開業ノウハウ

渋谷で飲食店を開業「大正から現代まで、再開発で変わる夜の遊び場」渋谷駅編 part4〜道玄坂〜

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調査日2023年2月22日
出店するならこの街だ!注目エリアをレスタ編集部が歩いて紹介 vol.7

 
渋谷駅調査の第4弾。今回の舞台は、道玄坂エリアです!道玄坂とは、SHIBUYA109の脇から神泉駅の方面まで伸びている1本道になり、飲み屋が集まる渋谷百軒店や音楽喫茶、クラブやホテル街など、大人が夜を楽しむための場所がすべて詰まっているエリアです。そんな道玄坂周辺から円山町、道玄坂1丁目付近を調査していきます。
 

 

渋谷・基礎情報

 
乗り入れている路線▼
東急東横線 – 東京メトロ副都心線
東急田園都市線 – 東京メトロ半蔵門線
東京メトロ銀座線
京王井の頭線
JR山手線
JR湘南新宿ライン
JR埼京線
 
近辺の主な主要都市▼
新宿駅(電車で約5分)、表参道駅(2分)、原宿駅(2分)
 
商業施設・チェーン店情報▼
・商業施設…SHIBUYA109、東急プラザ渋谷、TOHOシネマズ 渋谷
・飲食店チェーン店…キリンシティ、七輪焼肉 安安、つけ麺専門店 三田製麺所、モスバーガー、ファミリーレストランロイヤルホスト、江戸前寿司魚がし日本一
 
イベント▼
渋谷・鹿児島おはら祭り(5月)
・渋谷横丁夏祭り(7〜8月)
渋谷金王八幡宮例大祭(9月)
青の洞窟SHIBUYA(12月)
 
 

新たに生まれる「道玄坂通 dogenzaka-dori」と、歴史の幕を閉じる「Bunkamuraザ・ミュージアム」

 
まずは「SHIBUYA109」から見ていきます。「SHIBUYA109」は地下2階と地上7階がスイーツ&フードフロアとなっています。入っている飲食店の数はそこまで多くないものの、生クリーム缶の自動販売機が設置されていたり、Instagram用の撮影スポットが併設されていたり、エスカレーターがオーロラ色になっていたりなどトレンドと捉えた構造になっており、10代の女性をターゲットにしていることが明確に伝わってきます。地下2階は、日本初のいちごスイーツ専門店「Strawberry Fetish(ストロベリーフェチ)」、バナナジュース専門店「バナナショック‼︎」など、遊ぶついでにひと息つけるようなドリンクやフードが販売されていました。同フロアには、プリクラ機のエリアも併設されています。
 

 
「SHIBUYA109」を出て、裏手に回ります。こちらは道玄坂2丁目に建設中の施設、「道玄坂通 dogenzaka-dori」です。2023年9月に開業予定となっており、調査日当日にはすでに建物の全体像が完成に近づいていました。「道玄坂通 dogenzaka-dori」は地上28階建ての施設で、地上1階〜2階はショップ、その上にはオフィスやホテルなどが入る予定です。
 
また、道玄坂2丁目の再開発では、同じく2丁目に開業していたクラブ「SOUND MUSEUM VISION(サウンド ミュージアム ビジョン)」、「Contact Tokyo」が2022年9月に閉店。老舗中華「長崎飯店」が4月18日に道玄坂1丁目に移転しました。
 
「道玄坂通 dogenzaka-dori」は、道玄坂2丁目の再開発を見据え、道玄坂、道玄坂小路、文化村通りの方向から人の流入が想定されている場所に建設されているので、新たな動線になることが期待されています。
 

 
「SHIBUYA109」と、新施設「道玄坂通 dogenzaka-dori」の間に伸びる細い道が、道玄坂小路になります。この道は文化村通りと道玄坂をつなぐ道でもあり、多くの人が出入りしています。「魚べい」や「つけ麺専門店三田製麺所」、「カラオケの鉄人」などのチェーン店があり、全体的にコスパよくご飯を食べたり、遊んだりできる場所という印象です。
 

 
こちらは「壁の穴」という和風スパゲティ発祥の店です。1953年に開業し、当時スパゲッティというものが日本で浸透していない時代に作られ、スパゲッティを広めた存在となった、歴史のある店舗です。「壁の穴」は“たらこスパゲッティ”を生み出したことで有名です。それ以外にも、税込1,100円で提供している今月のランチパスタや北海道フェアなど、シーズンに合わせて異なるメニューも提供しています。
 

 
新しく道玄坂小路に移転してきた店舗もありました。こちらは居酒屋「米心(まいしん)」です。以前は道玄坂で営業していましたが、2023年2月20日から道玄坂小路に場所を移し、営業を始めています。「道玄坂通 dogenzaka-dori」のオープンが控える中、飲食店もさまざまな方法でコロナや都市開発と向き合っているようです。
 

