飲食店開業者インタビュー　VOL.34「おでん煮込みのお店　お煮かい」加藤宣明さん

中野の街に住み、中野で務め、中野で独立

中野駅の商店街ロードから、少し路地を入った2階にオープンしたのは、「おでん煮込みのお店　お煮かい」。もともと30年近く続いていた喫茶店だった物件を5月末に契約し、6月11日、12日で引き渡し、6月18日にオープンしたという、スピードオープンです。前職が中野勤務で、住まいも中野という、オーナーの加藤宣明さんにお話を伺いました。

―オープンおめでとうございます。このタイミングでの独立はいつから考えていたのでしょうか。
（加藤さん）私は、新潟出身で高校卒業後に上京しました。その後居酒屋での勤務が長く、17年前から店長職に就くなど飲食畑一筋です。前職は中野にある、おでん、焼鳥のお店「いせじ」です。その「いせじ」に入って7年、そろそろ独立をしたいなと考えていたころに、出会った経験豊富な料理長がパートナーとなってくれるということで、決意しました。

―独立を決意してから、物件と出会うまではどれくらいだったのでしょうか。
（加藤さん）中野は本当に飲食物件がなかなか出ない街なんです。コロナ前はほぼ情報が出る前に次がきまるという流れだったのではないでしょうか。なので、今回のコロナによって、中野の物件が我々まで流れてくるという状況はとてもありがたかったです。内見したのは2件のみです。そのうちの1件は、軽飲食希望だったので、条件が合わず。この物件は料理長がネットで見つけてくれて情報をくれました。そして、内見をしてすぐに即決でした。

―希望していた条件はどれくらい満たしていますか？
（加藤さん）はじめは、路面でさがしていたのすが、家賃が高すぎて（笑）この2階の物件は、入り口は狭く見えますが、中にはいるとカウンターとテーブル席を合わせると30席ほどあるので、求めている広さとしてはベストでした。しかも、冷蔵庫、製氷機、テーブル、椅子などもふくめ、居抜きとしての活用がとてもスムーズだったのもうれしいですね。

―では追加で購入されたものは？
（加藤さん）ショーケースと、追加の冷蔵庫、一部の食器くらいですね、食器も実は兄が佐賀で卸をやっている関係で、有田焼、伊万里焼などを100枚ほどお祝いで送ってくれました。

―それは素敵ですね、内装はどのようなつながりで探されましたか？
（加藤さん）レスタンダードさんの紹介です。6月2日から内装工事がスタートし、約10日で引き渡しだったので助かりました。

―実際にオープンをして1カ月と少しですが、お客様の集客はいかがすか。（取材時）
(加藤さん) ありがたいことに、オープン日は前職の時のお客様がお祝いで多く来店していただき、満席になりました。今も、そのお祝いが続いている感じですね。なので、本当に実力が試されるのはこれからだと感じています。

―では、オープンの時にPRなどはされていないのでしょうか。
（加藤さん）まったくしてないですね。むしろ、ひっそりとオープンした感じです。グルメサイトに登録もしていませんし、チラシなども作成をしていません。今は、まだ顔のわかる常連客の方が8割なので、このお客様たちを優先していたいと思っています。

―なるほど、まずは常連の方を徹底的に大切にするということですね。
（加藤さん）はい、世の中の状況もまだまだ不安定ですし。徐々にお店が落ち着いてきたときにSNSなどを開始して、新規のお客様を獲得していこうと思います。

―中野という街は、飲食店の方々の横のつながりが強いと伺いました。
（加藤さん）それは本当にそうですね。オープン後には、近隣の飲食店の方々も顔をだしてくださいましたし、私も積極的にお店に顔を出すようにしています。中野在住で、前職も中野勤務ということも、街に馴染みやすい要因ではあると思っています。

―店名に付けられた「おでん煮込みのお店　お煮かい」はお二人で練られたのですか？
（加藤さん）はい、どんなものが食べられるかもわかるように、そして２階のお店ということもかけてます。２名で運営をしているということもあり、おでんや煮込み仕込んでおくことで、すぐにお客様へ提供できることを意識しました。

―今後、独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか？
（加藤さん）今だ！というタイミングがきたら、とにかく飛び込んでみてください。私は、家族から背中を押されたことや、前職の方々の応援もあり、前向きにチャレンジをしてみました。独立をしてみて感じることは、やはり雇われていた時は気が楽だったな～と（笑）しかし、自分の好きなことで頑張るという環境を持つということは、責任感とともに、やりがいがありますよ！