バーを開業する方法|必要な資格や届け出・資金・成功するポイントを解説
バーを開業する際には、資格や届け出、資金などが必要です。それ以外にも、開業前の準備や事業計画によって、バーの経営に成功するかどうかが決まるといえるでしょう。この記事では、バーの種類や開業の流れ、バーの開業に成功するポイントなどを解説します。バーの開業資金を抑えるコツも解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
◆バーとは
バー(bar)とは、欧米風の酒場です。カウンター方式の形態で、バーテンダーが洋酒を中心としたお酒を提供します。バーの語源は、バーテンダーと客を区切るバー(棒)を置くことであるとされています。日本におけるバーとは、ウイスキーやカクテル、ワインなどのお酒を提供する飲食店です。
◆バーとキャバクラ・スナックとの違い
バーは午前0時〜6時まで営業できます。風営法2号に基づいて経営することが義務付けられています。ドリンク代やセット料金なども、比較的安めに設定されていることも特徴です。スナックやキャバクラは、午前0時以降までに閉店することが義務付けられています。それぞれ風営法1号に基づき、法律に定められた範囲内で接客やサービスなどが許可されています。
※参考:
飲食店開業と「風営法」の関係、風俗営業許可が必要な営業形態は?| RESTA[レスタ]
風俗営業等業種一覧|警視庁
風俗営業許可(1~5号)|警視庁
◆バーの種類
バーには、さまざまな種類があります。ここでは、バーの種類について解説します。
◇オーセンティックバー
オーセンティックバーとは、格式の高さが特徴のバーです。オーセンティックには「本物の」という意味があり、オーセンティックバーでは、熟練したバーテンダーがお酒を提供します。落ち着いた雰囲気のなかで、会話も楽しめます。
◇ダイニングバー
ダイニングバーとは、食事を楽しめるバーです。「フードバー」とも呼ばれており、カジュアルな雰囲気を楽しめます。ダイニングバーは居酒屋のような営業形態で、バーの初心者から団体客まで幅広い客層が利用しています。
◇ショットバー
ショットバーとは、お酒を一杯ずつオーダーするタイプのバーです。ショットには、一杯の強いお酒を飲む「ワンショット」の意味があります。ショットバーにボトルのキープはなく、1杯ずつお酒をオーダーするのが特徴です。
◇スタンディングバー
スタンディングバーとは、立ち飲みができるバーです。立ち飲みの居酒屋のように、お客同士で気軽に会話できる点が特徴です。スタンディングバーはお酒の種類が豊富で、価格は低めに設定されています。
◇【その他】バーの種類
バーにはさまざまな種類があり、以下のようなお店もあります。
・日本酒バー
・焼酎バー
・スポーツバー
・ダーツバー
・ガールズバー
・ジャズバー
・マジックバー
・鉄道模型バー
・プールバー
・ゲームバー
上記のように、バーは付加価値をプラスしたお店が数多くあります。顧客の趣味や嗜好に合わせて、さまざまな形態での営業が可能です。
◆バーの開業に必要な資格
バーを開業する際は、2つの資格が必要です。ここでは、それぞれの資格について解説します。
◇食品衛生責任者
食品衛生責任者は、飲食物の衛生を管理するための資格です。バーをはじめとした飲食店には、食品衛生法第51条に基づき、1人以上の資格保持者が必要です。食品衛生責任者の資格は、都道府県の食品衛生協会が開催している講習を受講して取得します。受講の費用は、12,000円(税込み)です。ただし、調理師免許や栄養士免許の保持者は食品衛生責任者の要件を満たすため、資格を取得する必要はありません。
※参考:食品衛生責任者養成講習会|一般社団法人東京都食品衛生協会
◇防火管理者
防火管理者は、店舗の管理や火災を予防するための資格です。店舗の収容人数が30人以上の場合、防火管理講習を受けて資格を取得する必要があります。防火管理者は、店舗の面積によって「乙」と「甲」に分かれます。
・乙種防火管理者:300平方メートル未満
・甲種防火管理者:300平方メートル以上
防火管理講習の受講費は、乙種が8,000円(税込み)で、講座の受講には1日かかります。甲種は7,000円(税込み)で、2日間の講座を受けます。
※参考:防火管理講習|講習について|防火・防災管理講習|一般財団法人 日本防火・防災協会
◆バーを開業する際の届け出
バーを開業する際は、許可が必要です。ここでは、バーを開業する際の届け出について解説します。
◇飲食店営業許可
飲食店営業許可は、保健所の立会検査を経て交付されます。食品衛生責任者を指定し、設備・構造の要件を満たすことが必要です。許可が下りるまでには、数週間程度の期間がかかります。設備・構造の要件は、保健所に相談するとよいでしょう。
◇深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜酒類提供飲食店営業開始届は、深夜0時以降に営業し、お酒を提供するために必要です。届け出のテンプレートは、警視庁や各警察本部のサイトからダウンロードできます。届け出は、バーの営業開始10日前までに済ませましょう。
◇特定遊興飲食店営業許可申請
