開業レポ

飲食店開業者インタビュー VOL.26 「バブバル」 青山和樹さん/ 自分のルーツをコラボさせた料理は唯一無二

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2018年12月19日に根津にオープンした、ベトナム料理と日本料理の新しい出会いをテーマにした「バブバル」。オーナーシェフである青山 和樹さんは、もう一つ、Ngo Babusca (ゴ バブスカ)という名前をお持ちです。両親ともにベトナム人のルーツを持つ、青山さん。「私だからできる料理を届けたいんです」と話す目はキラキラ輝いていました。
 
―2018年12月19日にオープンとのことですが、物件探しはいつごろから開始されたのでしょうか。
(青山さん)物件探しは、1年以上前の2017年10月くらいからスタートしています。以前の勤務を続けながらのリサーチでしたので、なかなか大変でした。ほとんど深夜になりますし、不動産屋さんへのアポもとるのが難しかったので、常に外からチェックをする毎日でしたが、ネットでのチェックも含めると100件は見たと思います。
 
―100件ですか?!
(青山さん)はい、もうそのくらいの物件を見ると、見ただけで、ここで店をやったら負けるなと分かるようになるんですね(苦笑)場所を決めるのは、独立にあたっての最重要決定事項だと思います。どうするかと言ったら、数をみて不動産の営業スタッフばりの力をつけることなんです。交通量は?路線の乗り入れは?徒歩圏内はどこまで?などなど。
 
―結果、この根津の物件に決めたきっかけは何だったのでしょうか。
(青山さん)まずは、何といってもサイズですね。自分ひとりでお店を回すことが前提でしたので。あとは、駅からも近く、このエリアにベトナム料理店がないというのもポイントでした。一本裏通りに入っているというのも、私の中ではいいなと感じました。
前はお蕎麦屋さんだったのですが、とてもいい状態での居抜きだったと思います。
 
―どの部分にテコ入れをされたのでしょうか。
(青山さん)そうですね、ガスが軽食用の契約だったので工事をいれたのと、カウンターの端っこをカットし、導線を変えました。あとは、床を3日間徹夜で塗り替えましたね、知り合いの大工さんたちで。
あとは、椅子も自分たちで調達しました。購入という意味では、業務用の冷蔵庫くらいでしょうか。食器も先輩たちから譲り受けたりし、かなり初期投資を抑えました。
 
―独立の目標はいつからお持ちだったのでしょうか。
(青山さん)幼きころから、独立願望はありました。日本にいながら母のベトナム料理を食べて育ち、ゆくゆくは日本とベトナムの融合でお店を持ちたいなと。
私は、広島生まれの大阪育ちなんですが、大阪にいると友人も多く、遊んでしまうなと24歳の時に真剣に考え、一人になって頑張る環境に身を置こうと決めました。で、えんぴつを転がして。福岡か東京の2択だったのですが、東京に転がったんです(笑)
 
―そんな決定を!!
(青山さん)そうなんです。で、本当に知人もいない街にあっさり上京しました。そして焼鳥店やフレンチなどのお店で勤務し、厨房のオペレーションを叩き込みました。ベトナム料理店での勤務経験はありません。
 
―そして、夢を実現されたわけですが、オープン後は順調でしたか?
(青山さん)すべて一人での対応なので、初めはスロースタートを想定し、オープンしました。そのため、外部の広告などは一切行わず、インスタと自社のHPを制作したくらいです。想定通り、ゆっくりと広がっていったと思います。

 
―カウンター7席とテーブルが4席×2卓で8席ですね。
(青山さん)はい、満席になると一人ではなかなか対応が大変なのですが、有難いことに最近は常連の方が増えたため、ゆっくりお酒を飲みながらお待ちいただけるという幸せな状況に。お昼間は女性が多いのですが、夜は圧倒的に男性客が多いんです。しかもお一人来店が。
 
―なんだか意外です。男性がベトナム料理に。
(青山さん)そうなんです。始めは、ファミリー使用も方が多かったのですが、徐々に日本酒や焼酎も飲める店だという認知がされたようでして、ボトルキープのかたも。
あとは、本日ご紹介した生春巻きのように、いわゆるアジアン料理というよりも、日本食材をベトナムの調理法でというスタイルが受け入れているのだと思うと嬉しいです。

 
―お店の名前に込めた想いを教えてください。
(青山さん)帰化をしているので、日本名を持っていますが、やはり自分のルーツは大切にしたいと思い、店名にはベトナム名のバブスカから、「バブバル」にしました。
日本の食材をベトナムの調理法で届けたいという想いを込めて。
 
―最後に今後独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(青山さん)まず、イレギュラーなことが起きるということが当たり前だと心にとめておいたほうがいいですね。そして、3箇条にもお伝えしましたが、常に明るくいることです。
これ、意外に難しいんです。でも、店主がイライラしていたり、落ち込んだ顔しているお店って嫌じゃないですか? どんな状況でも絶対明るいほうがいいですよ!

 

これから独立する方へ アドバイス 3箇条

  • 其の1. 内見をしなくても物件はできるだけたくさん見たほうがいい!!
  • 其の2. 内装屋さんと仲良くする。
  • 其の3. どんな時も、とにかく明るくいること。

 

お店ができるまで

  • 2017年10月~ 前職勤務のまま、物件リサーチを開始
  • 2018年9月物件契約
  • 2019年12月19日開業

 

<おすすめ料理>

トリッパの煮込み

鶏とシバ漬の生春巻き~八丁味噌ソース~

バインセオ(包み焼スタイルではなく、食べやすいようにカットし、上に野菜を)

 

店舗情報

  • 店名 日本×ベトナム「バブバル」
  • 業態バル
  • 住所 東京都文京区根津1-1-19 シティハイツ根津1F
  • 交通東京メトロ千代田線「根津」駅から徒歩2分
  • TEL03-5834-7578
  • HPhttps://babuscango.wixsite.com/mysite-1
  • 営業時間 ランチ (月~金) 11:30〜14:30 (土日祝) 12:00〜14:30/ディナー17:30〜23:00 
  • オープン日 2018年12月19日

バブバル 外観
 

店主経歴

広島県生まれ、大阪育ち。両親ともにベトナム人。
高校時代に大手ファーストフード店のキッチンアルバイトを経験。
学校卒業後、大阪にてアルバイトを掛け持ち、その後24歳で上京。
銀座、四谷、渋谷など様々な地域の飲食店に勤務し、経験を積む。
2018年12月19日に「バブバル」オープン。

 
 

 
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中

 

 

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