 
道玄坂小路は、途中に階段があり、そこを登ると渋谷百軒店のほうへとつながっています。その曲がり角のあたりにある、このレンガ造りの建物は台湾料理屋「麗郷」です。ここでは、映画・千と千尋の神隠しに登場した料理のモデルとも言われている、プルプルした料理“肉圓(バーワン)”が食べられる場所として話題になりました。店内は、調理風景をガラス越しに見ることができます。天井からは腸詰めがぶら下がっており、渋谷にいながら異国の雰囲気を味わうことができます。
 

 
文化村通りを進んでいくと見えてくるのが、「Bunkamuraザ・ミュージアム」です。隣には「東急百貨店」が建っており、2023年1月31日をもって営業を終了しました。また、この「Bunkamuraザ・ミュージアム」も、2023年4月10日(月)より2027年度中(時期未定)まで長期休業に入りました。
 

 
「Bunkamuraザ・ミュージアム」の周辺は道路の幅も広く、昼間は人通りも比較的落ち着いています。そんな場所でひときわ目を引いたのが、「とをみつ」です。店内はコンクリートを基調としたおしゃれな内装になっています。ランチタイムのハヤシライスが名物で、トマトベースの“赤”、デミグラスの“黒”、そして“あいがけ”の3種類が提供されています。
 
また、この並びには肉野菜炒め専門店「肉野菜炒め ベジ郎」も開業しています。株式会社フードサプライが運営しているこちらの店舗は、2021年12月にオープンし、肉野菜炒めのみのメニュー展開で勝負しています。株式会社フードサプライは八百屋を運営しており、野菜の廃棄ロスの防止などの背景も開店に至った理由となっています。
 

居酒屋密集地帯「渋谷百軒店」

 
文化村通りから道玄坂に移ります。道玄坂の中腹あたりに行くと、渋谷百軒店の入り口となる大きな鳥居が見えてきます。このあたりにはありとあらゆる居酒屋がひしめき合っており、さらに神泉駅方面に進むと、クラブ・ホテル街へと景色が変わっていきます。
 

 
こちらは、1931年創業の鉄板焼き「たるや」です。店内にはジャズが流れ、お好み焼きやもんじゃ焼きを楽しめます。戦後の不況も乗り切り、コロナ禍もクラウドファンディングを利用して乗り越え、開店100周年を見据え営業している老舗店舗です。
 

 
「たるや」の周りには、音楽に精通した店舗が密集しています。まずは「名曲喫茶ライオン」です。1階と2階は吹き抜けになっており、店内の壁には大きなスピーカーが置かれています。渋谷という雰囲気からは、かなりかけ離れた神聖な空間の喫茶店となっています。1926年に開業した老舗喫茶ですが、現在も定時コンサートが開催されており、クラッシック音楽を楽しめる貴重な店舗になっています。
 

 
「名曲喫茶ライオン」と並んでいるのが、ロック喫茶「B.Y.G」です。1969年に開業し、1階が喫茶・レストランフロア、地下がライブハウスになっています。現在でも数々のアーティストがパフォーマンスを行っており、渋谷の音楽文化を支えています。「B.Y.G」のオーナーは、百軒店商店会の会長としても活動しており、道玄坂のカルチャーを支えています。
 

 
「名曲喫茶ライオン」と「B.Y.G」の向かいにあるのがスナック「ながさき」です。1階はバー、2階はうどん酒場として営業しています。元々は老舗スナックとして60年間続いたお店を新たにうどん酒場・萬斎のオーナーの今井洋氏が引き継ぎ、レトロな空間と現代の文化が混在した、独特の雰囲気を作り出しています。1階にはDJブースが設置され、幅広い世代の客層が集まります。
 
隣には、以前取材した「KAMERA」も開業しています。「KAMERA」は2021年にオープンした、熟成焼売とウーロン茶ハイの専門店です。
 

 
こちらは道玄坂の「ほていちゃん」です。「ほていちゃん」は、「伝説のすた丼屋」などを展開している株式会社フォートップスが運営しているチェーン店になり、新小岩の1号店を筆頭に徐々に店舗数を増やしています。こちらの道玄坂店は2021年にオープンしました。渋谷では、道玄坂店のほかに新南口店も開業しています。
 

新たに広まるネオトーキョーの文化

道玄坂をさらに神泉駅方面に進むと、クラブやライブハウス・ホテル街になります。こちらは、株式会社シブヤテレビジョンが運営するライブハウス、「Spotify O-nest」と、「Spotify O-WEST」です。SHIBUYA O-Groupは全部で4つのライブハウスを運営しており、もう2つの「Spotify O-EAST」と「Spotify O-Crest」はこの向かいにあります。
 

