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ラーメン店開業者のための“人材確保”ガイド|女性従業員が活躍できる仕組みと省力化で採用力アップ!

ラーメン店を開業しようと考える人にとって、「スタッフ採用」は最初に直面する大きな壁です。外食産業全体が深刻な人材不足に悩まされている現在、なかでもラーメン業態は特に採用が難しいと言われています。店舗の作業環境、仕込み作業の多さ、肉体労働のイメージなど複数の要因が重なり、未経験者が応募しづらい状況が続いています。初めての独立開業者にとっては、大手チェーンのように高待遇や手厚い教育制度を用意するのも難しく、人材確保と定着には事前の戦略が不可欠です。
さらに近年では、「女性従業員の応募を増やしたい」「多様な人材に活躍してほしい」と考える開業者も増えています。しかし、ラーメン店は「暑い」「重い」「大変」というイメージが先行し、女性が応募しづらい職場として見られてしまうケースも少なくありません。こうした課題を抱える中でも、実は、省力化やDXによって小規模店でも大手と同じくらい働きやすい環境をつくることが可能です。
本記事では、採用が難しい理由とその解決策を、これから開業する方の視点でわかりやすく解説し、実際の開業現場でよくある例も交えて紹介します。
◆ラーメン店の採用が難しい理由
1. 労働負荷が大きく、初心者が敬遠しやすい
ラーメン店は「重労働」「暑い」「立ちっぱなし」というイメージが定着しています。特に寸胴を扱う仕込み作業や、ガス火での調理は体力的にきつく、暑さによって夏場に離職が増えることも珍しくありません。初めて働く人にとって、この点は心理的ハードルになります。
ある個人店では、開業後まもなくアルバイトの離職が続き、その理由の多くが「厨房が暑い」「立ちっぱなしで体力的にきつい」というものでした。こうした環境は男性だけでなく、女性従業員の応募や定着のしやすさにも大きく影響します。
2. 調理スキルの習得に時間がかかる
ラーメン店は「スープ作り」「麺のゆで加減」「盛り付け」といった経験値の影響が大きい作業が多く、未経験者にとって敷居が高く見えてしまいます。火加減の調整ひとつで味が変わる店では、店主も“経験者採用”に頼りがちで、結果として応募者が限定されてしまいます。
「料理経験がないと難しそう」「ミスをしたら怒られそう」というイメージで応募を躊躇する人も多く、性別に関係なく初心者が入りづらい状況を生んでいます。
3. 大手チェーンとの待遇格差
最低賃金の上昇が続く中、小規模店が給与や福利厚生で大手と競うのは簡単ではありません。大手は教育制度が整っており、求職者から見ると安心感があります。一方、個人店は教育負担が店主に集中しがちで、求職者からは“働きにくそう”と見られることがあります。
4. 求人広告の費用対効果が低下
現在、飲食業界全体の採用難により、求人媒体に掲載しても応募が集まりにくい状況です。ラーメン業態は広告上で魅力を伝えにくく、費用に対して応募数が少ないという悩みも多く聞かれます。
◆小規模店が取るべき解決策(省力化・DX化がカギ)
採用が難しい中でも、小規模店には大手に勝つ方法があります。それが「省力化」と「DX(デジタル化)」です。採用の発想を“人を増やす”から“人に依存しない仕組みをつくる”に切り替えることで、小規模店でも安定した人材確保が可能になります。
女性従業員が働きやすい環境づくりにも直結するため、採用の幅が広がる点でも大きなメリットがあります。
1. 調理の“省力化”で未経験者でも回せる店に
作業工程をできる限り簡略化することで、未経験者でも安心して働ける環境になります。
具体例としては…
・スープ・タレの外部委託
・仕込みの半製品化
・調理工程の分担とマニュアル化
・動線を意識した店内レイアウト
・寸胴や調理器具の軽量化
たとえば、外部スープを導入した店舗では、仕込み時間が半減し、体力負担も軽減。その結果、「女性でも働きやすい」と応募が増えたという例もあります。
2. “IH化”で厨房環境を改善し、離職率も低減
IHを採用する店が増えている背景には、採用面での強いメリットがあります。
・熱がこもりにくく、夏場でも作業がしやすい
・火加減が安定し、調理の難易度が下がる
・初心者でも扱いやすい
・火災リスクが低く安全性が高い
特に暑さは離職理由に直結するため、IH化により「女性従業員の離職が減った」という声もあります。熱中症対策が求められる現代では、IH導入は働きやすさを示す強力なアピールポイントになります。
3. “券売機”導入でホール業務を大幅削減
券売機は採用難の時代に非常に有効な設備です。
・注文〜会計を自動化
・金銭トラブルやオーダーミスが減少
・レジ締めの手間が激減
・接客の心理的負担が軽減
ある個人店では、券売機導入によって「店主+バイト1名」でピークを回せるようになり、採用コストが大幅に下がったという例もあります。
4. “DX”で求人・教育を効率化
デジタルツールを使うことで、小規模店でも様々なオペレーション負担を軽減できます。
・キャッシュレス導入で管理負担を軽減
・シフト管理アプリで作業時短
・動画マニュアルで教育負担を軽減
・POSデータによる人員配置や発注の最適化
動画マニュアルは特に効果的で、忙しい時間帯でも教育できるため、経験問わずスタッフが安心して作業を覚えられます。
◆採用で勝つためのポイント
1. 求人で“働きやすさ”をしっかりアピール
求人文には以下を明確に書くと応募率が上がります。
・「IHで暑くない厨房」
・「券売機があるので簡単オペ」
・「未経験でもできる作業内容」
・「女性従業員も多数活躍中」
これらは求職者の不安を取り除き、応募意欲を高める鉄板要素です。
2. 体験入店で不安を解消する
ラーメン店が初めての応募者は不安が大きいもの。「30分の見学」や「1時間だけの体験」は、安心感につながり採用率が向上します。
3. 紹介採用を活用する
常連客や知人からの紹介は、応募者の定着率が高い傾向があります。女性従業員が働きやすい環境が整っているほど、紹介が増えやすいという特徴もあります。
◆まとめ:省力化×DXで“小規模でも戦える採用力”をつくる
採用難は今後もしばらく続くと予想されます。しかし、省力化・DX化・IH・券売機などの仕組みや設備を導入することで、小規模店でも働きやすい環境をつくり、定着しやすい職場に変えることができます。特に女性従業員が働きやすい環境づくりは応募の裾野を広げ、強いチームをつくるうえで欠かせない視点です。
「人を増やす」ではなく「人に依存しないオペレーションをつくる」。
この考え方に切り替えることで、採用ハードルは劇的に下がり、長く続く店づくりにつながります。
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川瀬 亮太
飲食店開業応援マガジン「RESTA」編集者。店舗プロデュースやブランディング、飲食店の開業・営業支援などを行うROOTage株式会社 代表取締役。主に小規模飲食店の支援を行いがなら、取材・執筆も行う。現場経営者との交流を通じて、実践的なノウハウを発信している。
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