緊急事態宣言、30日に解除 飲食店の営業や酒類提供はどうなる?
政府は、現在19都道府県に発令中の緊急事態宣言と8県に出しているまん延防止等重点措置について、今月30日までで解除すると発表した。今回は、緊急事態宣言からまん延防止等重点措置への切り替えもしない、としている。
宣言や重点措置が全国で解除されるのは4月4日以来、約半年ぶりとなる。ただ、飲食店の営業についてはいぜんとして制約があるほか、自治体独自の対策を取るところもある。
認証を受けた飲食店は午後9時まで、自治体判断も
解除後の飲食店の営業については、「緊急事態宣言」の解除地域では今後も1か月程度、時間短縮などの要請を継続する。
具体的には、
・自治体などから感染防止対策の認証を受けた飲食店は午後9時まで
・それ以外の飲食店は午後8時までの営業時間短縮を求める
ことが基本だ。
ただ、酒類の提供については、感染状況に応じて営業時間や形態の緩和・厳格化を各都道府県知事が判断するとしている。
また、カラオケを提供する飲食店の場合に対してはカラオケ設備の利用自粛を要請。状況をみて知事の判断で緩和を検討するという。
今後の対応は、実質的には各都道府県知事に判断が委ねられた形だ。
宣言、重点措置解除の理由
菅首相は記者会見で現在の感染状況について「病床使用率はすべての都道府県で50%を下回り、重傷者は9月初めをピークに減少傾向にある。一時は全国で13万人を超えた自宅療養者も3万人となり、なお減り続けている」と説明。
専門家が示している解除の基準を満たしているため、と解除の理由を述べた。
時短要請、協力金 各自治体の対応
各都道府県知事に判断を委ねられた飲食店の営業時間などの規制については、早くも方針を決める自治体が相次いでいる。
東京都は、宣言解除後の10月1日から24日までを「リバウンド防止措置期間」とし、営業時間短縮を求める*1。「感染防止徹底点検済証」の交付を受けている飲食店には午後8時までの酒類提供、9時までの営業を認めるが、点検証の交付を受けていない飲食店には引き続き酒類提供や持ち込みの自粛を要請する。
そして、対策を取った飲食店への協力金として、
・中小企業には1日あたり2万5000円〜20万円
・大企業には売上の減少分に応じて、最大20万円
を支給する。
大阪府は、認証店に限り午後8時半まで酒類の提供を認めるとしている。認証を受けていない店については引き続き、酒類の提供や持ち込みの自粛を要請する。
京都府は京都市などの飲食店に対して営業時間を午後8時まで、換気や消毒の徹底など一定条件を満たす飲食店には酒類の提供を7時半まで求める方向で調整している。さらに府の認証を受ければ営業時間を午後9時まで、酒類提供を8時半まで認める方針だ。
また、北海道では札幌市内など一部地域に引き続き時短要請を続ける。認証を受けた飲食店で営業は午後9時までとする方針だ。
緊急事態制限解除となる自治体では全体的に、営業時間の多少の前後はあるものの、全体的には時短縮要請を維持しつつ、酒類の提供については一定の条件下で認めるという動きが見られる。
「Go Toイート」延長や食事券再販は今後の判断
なお、「Go Toイート」の食事券再販売について、野上農林水産相は「都道府県が販売を再開するか判断できるよう国として支援していく」という方針を示した。
また、現在35の都道府県が販売を停止したり、利用の自粛を呼びかけたりしている食事券の利用期限延長については今後判断するとしている。すでに販売された食事券については今年12月まで利用期限が延長されているが、再延長については、現在のところ明確な見通しはない。
忘年会シーズンを控えたタイミングでの宣言・重点措置の解除は朗報とも言えるが、新型コロナに関しては冬にかけて「第6波」の懸念があるだけに、慎重な店舗経営が引き続き求められる。
また、各都道府県の店舗認証方法、時短営業に対する協力金や国の補助金などの情報については引き続きチェックしていきたい。
*1「東京都におけるリバウンド防止措置」 p4-5
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