 
こちらが向かいにある「Spotify O-EAST」と「Spotify O-Crest」です。1階部分は「duo MUSIC EXCHANGE」という別のライブハウスになっています。「duo MUSIC EXCHANGE」は、スタンディングで約700人が収容できるキャパシティのライブ会場になり、2003年にオープンしました。
 

 
「Spotify O-nest」と「Spotify O-WEST」の隣には、クラブハウス「ATOM TOKYO」があります。「ATOM TOKYO」は渋谷の中でもかなり有名なクラブハウスになり、ライブとして使われるほかに、アーティストのMVの撮影地としても利用されることがあります。
 

 
こちらは、「clubasia(クラブエイジア)」です。1996年にオープンしたクラブハウスで、「すべての音楽を受け入れる」をコンセプトに、幅広い音楽領域のアーティストを招き入れています。天井高は6メートルあり、かなり広いクラブハウスになっています。
 

 
そんなクラブやライブハウス密集地帯のすぐ近くにあるのが、「渋谷半地下酒場」です。2021年の6月に開業し、ネオ酒場として注目を浴びています。先ほど紹介した「ながさき」のオーナー・今井洋氏も立ち上げに加わっており、内装やデザインには、さまざまなアーティストやグラフィックデザイナーが関わっています。
 

 
ネオ酒場はほかにも周辺にあります。こちらの地下に開業している「大衆酒場ひまわり」も、その1つです。イラストが描かれているグラスがかわいいとInstagramで話題になり、女子大生を中心とした若者に人気の店舗です。人気メニューは、果物がゴロゴロ入ったフルーツサワーです。料理メニューも500~1,000円前後とかなりコスパがよく、そういった点も若者に人気の要因です。
 

 
こちらはレトロモダン酒場「anyway やむなし」です。「大衆酒場ひまわり」と「anyway やむなし」はどちらも株式会社 エヌイーエスが運営しています。日本酒はコップ酒1杯オール500円とリーズナブル。料理メニューは、“お肉屋さんのハムカツ”が肉厚で人気商品です。1階が立ち飲みになっており、地下にソファ席などが用意されています。
 

 
入り口のネオン装飾が目を引くこちらの店舗は、2021年11月に開業した「福包(フーパオ)酒場」です。1品500円~1,000円前後で点心や中華料理をリーズナブルに楽しめることができます。カラフルな5色小籠包が名物です。
 

昭和の香りが残る道玄坂1丁目

 
駅の方面へと戻り、道玄坂1丁目周辺を見ていきます。ここは昔ながらの居酒屋がいくつもあり、エリア全体がレトロでノスタルジックな雰囲気になっています。
 

 
中でも特に有名なのが、「鳥竹総本店」です。1963年に開業した焼き鳥とうなぎのお店で、地下1階〜地上2階が店舗になっています。焼き鳥のタレは創業当時から継ぎ足して使用しているものになり、ここでしか味わえない焼き鳥を提供しています。串1本がボリューミーで、やき鳥丼が名物です。
 

 
こちらは、1964年に開業した居酒屋「千両」です。1階と2階が客席になっており、食肉市場直送のモツが人気です。
 

 
こちらは、山形県の郷土料理を楽しめる「やまがた」です。「玉こんにゃく」や「里芋煮」など、一般的な大衆居酒屋にはあまりないような郷土料理が楽しめます。少し離れたところに「パブ 山形」という2号店があるので、満席の場合はそちらを選んでいくことも出来ます。
 

 
最後に「渋谷マークシティ」を見ていきます。「渋谷マークシティ」は下が通り抜けられるようになっており、この道を通ればハチ公口方面に簡単に抜けることができます。
 

 
渋谷マークシティはWESTとEASTで建物が分かれており、WESTの地下1階とEASTの地下1階~地上1階が「東急フードショー」のフロアとなっております。2021年には1階にスイーツゾーンもオープンし、関東初出店の「THE TAILOR(ザ・テイラー)」というチョコレート菓子専門店や、シフォンケーキ専門店「MERCER bis(マーサービス)」などの注目店舗が集まっています。
 

おわりに

 
今回は渋谷の道玄坂方面のエリアを調査しました。以上で渋谷駅調査シリーズは完結となります。別エリアの調査記事は下記からぜひチェックしてください!
 
Part1 センター街・スクランブル交差点編
Part2 宮益坂・美竹通り編
Part3 桜丘・並木橋編
 
文・飲食店開業応援マガジン[RESTA(レスタ)]編集部
 
〇渋谷で物件をお探しなら「居抜き市場」
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