4つのテーマと「葛西臨海公園」の公共施設の再生・活性化
ゼットンが取り組む「サスティナビリティ」 前編
株式会社ゼットン(本社/東京・港区、代表/鈴木伸典)では、2019年から2023年の中期事業計画の中で、2019年から2020年にかけて「サスティナビリティ」に取り組むことを表明している。この考え方は「2030アジェンダ/SDGs」(17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標」)、「パリ協定」(温暖化対策の新しい枠組み)、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、持続可能性レガシー」(カヌー・スラロームセンターに隣接する葛西臨海公園飲食店運営事業を踏まえて)という3つの国際的枠組みを踏まえてのものである。
「サスティナブル取り組みテーマ」は大きく4つ設けられており、これらの項目を紹介しよう。
1. 持続可能な低炭素・脱炭素社会実現への貢献
(1)店舗電力を可能な限り再生可能エネルギー化
(2)店舗照明のLED化
2.持続可能な資源利用社会実現への貢献
(1)使い捨てプラスチックの廃止
(2)食品廃棄削減及び再生利用
(3)店舗内装に再生材活用
(4)再生材・生分解性素材を使用したユニフォームの導入
(5)持続可能な食材・資材調達
3.人権・労働に配慮した社会実現への貢献
(1)社内におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進
(2)障がい児支援NPO法人「Ocean’s Love」活動へ協力
4.持続可能な社会を実現する地域づくりへの貢献
(1)経営理念「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」の実践
(2)公共施設の再生・活性化 (3)地域におけるスポーツの振興
パークウエディング等、新しい公園の楽しみ方を提案
さて、同社では都立葛西臨海公園(東京都江戸川区)のレストランリニューアルに際しての飲食事業者として認定された。まず、今年の3月1日よりBBQ広場の運営管理を受託。3月16日に「PARKLIFE CAFE & RESTAURANT」(160席、うちテラス60席)をオープン。4月16日に葛西臨海公園の象徴的な建物であるクリスタルビューの中に「CRYSTAL CAFE」(72席)をオープンした。
ここでの取り組みは同社の「サスティナビリティ宣言」と同時にはじまったことで、その表現がいかんなく発揮されている。
さらに、プレミアムBBQを楽しむことができる「SORAMIDO BBQ」も展開し、ガーデンパーティやパークウエディングも行い、新しい公園の楽しみ方を提案する。
「SORAMIDO BBQ」はBBQサイトが18カ所あり、それぞれ簡易テントでおおわれている。営業期間は4月16日~10月31日(11時~21時)と11月1日~30日(11時~16時)スタンダードのセットメニューは1人6000円(ソフトドリンク飲み放題付き)で、この他カジュアルなセット、お子様と一緒に楽しむことができるプランなどが用意されている。
フードはアンガス牛のリブロース、岩中地豚のペッパーポークチョップなど塊肉にこだわり、またスティックサラダに使用する野菜は江戸川区近郊で取れたものを厳選して使用する。アルコールの飲み放題は別途1500円となっている。
グリラーはアメリカで人気のWeber社の最上級モデルを使用。蓋付きグリラーであることから、水分を維持したまま均等に加熱することが可能で、サイドバーナーではシーフードパエリアなどを米から炊き上げることもできる。調理は食材ごとの火加減、調理時間と手順のマニュアルが用意されていて、お客さまが行う。
BBQの運営は天候に左右されるが、これについては同社が手掛けているビアガーデン事業のノウハウが生かされている。同社社長の鈴木伸典氏によると、「ここ3年間の悪天候の経験から、売上計画はブレるとしてもハイシーズンとなる130日から150日の間で利益をどのように確保するかということのノウハウが蓄積されている」という。また、この3月からBBQやピクニックなどの「アウトドア事業」をスタートさせ、今後スポーツブランドやアパレルとタッグを組み、さまざまなイベントを仕掛けていく計画を持つ。
同社の事業展開は実に挑戦的である。カフェやレストランからはじまり、公共施設の再開発、ハワイアンダイニングの多店化、そしてビアガーデンのノウハウをアウトドア事業に進化させてきた。葛西臨海公園の事業は、同社にとってこれらのチャレンジングな試みの集大成といえるだろう。
(後編)に続きます。
フードフォーラム代表 フードサービス・ジャーナリスト
柴田書店『月刊食堂』、商業界『飲食店経営』の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴36年。フードサービス業界の歴史に詳しく最新の動向も追求している。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。
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