開業レポ

注目新店舗インタビューvol.14「あたりや食堂」宮崎発・創業73年のオリジナルの味で東京展開

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2021年7月12日に根津駅から徒歩2分の場所に移転オープンしたのが、「あたりや食堂」。食堂という名前から、定食屋のイメージをもつ方も多いかもしれません。しかし、こちらのお店は宮崎県都城市に本店をもつ、ラーメン店なのです。
 
オーナーは、本店創業者の孫にあたる、坂元大吾さん。
 
この地の前は、秋葉原で10年間営業をしていたものの定借だったため、今回の移転オープンとなったとのこと。仲良く店を切り盛りするご夫妻の坂元大吾さん、多恵子さんにお話を伺いました。(写真中央・右)
 
―移転オープンは今年の7月12日ということですが、このあたりで物件を探されていたのでしょうか。古民家の物件は、谷中の街らしさが満点ですね。
(坂元さん)前の物件は、10年という定借ではあったものの、もしかしたら更新もあり得るかもと淡い期待をしていたのですが、そうは簡単にはいきませんでしたね。結局、更新されることはなく、同じ秋葉原で探していたのですが、なかなか希望サイズにあう物件が出てきませんでした。そのため、年明けから少し範囲を広げて探していたところ、築111年という長屋物件に出会えたのです。千代田線の根津駅は自宅からも交通の便が良く、サイズもぴったりでした。
 
―物件を決定したポイントを教えてください。
(坂元さん)まずは、駅から近いという点ですね。そして、先ほどもお伝えしましたが、個人店経営として理想のサイズ感に、家賃です。このあたりの家賃相場は、坪単価が神田や秋葉原と比較すると安めというのは重要なポイントでした。さらには、この街の雰囲気がとてもよかったことも決定した大切なポイントです。
 
―本当に駅近で路面の古民家長屋物件というのも貴重だと思います。もともとはなんのお店だったのでしょうか。
(坂元さん)前は、BARだったと聞いています。そのため居抜きで契約をしましたが、結局はスケルトンにしてからのスタートでした。契約は3月末に行いましたので、準備期間は3カ月とちょっとです。工事中は、色々と古民家ならではの洗礼も受けましたね(苦笑)。無事にオープンできて本当にほっとしています。
 

 
―移転オープンから2カ月ほどですが、順調な滑り出しでしょうか。
(坂元さん)そうですね、まさに緊急事態宣言中のオープンでしたので、あまり大々的なPRをするということもなく、近隣のお客様を中心にご来店いただいている状況です。
秋葉原の時は、ビジネスマンの来店が多かったですが、今回は住民の方が5-6割、ビジネスマンが1-2割という感じを受けますね。また、お酒の提供が可能になった際には、売り上げにもお客さの層にも変化がでてくると思います。
 
―看板メニュー「雷々麺」や「特製ピリ辛餃子」はビールやハイボールとの相性がバッチリですね。
(坂元さん)はい、餃子はもちろんですが、「雷々麺」のニンニクの効いたあんかけの中には、さつま揚げ、玉ねぎ、にら、豚肉をたっぷり入れています。餡をちゃんぽん麺にかけることを考案したのは、私の父です。創業者の祖父はうどんに野菜餡をかけていたのですが、その餡を改良してオリジナルの味「雷々麺」を誕生させました。現在、創業73年になる都城市の本店は、私の弟が守っています。
 
―いつ頃から、東京に支店を出そうと決意されたのでしょうか。
(坂元さん)実は、若き頃は絶対に跡を継ぐことは嫌だ!と思っていました。高校を卒業し上京したのですが、就職した先はまったくの異業種。幼い頃から実家が飲食店という状況がとても嫌だったので、飲食系には目もくれませんでした。
 
しかし、20代の頃、副業で飲食店アルバイトをしてみたところ、驚くほど楽しくて(笑)結局、どんどん飲食の魅力にのめり込んでしまい、独立が頭によぎるようになりました。そう考えると、せっかく飲食で独立をするのであれば、宮崎の実家の味を東京で展開していきたいなと。あんなに嫌がっていたのに、自分から味を守ることを決意したのです(笑)。本当に不思議なもんですね。
 
―さすが、飲食のDNAが受け継がれているということですね。
(多恵子さん)本当ですね、歳を重ねるごとに主人の考えに変化が出ているのを近くで見ていましたので暖簾を背負っての独立も自然な流れだったと思います。あんかけにさつま揚げを入れるとかは、やはり宮崎ならではですよね。私は関東出身なので、はじめはさつま揚げ?と思ったほどです。
 

 
―今、働いてるスタッフの方も、宮崎出身だとか?
(坂元さん)そうなんです。新規募集に、偶然宮崎出身のスタッフが来てくれた!と思って。そうしたら、実は秋葉原の時にお客さんで食べに来てくれていたと聞き、びっくりです。やはり同郷というのはうれしいですし、信頼もしています。
 
―今回の店舗は、店内飲食のほか、テイクアウトやUBERも対応されているとのこと。お持ち帰り窓口があるのが印象的です。
(多恵子さん)今のおうちごはんの需要に対応するべく、工夫をすることにしました。例えば、「雷々麺」ですが、持ち帰りから10分以内にお召し上がりいただける場合は、こちらで麺を茹でてお渡しします。でも、お召し上がりまでにお時間がかかる場合は、ご自宅で熱湯にくぐらせていただくスタイルでお渡ししています。そもそもちゃんぽん麺は蒸してあるので、ご自宅でも簡単に再現可能、よりおいしく召し上がっていただくことを優先しました。そのほか、冷凍餃子なども展開しているので、店内の売り上げ以外の外販にも力を入れていきたいですね。お持ち帰り窓口は、気軽にテイクアウトをお声がけいただきたいなと思い作りましたが、なかなか好評です。
 
―まだまだ、世の中も不安定ではありますが、ぜひこれからも頑張ってください。
(坂元さん)ラーメンに関しては、季節メニューなども展開しているので、まだまだ色々追及していきたいと思っています。頑張ります。
 

<おすすめ料理>

*「雷々麵」「餃子」はテイクアウト可能
 
雷々麺

雷々麺  800円

 
宮崎らーめん

宮崎らーめん 780円

 
特製ピリ辛餃子

特製ピリ辛餃子 400円

 

店舗概要

  • 店名あたりや食堂
  • 住所東京都台東区谷中1-2-14
  • 営業時間11時~14時30分/17時~23時 ※スープ、麺が無くなり次第早仕舞いする場合があります。政府の要請により営業時間の変更がございます。
  • 定休日不定休
  • HPhttp://atariya.ciao.jp/

あたりや食堂 外観
 

 
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中

 

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