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フードサービス・ジャーナリスト 千葉哲幸 連載第三弾 ロードサイドはビッグになるための布石(後編)

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ロードサイドに出店した「串カツ田中」「焼肉ライク」何かと話題の二業態。

「串カツ田中」は3月28日群馬・前橋、「焼肉ライク」はその翌日の3月29日千葉・松戸である。

焼肉ライクオープン時長蛇の列
「焼肉ライク」のロードサイド1号店「松戸南花島店」は3月29日にオープン。千葉・松戸市内を縦断する国道6号線沿いに立地している。同店の母体となる株式会社ダイニングイノベーション(本社/東京・渋谷区、代表取締役社長/松宮秀丈)では、「ロードサイドはスピード感を持って店舗展開するために重要な立地」と述べている。

焼肉ライクお洒落でカフェの様な内装
同店はラーメン店チェーンの「幸楽苑」を展開する株式会社幸楽苑ホールディングス(本社/福島・郡山市、代表取締役社長/新井田昇、以下幸楽苑HD)と2018年12月26日にフランチャイズ契約を締結し、「『焼肉ライク』郊外モデル共同開発プロジェクト」を発足して開発されたもので、「幸楽苑」として営業していた店舗を「焼肉ライク」にモデルチェンジした。幸楽苑HDでは「焼肉ライク」をロードサイドに年内中10店舗展開するという。

 

焼肉ライクテーブル席のリファイン
ロードサイド立地では子供客が増えると予想し、テーブルの高さは都心と比べて低くしている。

 

フードメニューにも食事の他にスープやデザートがセットとなった「お子様ごはんセット」、「お子様セット」480円をラインアップしたほか、「韓国ノリ」180円、「コーンバター」180円、ウインナー280円など子供客も想定した単品メニューも加えた。また、「離乳食」200円というメニューもある。このように、お子様ウェルカム的な雰囲気が店舗づくりやメニュー構成から感じられる。

 

業態転換することで近接店舗の売上が上がる

幸楽苑HDが、この物件に「焼肉ライク」を出店した背景として、松戸エリアに「幸楽苑」が3店舗あることを理由に挙げている。

同社では2017年11月に株式会社ペッパーフードサービスと「いきなり!ステーキ」のフランチャイズ契約を結び、既存店から業態転換して同店を16店舗展開している(2019年3月末現在)。

既存店を「いきなり!ステーキ」に転換したことの最大のメリットは、自社競合がなくなり、既存店客数が大幅に増加したこと。その顕著な例は、静岡県の「幸楽苑」富士蓼原店を「いきなり!ステーキ」に替えたことによって直線距離で3Km離れた「幸楽苑」富士伝法店の客数が前年比38%増、宮城県の「幸楽苑」名取4号BP店を「いきなり!ステーキ」に替えたことで、同一車線で1.2㎞隔てた「幸楽苑」中田店の客数が前年比19%増となった(2018年12月末時点)。

 

焼肉ライクカルビハラミセット

同社にとって「焼肉ライク」を擁することは「いきなり!ステーキ」と並ぶ強力な業態を持つことであり、自社競合をなくして近接エリアの売上を押しなべて向上させるという効果が期待される。

 

滞在時間が長くなり客単価が上がると予想

さて、4月に入り「焼肉ライク」の出店ペースが上がっている。既存店は、新橋本店、新宿西口店、渋谷宇田川町店、横浜鶴屋町店となっており、この4月に松戸南花島店の他、五反田西口店、秋葉原電気街店、上野店と続き、海外では台湾とインドネシアに出店する。

「焼肉ライク」はこれまで株式会社ダイニングイノベーションの一事業であったが、4月1日から分社化し、株式会社焼肉ライクの事業となった。

 

焼肉ライク代表取締役社長の有村壮央氏はこう語る。

「平日はランチタイムが主力となるが、土日祝日はランチライムからディナータイムまで途切れることなく来店することが予想される。滞在時間が既存の都心店が25分であるのに対し30~40分になり、客単価も既存店の1350円より高くなるでしょう」

 

「焼肉ライク」の展望として「5年間で300店舗」と公表してきたが、最近ではロードサイド出店についての引き合いが多く、この松戸の店がどのような業績を示すかによって、この数字は大きく変わるかもしれない。

 

焼肉ライクの充実したお子様メニューと単品メニュー

「串カツ田中」と「焼肉ライク」のロードサイド立地での業態づくりについて述べてきたが、この二つに共通するキーワードは「ファミリー、お子様」である。「串カツ田中」においては既存の住宅街立地での客層でもあるが、いずれにしろ客層を大きく広げることになる。都心の繁盛業態にとってロードサイド立地はビッグビジネスを目指すための重要な布石と言えるだろう。

 

 

 

 

千葉哲幸(ちば てつゆき)

フードフォーラム代表 フードサービス・ジャーナリスト

柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴36年。フードサービス業界の歴史に詳しく最新の動向も追求している。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

 

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