飲食店開業者インタビュー VOL.28 「GREEDY FOX BURGER」 高城拓也さん/人が進む方向とは逆に進みたくなる人生
2020年8月25日に、王子にオープンした「GREEDY FOX BURGER」は、オーナーの高城拓也さんの初の独立店舗。2階という立地ながら、大きな窓が開けられ、開放感はばっちり。未曾有のコロナ禍の最中のオープンに不安や戸惑いはなかったのでしょうか。独立までの高城さんの想いをお伺いしました。
―2020年8月25日にオープンとのことですが、まさに世の中は飲食店が悲鳴を上げているというニュースの真っただ中。そんな中のオープンですが、物件探しはいつごろから開始されたのでしょうか。
(高城さん)物件探しは、2年くらい前から独立に向けて探してはいました。しかし、前職(ハンバーガー専門店)勤務もしながらなので、中々探すのも難しかったですね。このままではなかなか独立ができないなと、今年の3月で退社をし、本腰をいれて探そうと決めたのです。
―こちらの物件との出会う前には、相当の数の物件を見られたのでしょうか。
(高城さん)いえ、それが内見をしたのはここだけなんです。その前に、王子で狙っていた物件がありまして。この近くの路面のお店なんですが、まだ営業しているのにも関わらず「ここが空いたらぜひ借りたい」と直訴していたんです(笑)でも、なかなか連絡も来ることなく。そうしている間に、5月にここの物件がコロナの影響で空くと連絡が。
―コロナ不況で逆にチャンスが巡ってきたということですね。
(高城さん)そうなんです。普通であれば、即決しなければ決まってしまうような物件であるにも関わらず、この時期だったこともあり、契約まで2カ月も待ってもらえました。内見をしたのは、5月なのですが、契約したのは7月です。
―とても広々とした店内は、客席もほどよく離れていますし、換気もできて気持ちよい空間ですね。
(高城さん) 初めての独立にしては、少し広いなとも思いましたが、この物件を見た時に、イメージがぶわーって降りてきたんです。頭の前にもう心が決定してましたね。もともとは、中華居酒屋だったと聞いています。そのため、今回のオープンに向けて、ほとんど作り直しました。まず、キッチンエリアも広げましたし、トイレも1つだったものを、男女分けて2つに。もちろんインテリアも一から選びましたね。何度も来ていただくお客様が飽きないように、椅子や食器はカラフルなカラーにしたいという意思も貫きました。
―今回の独立に向けてチームはすでにあったのでしょうか。
(高城さん)すべて家族がチームです。唯一のスタッフには、弟が。彼は、10歳年下なのですが、2年前から私のお店で働くという信念を貫き、待ち続けてくれていたんです。あとは、内装に関しては、父が一緒にペンキを塗ってくれたり、フェイクグリーン作ってくれたりと、DIYで大活躍をしてくれました。基礎設計に関しては、物件を紹介いただいたレスタンダードさんの紹介の会社にお願いをしました。内装に費やした期間は約1カ月です。
―このエリアの土地勘というのは?
(高城さん)実は、生まれも育ちもここが地元なんです(笑)そのため、学生時代もこのあたりでアルバイトをしていましたし、仲間もたくさんいます。近所の飲食店でもチラシを置いてくれるなど応援団がいるのはとても心強いですね。
―ハンバーガー店での独立はいつから志されていたのでしょうか。
(高城さん)それが、実は私は美容師専門学校を卒業したんです。そのあと、すぐに就職をしたくなくて、バイクで日本一周をしました。で、戻ってきたら、美容室ではなく、イタリアンレストランへの勤務に(笑)。すべて直感です。その後、食べ歩きをする中で、前職のハンバーガーショップに出会い、味に惚れて就職を決めました。そして現場での体験をする中で、徐々にハンバーガーショップでの独立をイメージするようになったのです。
―人生の方向転換がすごいですね。
(高城さん)そうですね、今回のコロナという状況の中でのオープンもそうなんですが、自分自身が、人が進む方向と逆に進みたいという意識が強いんです(笑)
―オープンから1カ月半ですが、想像通りの展開になっていますでしょうか。
(高城さん)売上ベースという意味では、予想通りで進んでいます。お客様の層に関しては、思っていたのと少し異なりましたね。お店のメニューは、昼も夜も同じで提供しているのですが、お昼間のお客様8-9割が女性でした。これは流石にびっくりしました(笑)
「GREEDY FOX BURGER」のハンバーガーは、パテがとても大きいのが特徴で、ハンバーガーのボリュームは満点なんです。肉好き女子が世の中には多いんですね、本当に。
あとは、有難いことに、2階にもかかわらず、ベビーカーをわざわざ上げてまで来店をいただくことも。週末はファミリー層で満席ということも珍しくはありません。
―この時期で、はじめから想像通りの売り上げというのは素晴らしいです。
(高城さん)うれしいかぎりですね。今は、UBER EATSにも申請をしていて、デリバリーなども対応できるように考えています。何しろ、パテをハンドチョップしていることもあり、1日に提供できる数にも限界があるので。
―パテは本当にステーキのようですね。
(高城さん)もともと私のステーキ好きが高じているんです。いろいろなお店のハンバーガーを食べ歩きましたが、なかなか自分の好みのパテを出しいているところがなくて。独立する際には、絶対に肉肉しいパテにしたいというのは思っていました。
―「GREEDY FOX BURGER」というお店の名前に込めた想いを教えてください。
(高城さん)この王子というエリアは、キツネに縁があるんです。大晦日にキツネの行列という行事があり、みんながキツネのペイントをして練り歩くんです。なので、FOX(キツネ)は欠かせないなと。あと、私の顔が“チベットスナギツネ”に似ていると言われたこともあり、GREESDY(欲張りな)をつけて、「GREEDY FOX BURGER」にしました。
―ストーリーが素敵ですね。最後に今後独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(高城さん)まだ自分が決めた道が正しいのかどうかはわかりません。でも、思いたったらすぐに動く方が私は後悔しないと思っています。自分自身のタイミングをつかんでいただければと思います。
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. マイナンバーカードは申請しておいたほうが便利
- 其の2. 家族や友人の助けを素直に受ける
- 其の3. 思いたったら悩まず行動
お店ができるまで
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<おすすめ料理>
チーズカポナータバーガー(ポテト付き)1,400円(税別)
<カポナータ・チーズ・パティ・オニオン・トマト・レタス・マヨネーズ・塩胡椒>
ガリバタマッシュルームバーガー(ポテト付き)1,500円(税別)
<パティ・モッツアレラ・エリンギ・ガーリック・オニオン・トマト・レタス・マヨネーズ・塩胡椒>
店舗情報
店主経歴東京都北区出身、美容師専門学校を卒業後、バイクにて日本一周。 |
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中
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