飲食店開業者インタビュー VOL.35「和食 えごし」江越敏明さん
土地勘のない、新小岩でのゼロからの挑戦
新小岩駅の南口から商店街を抜けた場所に2021年7月7日にオープンしたのは、上質な和食コース料理を提供する「和食 えごし」。様々な経験を重ねた上で満を持してのオープンは、コロナ禍という逆境でした。しかし、このタイミングだからこそチャレンジできたとのこと。16歳から和食の道に人生をかけた、オーナーの江越敏明さんにお話を伺いました。
―本日はよろしくお願いいたします。とても素敵なお店ですね。
(江越さん)ありがとうございます。元々は、ラーメン居酒屋だった物件でした。契約から2週間かけて、壁紙の張替え、扉の付け替え、エアコンの取り換え、ライトの変更など様々な工事を行いました。
―駅からも徒歩圏内ですし、個人店としては広さもちょうどよく感じます。新小岩には、なにかご縁があったのでしょうか。
(江越さん)それが、この土地にはまったく。ほんとうに知人もいなくて。ただ、自宅から自転車で通勤できるということと、物件の広さと家賃ですね。駅前でないということで、家賃相場も低かったですし、ひとりで運営するにはベストな空間でした。
―物件を探し始めたのは、いつ頃からだったでしょうか。
(江越さん)まさに今回のコロナ禍によって、独立の決心がつきました。今までは、雇われての料理長などを歴任していましたが、今回のパンデミックのようなことが起きると、すべて企業判断になりますし、自らの処遇も確固たるものではないと確信したのです。そんな思いから、今年の春ごろから物件を探し始め、5月のGW明けに契約をいたしました。
―5月のGW明けに契約で、7月7日のオープンということですね。
(江越さん)はい、家賃発生は6月1日からでしたので、なんとか1カ月と少しでオープンに漕ぎつけました。でも、世の中は、緊急事態宣言の真っただ中でしたけれど。
―内装はどのような構想をお持ちだったのでしょうか。
(江越さん)物件の構造はよかったのですが、カウンターメインにしたかったので、店の全体像が付きづらかったです。「そもそも高級感がでるのか?」という心配がありましたね。内装業者は、いくつか相見積りを取り決定しました。結果、カウンター6席とテーブル4席を確保できるように。もし順調に進めば、奥にある座敷も席にしようと思います。
―実際にオープンをして3カ月ですが、お客様の集客はいかがですか。(取材時)
(江越さん) 今は、緊急事態宣言中ですので、1日1組のお客様というスタイルです。しかし、有難いことにこの近隣に住んでいらっしゃる方が、足を運んでくださいまして。ある意味、コロナ禍のおかげかもしれません。都内で食事をする機会を失った地元の方が、和食のコース料理を提供する当店に関心をもっていただけたという。
―「和食 えごし」で提供される、お料理のベースは?
(江越さん)おもに、自身が経験を積んできた「京料理」です。前日までのご予約で、7700円、11000円のコース(※2名様以上)をご用意いたしております。当日予約であれば、お酒とのマリアージュをお楽しみいただける、4400円のコースを提供します。
―新小岩という立地で、このコース料理の価格帯は、都心の価格と変わりないですね。
(江越さん)そうですね。元々、低価格ではなく高単価で勝負をしようとしていました。そして、家賃を都心と比較するのはなんですが、この価格帯をいただけるとかなり素材にこだわれるんです。なので、舌の肥えたお客様にも好評価をいただける結果になったと思います。
―江越さんは、16歳で料理に道に進まれたとか?
(江越さん)はい、佐賀県出身で、実家は家業を持っていました。なので、サラリーマンになるというイメージはもともとなく。そして当時は、早く社会に出たいなという思いから、料理の道を選びました。そこから気が付けば、料理の道1本ですね。そのため、今回の独立においても、仕入れやメニュー構成の組み立てなどに関してもあまり困ったことはありませんでした。
―それは、素晴らしいです。よく料理人の方の独立において、ホールのことはまったく分からなかったという声も聞くので。
(江越さん)POSレジもスムーズに導入しましたし、食器選びも楽しかったですね。あと、調理をしつつ、自身での接客なので、目の前で感想が聞けることが何より楽しいですね。お客様の声で、柔軟に対応できることが充実の気持ちに繋がります。
―近隣のお店の方とのお付き合いなどはありますか?
(江越さん)ありがたいことに、道向かいのお寿司屋さんなどが、お客様にうちのお店のご紹介を頂いたりするほどのお付き合いをさせていただいています。新小岩という、まったく未知の土地にオープンしたとは思えない近隣の方の温かさに感謝です。
―最後に今後、独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(江越さん)お金の心配をしないように、借入をしよう!ですかね(笑)。そして、揺らぐことのないようにお店のコンセプトを固めておくことですね。私は、はじめから夜だけ営業で、独立のスタートはひとりで、と決めていました。ゆくゆくは、スタッフを雇ってチームとしてお店を運営していきたいですね。
―お忙しい中、インタビューへのご協力ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りしております。
<おすすめ料理>
季節の野菜 *イメージ素材
香箱カニ *季節限定
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. 独立にむけたプランを作ろう(人脈も含め)
- 其の2. 借り入れはあまり抑えずに(もう少し借りればよかった)
- 其の3. 近隣飲食店とのつながりを大切に
お店ができるまで
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店舗情報
店主経歴16歳から料理の道へ入り、地元佐賀の寿司割烹で2年修行。 |
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