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飲食店経営に欠かせない「原価率」を知ろう!適正原価率について考えてみよう!

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飲食店の経営を考えるうえで、避けて通れない言葉のひとつに「原価率」があります。今回は、原価率に焦点を合わせてご紹介します。計算式を知るとともに、適正原価率について考えてみましょう。
 


 

「原価率」とは?計算式は?

飲食店における「原価」とは、店で提供する料理や飲み物の材料費、仕入れ費用を指します。
「原価率」とは、売上高に占める原価の割合をパーセンテージで表したものです。したがって、原価率は次のような計算式で導き出されます。
原価率(%)=原価÷売上高×100
 

計算例:単品原価率を出してみよう

(例1)680円で提供している「うどん」を作るためにかかる総材料費は1杯につき190円。1杯のうどんの原価率は?
以下のように、約27.9%と算出されます。
▷190円÷680円×100=27.9%
 
(例2)ある飲食店のランチタイムの品ぞろえは以下の通り:タンシチュー1,600円(原価900円)、カレーライス1,000円(原価300円)、フライドポテト300円(原価30円)、サラダ300円(原価50円)、コーヒー400円(原価50円)
ある日のランチタイムの売り上げは、タンシチュー20皿、カレーライス12皿、フライドポテト5皿、サラダ14皿、コーヒー30杯でした。この日のランチタイムの原価率は?
ランチタイムの総売り上げは、以下のように61,700円となります。
▷【タンシチュー】1,600円×20+【カレーライス】1,000円×12+【フライドポテト】300円×5+【サラダ】300円×14+【コーヒー】400円×30=61,700円
そして、上記の総原価は、以下のように23,950円となります。(注1)
▷【タンシチュー】900円×20+【カレーライス】300円×12+【フライドポテト】30円×5+【サラダ】50円×14+【コーヒー】50円×30=23,950円
原価率は、23,950÷61,700×100という計算式から、38.8%と導き出されます。
 
注1:原価率を出す例えであるため、ここでは料理1皿ずつの原価を足していますが、実際には料理を用意するために仕入れた費用の総額が、原価になります。つまり、売れ残った材料や失敗した料理の材料など、廃棄する分の材料費も原価に含まれることにご注意ください。
 

なぜ「原価率」のコントロールが必要なのか?

経営上、よく使われる言葉に「粗利」があります。粗利は、売り上げから原材料費を除いた額であり、どのくらいの利益が出ているかを示す目安でもあります。飲食店の利益を表す「営業利益」は、粗利から、賃料や人件費、水道光熱費、宣伝広告費などの経費を引いた残りになります。
つまり、利益を上げるためには、粗利が必要です。費やした原材料費によっても粗利が変わってくるため、原価にいくらかかっているのか把握し、原価率をコントロールすることが大切なのです。
 

適正原価率は?

飲食店における原価率は30%程度に収めた方がよいと一般的にいわれており、ひとつの目安になるでしょう。ただし、30%という数値が絶対というわけではありません。業種業態によって、適正値には多少の違いがあるでしょう。
例えば、すし店では、高価な食材が多く、廃棄も多くなりやすいため、原価率が高めになるところが多いでしょう。反対に、喫茶店では、ドリンクの原価は一般的に低いので、原価率は低めのところが少なくありません。しかし、すし店は客単価が高いため、原価率が高めであっても営業利益が生まれます。喫茶店では客単価には限界があるため、原価率の低さで利益を出していると言えます。
 
TKCグループが発表しているTKC経営指標から、業種別の変動費の比率(原材料費や水道光熱費など、売上高の増減に合わせて増減する費用。ここでは、人件費を除く)を見てみましょう。自店の適正原価率を考える参考にしてみてください。
▶焼き肉店  41%
▶すし店 38.8%
▶日本料理店 36.7%
▶ラーメン店 34.7%
▶その他の料理専門店  31.5%
▶中華料理店 31.4%
▶そば・うどん店 28.1%
 