特定遊興飲食店営業許可申請は、お酒や遊興を提供するために必要です。遊興とは、ショーやダンスなどを指します。この資格には、病院や図書館などから一定の距離が必要であるなど、さまざまな要件があります。許可申請書は、警察署に提出してください。新規開店の場合は、24,000円の申請手数料がかかる点にも注意しましょう。
※参考:飲食店開業と「風営法」の関係、風俗営業許可が必要な営業形態は?| RESTA[レスタ]
◇防火管理者選任届出
防火管理者選任届出とは、防火管理者を指名するためのものです。防火管理者の資格を取得した後、届出を提出する必要があります。届出のテンプレートは、都道府県消防庁の公式サイトからダウンロードできます。防火管理者選任届出書は、「消防署保管用」と「事業所保管用」の同じ内容のものを2枚提出しましょう。
※参考:飲食店開業における防火管理者について知ろう!必要な場合は?資格の取得方法は?| RESTA[レスタ]
◆バーの開業に必要な資金
バーの開業には、目安として約500万〜1,000万円の資金が必要になります。物件の取得や内装・外装の工事、開業初期の運営などの費用が必要なためです。資金の内訳は、以下のとおりです。
・物件取得費:150万円~200万円
・内装・外装工事費:150万円~500万円
・設備費(厨房機器、洗浄設備など):50万円~200万円
・什器費(皿、グラスなど):50万円~100万円
上記の開業資金に加えて、運転資金に約50万〜80万円かかります。東京や大阪の一等地で開業する場合は1,000万円以上の資金が必要です。
◆バーの開業資金を抑えるコツ
バーの開業で資金を抑えたいなら、居抜き物件を取得することをおすすめします。内装やシンクや調理台といった設備・厨房機器・什器など、様々な費用を節約できるためです。居抜き物件は工事の期間を短縮できて、営業開始の時期を早められる点もメリットです。ただし、貸主や前借主からの造作譲渡費用がかかることが多い点に注意しましょう。
◆バーを開業する流れ
バーの開業においては、コンセプトの作成や開業後の運営も大事です。ここでは、バーを開業する流れを解説します。
◇コンセプトを決める
コンセプトとは、顧客に提供する価値のことです。たとえば、顧客としてインバウンド観光客を想定する場合、日本人と国際交流ができる点がコンセプトです。コンセプトを決める際は、市場を調査し、分析結果をもとに戦略を練りましょう。バーのコンセプトが明確になると、開業する際の準備や事業計画の作成がスムーズになります。
◇物件の内装・外装を決める
コンセプトをもとに、物件の内装・外装を決めます。バーの内装・外装は、顧客にとって魅力的なオリジナリティのあるものにしましょう。施工を依頼する際は、業者に伝わるように必要な要素を箇条書きにします。コンセプトが不明確なまま施工をすると、想定とは違う内装・外装になる可能性があるため、注意が必要です。
◇物件の立地を決める
バーの物件を探す際は、地下や2階以上の上層階なども検討に入れるとよいでしょう。バーの顧客は、マスターや顧客の知り合いによる来店が多いためです。物件の立地を探す際に、一階路面立地にこだわる必要性は低くなります。自身で集客できる場合は、物件の取得費や賃料を抑えられる可能性があります。
◇開業する(集客・仕入れ・従業員)
物件の内装・外装を決めて、必要な資格や許可を得た後に開業します。集客は開業2〜3か月前から始めて、開業後に売り上げを上げられるようにしましょう。バーはWebサイトやSNSなどを活用し、顧客を集め続けることが大事です。仕入れは業者の紹介や酒販売業者、インターネットなどで行います。従業員を雇う際は、接客の質が高い人を選びましょう。バーは雰囲気と従業員の接客によって、顧客の満足度を高められます。
◆バーの開業を成功させるポイント
バーは入りやすい雰囲気と、通いやすさが大事です。ここでは、バーの開業を成功させるポイントを解説します。
◇入りやすい雰囲気をつくる
バーは居酒屋と比較すると、敷居の高さを感じやすいという特徴があります。バーの初心者でも入りやすい雰囲気をつくると、安心して利用してもらえるでしょう。バーの客層を広げるためには、ひとり客を歓迎する雰囲気をつくることも大事です。新規来店のサービスを用意するなど、顧客を獲得するためにも工夫しましょう。
◇リピーターを増やす
バーのリピーターによって得られる利益は、経営を続けるうえで重要です。飲食店の経営に限らず、新規客の獲得コストは高い傾向にあります。新規顧客が来店する際は、リピーターになってもらう工夫が必要です。顧客1人ひとりと丁寧なコミュニケーションを心がけて、リピーターになってもらうよう努めましょう。
◆まとめ
バーの開業には、物件や資格、届け出などが必要です。開業の際は、それらを取得する準備や費用がかかる点を考慮しましょう。物件の取得や内装・外装などにかかる費用を合計すると、約500万円〜1,000万円がかかります。費用を削減するためには、居抜き物件を取得するなどの工夫が必要です。
RESTAは、「居抜き物件掲載トップクラス居抜き市場(いちば)」を運営する、店舗専門の不動産業者です。飲食店の出退店や開業のノウハウなどを熟知しており、飲食店経営に役立つ幅広い情報を発信しています。ぜひ参考にしてください。
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