電気、ガス、小麦、食用油…相次ぐ値上げラッシュ 今度は何が?どうして?
「なくなっちゃうほうが、悲しいから」
「うまい棒」の製造でおなじみの「やおきん」が4月1日、Twitterにこう投稿した。2年間貫いてきた「10円」の価格が、4月から「12円」に値上げされるのである。今年もまた、生活に使うあらゆるものが値上げされる。外食チェーンの値上げも一部決まっている。一般家庭のみならず飲食店でも材料高に苦しむ季節の最到来である。
おもな値上げ食品・飲食店
まず、飲食店に関わる主な値上げを紹介したい。麦粉、パン、パスタ、食用油、国産ハム・ソーセージ、調味料、乳製品、酒類、菓子類が挙げられる。いずれも1割程度の値上げが中心である。その他、電気代、ガス代も値上げされる。
また、大手飲食チェーンの値上げ状況は以下の通り。
◆ミスタードーナツ(3月1日〜)
「ポン・デ・リング」「オールドファッション」「フレンチクルーラー」「ハニーディップ」など 118円 → 129円(テイクアウト)
◆マクドナルド(3月14日〜)
「ハンバーガー」 110円 → 130円(店頭価格)
「ダブルチーズバーガー」「てりやきマックバーガー」 340円 → 350円(店頭価格)
◆スターバックス(4月13日〜)
「ドリップ コーヒー」(トールサイズ) 363円 → 390円(店内)
「スターバックス ラテ」(トールサイズ) 418円 → 455円(店内)
◆リンガーハット(4月26日〜)
「長崎ちゃんぽん」 650円 → 680円(関西地方より東と沖縄県)、620円 → 650円(中国、四国、九州地方)
「長崎皿うどん」 680円 → 720円
◆鳥貴族(4/28〜)
フード・ドリンク 327円 → 350円
いずれも身近な存在と言えるチェーンばかりである。他に今年値上げされるものについては、東京新聞で詳しく紹介されている。
「値上げの包囲網」なぜ
毎年のように繰り返される様々な値上げ。特に飲食店にとっては原材料の値上がりは大きな痛手だ。食品の高騰には様々な原因がある。現在はウクライナ情勢などはっきりした理由もあるが、食料は、世界の人口が増え続ける限り今後も値上がりしていくと考えられる。特に中国などめざましい発展を遂げる国で食糧需要が増えている。
また、燃料については、石油の大産地である中東諸国が価格をつり上げる動きがある。というのは、世界が自然エネルギーへの転換をはかり、いずれ原油の需要が減るために、今のうちに売っておこうという戦略である。
もうひとつの要因は「円安」である。円の実効為替レート(「ドル=円」のような二国間の比較だけではわからない、世界的な円の実力)の推移は下のようになっている。
◇引用:円の実行為替レートの推移 (統計データ検索より描画)
コロナ禍以来、円の力が弱くなっていることが良く分かる。2022年2月には、円の実力は約50年ぶりの水準に低下している*1。これが元に戻り、ある程度円が強くなるには長い時間を要すると考えられる。日本の景気にも連動するからだ。ここにウクライナ情勢という世界の混乱が重なり、これまでの値上げよりも事は深刻になっている。
長期化は避けられない
これらの情勢を見ていると、値上げが止まる見通しは立たない。会社員の給料は上がらず、価格に転嫁しにくいという考えもあるだろう。しかし冒頭に紹介した「やおきん」のように、「なくなってしまうほうが悲しい」という考え方が必要になってくるだろう。価格への転嫁から逃げ続けているといずれ破綻してしまう。真に価値あるメニューを提供し、顧客からの理解を求めていくという地道な策を続けていくしかなさそうだ。
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