原価率は低い方が良いというわけでない

利益向上を目指すのならば、原価率は低ければ低い方がいいように思います。しかし、すべての料理や飲み物の原価率が低いと、お客様にとって魅力のない店となり、客足が途絶えてしまいかねません。そこで、前述の原価率計算の例2を、再度取り上げて、原価率について考えてみましょう。

原価率はトータルで考える

通常は、集客のために原価率の高いものを用意すると同時に、原価率の平均値が下がるように、原価率の低いサイドメニューや飲み物を組み合わせてメニューを組むことが多いでしょう。廃棄率が高いものを使うならば、廃棄率の少ないドリンクを積極的に取り入れるなどして、バランスを取る必要があります。
前述の例2では、タンシチューは原価率が約56%と非常に高いですが、原価率が高い分、お客様に満足感を与えるので、お客様を集客する力となっています。サイドメニューやコーヒーに原価率が低いものを合わせて、トータルの原価率が目標値に収まるようにしています。

粗利の観点から考える

タンシチューは前述のように原価率が約56%です。カレーライスは30%。それに対して、フライドポテトは原価率10%、サラダは約17%。それならば、原価率の低いフライドポテトやサラダを、タンシチューやカレーライスよりも積極的に売った方がよいでしょうか?
しかし、粗利で比較してみると、タンシチューやカレーライスは1皿売れると700円入ります。フライドポテトは1皿で270円、サラダは1皿で250円。実際の粗利はタンシチューやカレーライスの方がフライドポテトやサラダに比べて、1皿あたり2倍以上多く入ってくるということになります。原価率のみならず、粗利がいくらになるかについても考慮に入れて検討しましょう。
 

原価率を下げるための方策

低ければ低いほどよいわけではないにしても、原価率を下げる努力は必要です。いくつかアイデアをご紹介しましょう。

食材の廃棄率を減らす

使い切ることなく残る食材が多いと、廃棄率が高くなりがちです。食材を効率よく使い切るためのひとつの方法は、店で扱う食材の種類を減らすことです。メニューの印象や品数に影響がないように、調理法や味付けで変化がつけられるものを取り入れてみましょう。

盛り付けの分量を決めておく

盛り付け量をあいまいにしておくと、少しずつ多めに盛り付けるようになり、原価率が予定よりもかなり高くなってしまうことがあります。大体の目分量でなく、重量が一定になるように徹底しましょう。

クロスセルを積極的に行う

注文を取る際に、原価率の低いものをすすめることによって、客単価を上げるとともに、平均原価率を下げます。「すぐにお持ちできます」「こちらのお飲み物も合います」「当店のお客様に大人気なんです」など、お客様にメリットが感じられるようにすすめるのがコツです。
 

原価率はいつチェックする?

原価率は常にチェックしておくようにとアドバイスされますが、実際のところ、いつ、どのように確認すればいいのでしょうか?
飲食店でも、「棚卸し」という作業を定期的に行うところが少なくありません。飲食店における棚卸しとは、店内の食材、調味料、仕込み中の料理などのすべての量と金額を調べ上げる作業です。毎月、決めた日に棚卸しをすれば、在庫を正確に把握できるとともに、原価率も正確な値を得ることができます。
在庫を把握できていれば、食材や調味料などを過剰に仕入れたり、発注漏れが出たりすることが防げるうえ、食材の動きも感知することができるので、メニューの切り替えに、素早く対応することが可能です。
そして、前月の棚卸し高に当月の仕入れ高を加えた額から、月末の棚卸し高を引くことによって、原価を正確に算出することができます。前述の式を用いて、正確な原価率を求めましょう。
 

原価率管理は工夫のしどころ、腕の見せどころ

原価率をきちんと把握しておくことは、営業利益の確保のためだけではなく、店の現状を把握するために欠かせません。原価率が想定していたよりも高くなる場合には、注文体制やオペレーションの不備が隠れていることもあります。お客様への集客力や食後の満足度を下げることなく、原価率を抑えていくためには、さまざまな方法があります。自店の状況に合わせて工夫を重ねていくのも、経営の醍醐味(だいごみ)でしょう。いろいろ試してみましょう。
 

 
飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 

 

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