飲食店開業成功者インタビュー VOL.1 「キング製麺」水原裕満さん
人が集まるエリアかどうかはチェックをします!
ラーメン業界に突然現れた新星として、各方面から注目を浴びている水原裕満さん。
それもそのはず、「らぁめん小池」「中華蕎麦にし乃」そして今年の3月にオープンした「キング製麺」と立て続けにヒットを飛ばしています。「らぁめん小池」「中華蕎麦にし乃」に至っては、ミシュランガイドのビブグルマンに掲載されるほど。
ラーメン店の修行は“約6カ月”という水原さん。28歳で独立という若さも手伝ってか、新しい目線でお店を開業し成功に導いています。今までに至るまでのお話を伺うと、抑えるポイントは必ずチェック!そして時には大変なことも正面から向き合うことで、軽やかにクリアしてきているように感じました。
―オープンが2019年3月と伺いましたが、お客様への告知はどのようにされたのでしょうか。
(水原さん)ツイッターだけです、主には。なので、初めはスロースターターでしたね。この場所は駅から少し歩きますよね?駅前とは違うので、目的来店を狙っての出店でした。そうこうしているうちに、姉妹店のお客様がわざわざ足を運んでくれたりもして。
―こちらの物件に決めた理由をお伺いできますか。
(水原さん)はい、私は物件を選ぶ決め手は、近くに人が集まる場所があるのか?ということ。コンビニや銀行などの数などにも注目しますが、この王子に関しては、店舗の横に区役所があるということです。区役所があるということは、必然的に人が集まるエリアという点なんです。車で来られた方も、「あっ、ここにラーメン店ができたな」とか、「次回食べてみよう」なんて思っていただけるはずですよね。そういう意味では期待大で。店頭にスペースがあるので、自転車が止まったり、行列になっても邪魔にならない場所だったので、出店を決意しました。
―そもそも、今回ははじめから王子で探されていたんでしょうか。
(水原さん)いえ、西早稲田なんかの物件もチェックをしていたのですが、人気エリアということもあり、なかなか条件に合うものが出てこなかったので、条件にあえばということで広く見るようになりました。今回一番の目的は、製麺ができる空間を作れるかということだったので。
―このタイミングで、自家製麺にこだわるというチャレンジをされるんですね。
(水原さん)はい、飲食店の成功のカギは、効率と非効率のバランスだと思うんです。それは、過去に勤務経験のある大手焼鳥チェーンで学びましたね。店舗数が増えたからこそ出来ることは何か?と考えた時に、あえてこのタイミングで手間ひまをかけるという手段を選びました。
―ここで、水原さんとラーメンとの出会いについてお話を聞かせてもらってもよいですか?
(水原さん)昔から絶対にラーメン店で独立したいなんて思っていたわけではないんです。ほんと、ラーメン修行というのもほぼしていません。
バンドに明け暮れていた日々から、モノ作りをしたいと革靴の専門学校に行き、賄付きの飲食店でのアルバイトがきっかけですね。ラーメン店6カ月、焼鳥居酒屋を3年経験し、飲食での独立を本格的に目指すようになったのです。
まずはチェーン店かな?なんて説明会に行ったら、トータルでかかる費用が2000万とかで、無理だーーと。(笑)なんとか、居抜き物件を探した中で、借り手が付きにくい物件との出会いがあり、保証金をすこし下げてもらい、600万以内で2013年の1号店「らぁめん小池」のオープンに辿りつきました。
―未経験でのラーメン作りをどのように始めたんでしょう。
(水原さん)ラーメン本と小さい寸胴を買って、自宅で作っていました。しかし、店舗での仕込みとなると大量の調理なので、思うように出来ず、しかも保存の仕方がわからず、いきなりつまずきました。この時、修行をしておけばよかったなと心から思ったものです。内装はすでに完成し、前に進むしかない状況で。営業しながら、知り合いの店主さんのところに麵とスープを持参して、味見をしてもらいアドバイスをもらって、何とかカタチになりました。開店当初のお客様には申し訳ないことをしたと反省しています。
―なるほど、勢いで進んだ感じなんですね。しかし、結果的にはクオリティも高くお客様に満足いただくお店になっているのが素晴らしいです。3店舗のお店の名前もなんだか印象に残りやすいですが、どのようにつけられるんですか?
(水原さん)完全に直観です。店舗展開を見据えていたので、自分の名前にしないほうがいいかなと思って、ラーメン屋だとイメージしやすい名前にしました。そして、2号店、この名前はですね、私が西野七瀬さん押しで(笑)。いや、これ本当で。好きなアイドルの名前から店名に採用させていただきました。
そして今回の「キング製麺」これは、実はミスからの命名。。。王子を英語でとキングと勘違い(笑)でも、プリンス製麺よりも、ドッシリしていて気に入っていますよ(笑)
―楽しすぎますね、水原さん。独立から6年で大変だったことはありますか?
(水原さん)やはり、人材ですかね。自分の希望するタイミングで良い人材と出会えるとは限りません。なので、募集をかけ良い人材と出会えた時は、定員以上であっても採用します。その分、既存店でゆっくりと弊社のスタイルに馴染めますし、新規出店への礎にもなりますから。
―それは、素晴らしいです。最後に今後の目標を教えてください。
(水原さん)仕事終わりに、ふらっと寄れるようなお店を作ってみたいですね。お酒もあるような。他には、同業店舗と一緒に開発するグランドメニューがあるお店とかも夢がありますね!まだまだたくさんやりたいことが溢れています。
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. なるべく店の近くに住む(オープン時は想像以上に大変)
- 其の2. インスタや雑誌で気になったお店は必ず足を運ぶ
- 其の3. 競合店を気にしすぎない
お店ができるまで
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開業費内訳
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<おすすめ料理>
全部入りワンタン麵(白だし)
全部入りワンタン麵(山椒)
店舗情報
店主経歴1985年横浜生まれ。バンド活動を経て、革靴の専門学校へ。専門学校時代のアルバイトから飲食の世界へ。28歳で独立を決意。ラーメン修行をすることなく、上北沢に「らぁめん小池」を2013年にオープン。2018年には本郷3丁目に「中華蕎麦にし乃」をオープン。どちらの店舗も、ミシュランガイドに掲載される人気店となる。2019年3月に「キング製麺」を王子にオープン。 |
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中
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