飲食店開業者インタビュー VOL.12「焼き鳥 喜実どり」石竹弘道さん

賑やかな浅草とは一線を画す土地に開店
オープンは、2017年5月15日。浅草駅から徒歩15分ほどの閑静な場所に今回の取材店舗「焼鳥 喜実どり」は店を構えています。しかし実はこの地域、江戸時代は随一の繁華街であった場所。そんな少々難しい土地に一昨年カウンター8席の自分の城を構えた、石竹弘道さんは、調理、接客はもちろんそれ以外のすべての業務も一人でこなしています。簿記2級の取得を行った逸話を伺うと、職人としての技術のみならず広い視野をお持ちの方だと実感いたしました。
―オープンのどのくらい前に、こちらの物件と出会ったのでしょうか。
(石竹さん)物件を探し始めたのが、2016年6月でした。はじめは、大田区、江東区など、このエリア以外の物件も探していたのですが、10坪以下で、自分ひとりで回すことができるということで、決定いたしました。2017年2月のことです。

―では土地勘はなかったということですね。
(石竹さん)その通りです。観光地というイメージの強い浅草ですが、このあたりのように一本裏に入ってしまうと、とても落ち着いたエリアに。私自身もびっくりするくらい、人通りがないんです。でも、物件との縁を感じて契約を進めました。
―店内は、どの当たりをテコ入れされましたか?
(石竹さん)前のオーナーの方が1年も営業をされなかったようで、オーブン、冷蔵庫、お手洗いなどがきれいな状態のまま引き継ぐことが出来たのがとてもよかったです。
しかし、オープンまで3カ月も要した理由が、電気で煙を分解するダクトシステムを導入したためです。どうしても、狭いので臭いが充満することを避けたかったので。
そのために、アンペアをあげる工事などもしました。
―店のファザードの黄緑色が印象的で、店名も「喜実どり」ですが、どんな思いを込めているのでしょうか。
(石竹さん)それが、なんか思いつきだったんですよね(笑)あまり深くは考えていなくて。
でも、結果的には、良かったと思います。テーマカラーがあると何かと楽ですし。
―オープンからまもなく2年ですが、順調な滑りだしだったのでしょうか。
(石竹さん)とんでもないです。何度も、「大通りの人通りが多い物件にすればよかったかな」、と落ち込むこともありましたよ。地元の方は、すでに自分の通うお店は決めている方が多く、新参者に対しては、なかなか疑心暗鬼で近寄ってもくれないのです。
そんなことも有り、地元の旦那衆が集まるお店に通って、なんとか仲を深める努力をしました。一旦心を通わせることができると、一気に応援モードに変わってくれるのが、下町の方々の魅力ですね。どんどん紹介をしていただけるようになりました。
―開店時のPRなどはされましたか?
(石竹さん)全くしなかったですね。そこも以前の六本木のお客様を少し当てにしていたところも有ったのですが、まさにオープン景気という言葉があるように、初めだけでした。でも、そうですよね。通勤圏外になってしまうと、帰りにちょっと一杯という具合にもいきませんし、このお店は浅草駅からもまた少し歩くというマニアックな立地なので。
地元の方からの口コミが徐々に実を結んできた感じです。

―何もかもお一人でされていて大変なことはないのでしょうか。
(石竹さん)掃除や、片付けを一人ですることが少し大変ですね。営業に関しては、普段は問題ないのですが、同時間に満席になると、なかなか手強いです。皆さん、食べるペースも異なりますし、カウンター越しにスピードを見ながらお出ししています。でも、このこじんまり感が功を奏し、瓶ビールなどは冷蔵庫がカウンター横にあるので、お客様がご自身でピックしていただいていたり。ただ、声をかけづらい空気だけにはしないように気を配っています。
でも、それ以外は自分のぺースで何もかも進められるというのは、ストレスがないですね。売り上げ管理も自分で理解するために、簿記の勉強をし、2級を取得したくらいです。
―最後に、今後お店をオープンする方へのアドバイスをいただけますか。
(石竹さん)軌道に乗るまでは、3年かかると思ったほうがいいですね。となると、それなりの運転資金も必要です。そして、お金の使う場所を最初から明確にしておくといいと思います。どんどん欲張りたくなってしまうので。私は、内装と入り口はお金をかけたほうがいいと思います。
あとは、一人でやっているからと不定休にするのはお勧めしません。いつ休みかわからないとなると信用がもってもらえないので。できる限り自分に厳しくすることが大切だと思います。
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. 財布の公私混同は避ける。
- 其の2. お金の掛ける場所を明確にする!
- 其の3. 前職のお客様を当てにしない。
お店ができるまで
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開業費内訳
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<おすすめ料理>

焼き鳥 ねぎま

レバーパテ(コース)

肉団子(コース)
店舗情報
店主経歴20歳くらいから、将来は商売をすると心に決めていた。 |
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中
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