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お通しが旨い店はすべてが旨い ―食いしん坊ライターが歩いて見つけたイイお店― 第二弾

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お店に入ると“挨拶代わり”に提供される「お通し」
能動的にオーダーするものではないため気にもとめず、口にしていることが多いのでは?
けれど、食いしん坊は思うのです。お店に入って最初に口にするものはおいしいものであってほしい、お通しの手間を惜しまない店は誠実に違いない!と。
今回は飲食店がひしめく人形町と三軒茶屋で見つけたイイお店を紹介します。
 
●本取材は3月21日に行ったものです。
 

旬の食材を丁寧に仕上げたお酒を欲する3種類のお通し

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人形町・甘酒横丁で親しまれている名店「山葵」。
この日のお通し(560円/税込、以下同じ)は、写真左から、蛍烏賊、蕗味噌和え、つぶ貝の3種類。ひとつ一つ丁寧に調理されていることが感じられ、お店の実直な姿勢がうかがえます。
 
今年初の蛍烏賊でしたが、ぷっくり太っていて滋味深い。聞けば、富山の蛍烏賊なのだそう。上品な酢味噌とよく合います。そして、蕗味噌和えはほろ苦さが春の訪れを感じさせてくれます。「とりあえずビール」を注文してしまいましたが、後悔せずにはいられません……。さっそく日本酒が飲みたくなる最高のアテです。
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まずは自家製の「さつまあげ」(710円)。本当は1人前3個ですが、一人だったので、2つ盛りにしてくださいました。お一人様にも優しい心遣い、うれしい限りです。
フワっと、ムチっとした生地はほんのり甘く、食感のある人参、香りのいい大葉とあいまって、あと引く味わい。そのままでも十分おいしいし、レモンやおろし醤油でいただいても◎ そして驚いたのは椎茸。口に運んでから気づいたのですが、肉詰めになっているんです! 芸が細かい!!
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メニューを見て、飲まずにいられなくなった日本酒。「キレのある辛口」「さっぱりした香り穏やか」「旨口でキレがある」との紹介文にそそられます。女将さんがセレクト担当だそう。少量のグラスでオーダーできるので、あれこれ飲み比べてみたいという人にはうれしいサービスです。
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「濃醇な辛口」から「作 純米吟醸」(1,020円)。辛口といっても、ふくよかな香りと味わいがあって飲みやすく感じました。
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続いて、板前さんのおすすめ「肝和え(平目)」(1,220円)。平目といえばシンプルな刺身か昆布締めしか食べたことがなかったので、肝和えは初。クセはなく、濃厚なコクがあって “贅沢な大人の味”。たまりません!
山葵をのせて、芽ネギと一緒に、はたまた醤油を少し……と、味変を楽しみながらあっという間に完食! 平目のおいしさに目覚めた一皿です。
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焼き物は「穴子白焼」(1,070円)。肉厚で大きな切身が気前よく盛り付けられています。身はフワっと軽く、風味がよく、日本酒とよく合います。淡白なイメージがありますが、脂がのっているからか上品な甘みが広がります。
 
シメにおにぎりをいただいて、大満足の夜になりました。
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通り過ぎてしまいそうな控えめな間口。階段を上るのに少しの勇気が必要ですが、扉を開ければ、豊かな食体験が待っています。
 

店舗情報

 
 

もてなしの心意気が伝わる気持ちが和む温かいお通し

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三軒茶屋、茶沢通り沿いに店を構える「すこぶる」。
伺った日のお通しは、鶏肉と豆腐で作ったフワフワの鶏団子(400円/税抜、以下同じ)。しかも、たっぷりの根菜入り! お通し=作り置きできるもの=常温または冷たいもの、のイメージがあったので、温かいお通しが出てきてびっくり、そしてほっこり。彩りに添えられた三つ葉に、細やかなもてなしの心も感じます。鶏と野菜の出汁がきいていて、追加オーダーしたくなるおいしさ。まさに幸先のいいスタートです!
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お通しも気になるけれど、メニューも同じくらい気になるのが悪いクセ。
手書きで、毎日書き替えられているメニューのあるお店にハズレなしだと思っています。なぜなら「その日の仕入れに合わせたベストな料理を出してくれる」ということだから。
この日は残念ながら一人だったので、吟味に吟味を重ね、おすすめメニューからいくつかいただくことに。
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まずは「すこぶる名物 煮込み」(580円)。これは動画向きの一皿。出汁がグツグツ湧いています。こんな熱々の煮込み、初めてかも!? スジはとろけるように柔らかく、大きくカットされた豆腐には、しっかり味がしみています。たっぷりのネギが口をさっぱりさせてくれるようで箸が進みます。七味をきかせるとおいしさが際立ちます。
 
スタッフの方とのカウンター越しのやりとりやお店全体の活気が一体となって、エンターテインメントな空間。一人でも楽しいと思えるのが不思議です。
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次は、阿波九条ねぎたっぷりの「すだちパッチョ」(950円)。ねぎの下には鯛とカレイが隠れています。振り返ってみると、白身魚を食べ比べる機会がなかったので、それぞれのおいしさ、食感の違いをしっかり味わうことができました。
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シメは「玉子かけご飯」(450円)、「信州もりそば」(680円)、「ナポリタン」(750円)の三択で悩みに悩み……、「ナポリタン」をオーダーしました。コクのあるソースがしっかり麺に絡み、食べごたえがあります。やはり洋食の定番、安定感が違います!
 
一人で伺ったため、お料理は通常のポーションより少なめ。スタッフの方が気をきかせて声をかけてくださいました。こういう心遣いのあるお店、自然とリピートしてしまいます。席が空くまでお店の外席で飲みながら待つのもオツですが、特に週末は予約がスマートです。
 

店舗情報

  • 店名 すこぶる
  • 住所 東京都世田谷区太子堂4-28-9 中村ビル1F
  • 交通東急田園都市線「三軒茶屋」駅から徒歩5分
  • TEL03-6805-5700
  • Instagram@izakayasukoburu
  • 営業時間 17:30〜翌2:00 定休日:無し

 
 

取材・文(食べ歩き人) 近藤由美 ライター、手作り味噌マイスター

 

 

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