注目新店舗インタビューvol.15「めんちカツ製作所」コロナ禍に新天地での挑戦
めんちカツラッパーの「いが嵐倉庫」(中目黒)の姉妹店として、蒲田駅から徒歩4分ほど、商店街を抜けきった場所に2021年10月4日に誕生した、めんちカツラッパーの「めんちカツ製作所」。今では毎日「めんちカツ」が完売するほどの人気具合。このタイミングでの新店舗について、ラッパーであり、オーナーの吉井敬泰さんにお話を伺いました。
駅からの徒歩4分を「フリースタイルで8小節なら4ターン」と記載されているショップカードからラッパーオーナーのセンスを受け取れます。
―こちらのお店のオープンは2021年10月4日ということですが、いつ頃から物件リサーチを始めていたのでしょうか。
(吉井さん)そうですね。まさにコロナ拡大により、居酒屋スタイルの中目黒店の売り上げが厳しくなり、人気メニューの「めんちカツ」を業務用に卸すことを視野に入れ始めたんですね。中食需要や、デリバリーなどを見据え、セントラルキッチンの拠点を作ろうと考えたのは、2月頃からですね。まずはネットでさらっと物件をチェックすることからスタートしました。
―本店が中目黒ですが、蒲田という立地は初めから視野に入れていたのでしょうか。
(吉井さん)それが、もともとセントラルキッチンという観点でいたので、場所はあまりこだわらず探していたんです。都内で、自分が移動する上で、ストレスがなければいいな、くらいで。ところが、ネット上で、この建物の条件が家賃も広さも含めていいなと思い、内見してみると想像以上に良くて(笑)セントラルキッチンだけではもったいなと、テイクアウトもスタートするということになりました。
―では、物件で悩んだりはしなかったんですね。
(吉井さん)内見をしたのは、この物件だけですね。もともと、べーグルと紅茶のお店だったみたいです。居抜きといっても、エアコン、トイレ以外は大幅に作り変えています。今のところは、店内での食事提供を想定していないので、厨房をメインに設計しました。壁や天井は、経費節約で、現場監督に教えていただき、スタッフと一緒に塗装したくらい、DIYで頑張りました。ロゴでもある、壁面のめんちカツラッパーのイラストは、スタッフが描いてくれたんですよ(笑)
―ちなみに、このイラストの人物は吉井さんということですよね?
(吉井さん)その通りです(笑)。ラッパーであるということと、料理人であることをイメージしてイラストにしてもらったことが始まりですね。コロナ前には、中目黒の「いが嵐倉庫」でラップイベントなども定期的にやっていたんですよ。
―個性が際立っています(笑)。さて、「めんちカツ」が毎日完売とのことですが、オープンPRは何かされましたか?
(吉井さん)それが一切していないんです。この場所が、駅へ向かう導線ということがプラスの状況を生み出しているのだと思います。工事中から、歩いていく方がいつも覗き込んでくださっていたんで。インスタグラムは作っていますが、販促費用をかけることは本当に何もしていないんです。
―でも、「めんちカツ」は売り切れてしまう。すごいです。
(吉井さん)有難いですね。毎日200個が完売です。午前中から営業したいのですが、現在は仕込みが間に合わなくて、14時30分~20時という営業時間で運営を行っています。
―お店のメニューについてお伺いしたいのですが、今回ご紹介いただいた、揚げおにぎり「まぼろし」は珍しいアイテムですよね?焼きではなく、揚げという。
(吉井さん)これが、実は私が通っていた高校の近くにあったお店のメニューなんです。そのまま「まぼろし」という名前で。もうそのお店は無いんですが、地元のわかる人は、わかってくれるかな?と勝手にオマージュして再現を試みました。そうしたら、蒲田でベトナムレストラン経営している方が、高校の先輩で、この懐かしいメニューに気が付いてくださって、足を運んでいただけました。
―うれしいコミュニケーションですね。メニュー開発はすべて吉井さんが行っているんですよね。
(吉井さん)はい、そうです。中目黒店の居酒屋メニューもこちらのお店の惣菜も私です。もともと、楽コーポレーショングループに10年弱勤務した経験があるので、惣菜メニュー開発はまったく問題ないですね。今回、はじめて店舗ではなくテイクアウト中心のお店をやるにあたっては、包材で目を惹こうと、タマゴパックを導入ました。
―タマゴパック、可愛いですね。
(吉井さん)UBERでのお届けなども意識すると、少しでもお客さんの手元に届いたときの見栄えも大事ですし、写真に撮りたくなるかなとも考えました。
―受け取った時もうれしいですし、人に伝えたくなります。
(吉井さん)この発想も、ある養鶏ビジネスのお話を知人から紹介を受けた際に、タマゴパックが可愛いなと思って、テイクアウトの包材として使えそうだなと構想を持ったんです。なので、全ての出会いや経験がつながっていると感じますね。
―様々な経験を積んだ吉井さんだからこそ、今回の出店には迷いもなかったように思えますが、この先、独立を考えている方へのメッセ―ジなどいただけますか?
(吉井さん)今回のような激変が起きると、常に新しいことへの挑戦だったり、個性を大切にしていく努力をしないと埋もれていってしまうな、と強く実感しています。何か状況を変えたいとか、独立の意思があるのであれば、ぜひ怖がらずに挑戦してほしいと思いますね。そもそも、私もセントラルキッチンを想像して物件を探し始めたのに、結果は「めんちカツ製作所」をスタートしています。どこで何が変化を遂げていくかはわかりません。
―お忙しい中、お話いただきありがとうございます。ジューシーな「めんちカツ」は、一度食べるとファンになってしまいますね。これからも応援しています!
<おすすめ料理>
手作り惣菜盛合わせ&めんちカツ
まぼスぺ ―伝説の揚おにぎり「まぼろし」にマッシュポテトとマヨネーズ―
店舗概要
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取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中
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