、e-Taxか所轄の税務署に提出しましょう。
 
登録手続きが完了すると、登録番号とともに登録通知が届きます。登録にかかる期間は、e-Taxでは約1か月半程度、所轄の税務署に用紙を提出するなら約3か月程度が目安です(2023年7月時点)。
 
参考:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
 

◇経理業務のワークフローを確認する

現状の経理業務フローの見直しも必要です。インボイス制度が開始されると、請求書の様式を確認し、取引に応じた消費税を計算しなければなりません。帳簿の記載についても変更が求められるため、経理部門の負担は大幅に増えてしまいます。
 
インボイス制度に対応する会計ソフトやクラウド請求サービスを導入すると、経理業務の効率化に役立ちます。自社の状況に応じて、必要なサービスを検討しましょう。
 

◇レシート・領収書の様式を変更する

適格請求書発行事業者になったあとは、請求書の様式を変更する必要があります。飲食店の場合は、レシートと領収書の様式を見直しましょう。
 
飲食店業なら「適格簡易請求書」の交付が可能です。適格請求書の必須項目を以下に記載しました。参考にしつつレシート・領収書の様式を変更してください。
 
・適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
・取引が発生した年月日と内容
・税率ごとに区分して合計した対価の額(税込または税抜)
・軽減税率対象商品が分かる記載
・税率ごとに区分した消費税額または適用税率
 

◆飲食店経営者がインボイス制度に対応する際の注意点

インボイス制度について不明点があったり判断に迷ったりするときには、窓口や専門家に相談することが大切です。手続きなどに間違いがあると顧客にまで迷惑が及ぶ恐れがあるため、自己判断は禁物です。
 
例えば、インボイスコールセンター(インボイス制度電話相談センター)では、インボイス制度に関する質問を受け付けています。不明点があれば利用すると、スムーズにインボイス制度に対応できます。問い合わせが多い質問もまとめられているため、事前に確認してみましょう。
 

◆インボイス制度に関するQ&A

インボイス制度に関して、よくある質問と解答を以下にまとめました。申請の期限と、制度に活用できる補助金について確認しましょう。
 

◇インボイス制度の申請はいつまで?

2023年9月30日までに申請した分については、インボイス制度が開始する2023年10月1日に登録を受けられます。インボイス制度の申請は、当初は原則2023年3月末までとなっていました。しかし、未登録の事業者が多い状況を受けて、2023年7月現在は、2023年9月30日まで申請期限が延長されています。なお、2023年10月1日後に登録を受ける場合は、希望する登録希望日から課税事業者になれます。
 

◇インボイス制度に活用できる補助金はある?

経理業務の効率化のために会計ソフトなどのITツールを導入する場合は、IT導入補助金を受けられる可能性があります。上述したように、インボイス制度に対応すると、経理業務が煩雑になります。例えば、2023年6月20日から受け付けが始まった「商流一括インボイス対応類型」では、インボイス制度に対応するクラウド型ソフトが対象です。
 
また、小規模事業者持続化補助金も受けられる可能性があります。特に、新たに適格請求書発行事業者または課税事業者に転換する場合は、全ての申請枠で補助上限に50万円が上乗せされます。
 

◆まとめ

飲食店にも、インボイス制度への対応が求められます。飲食店が請求書発行事業者に転換する場合は、登録手続きが必要です。仕入税額控除の関係で、仕入先の申請状況も確認しておきましょう。インボイス制度を始めとして、飲食店の経営には専門性が求められます。
 
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