飲食店開業者インタビュー VOL.23 「食堂 モリサワ」森沢のりこさん
食へのこだわりは人一倍
2019年9月10日、東急東横線「祐天寺」駅から徒歩3分の場所に「食堂モリサワ」がオープン。こちらのお店のオーナー森沢のりこさんは、異業種からの初出店。といっても違う角度から食の世界と深くかかわりを持つ職種のため、食へのこだわりは人一倍なのです。
誰もが一度は目にしたことがあるCMのフードコーディネーターを務める、森沢のりこさんの新しい挑戦を伺いました。
―今日は、よろしくお願いいたします。とても素敵なお店ですね。
(森沢さん)念願かなってのオープンなので、居抜きで契約しましたが、一旦すべて解体し、カウンターからお手洗いからお店の隅々まで自分の納得がいくように造り込みました。仕事柄、クリエイティブな世界の方々との交流が深いので、お力添えをいただいたのもとても心強かったですね。
―物件はこの地域で探されていたのですか?
(森沢さん)いえ、物件探しを始めたころは、3年くらい前から。三軒茶屋~茶沢通り沿いや、中目黒近くの東山などを中心に探していたんです。しかし、人気エリアということも有りなかなか条件に合う物件との巡り合わせがありませんでした。
そんな中、「駅近」という条件を満たしたのは、今回の物件でした。私の友人たちも年を重ね、「駅から遠くない場所にしてね」というリクエストもあったものですから(笑)。そもそも、「祐天寺」という場所には、学生時代に4年間過ごしたこともありましたし、40代のころに五本木付近に住んでもいたので、親近感も沸き、決定したのです。
―オープンしてみていかがでしょう。
(森沢さん)きちんとエリアマーケティングをしておけばよかったと思うことはありますね。
中目黒と学芸大学という、飲食の発展しているエリアの狭間ですし、なんとなく似ている空気感かなという意識だったので。始めて見ると意外なくらいに外からの流入の方が少ないなと実感し、まずは、ローカルの方に愛されるよう努力していこうと思っています。
―オープン販促はどんなことをされたのですか?
(森沢さん)オープン前からSNSでの告知はしっかりと行ってきたつもりです。でも、中々友人たちも自分の生活の中で、「祐天寺」に足を運ぶ回数は多くないようで、思ったよりオープン景気はなかったかなと思います。
広告媒体からの集客も12月が2組だったという状況を受け、結果、「待っているだけではお客様は来ない」と腹を決め、テイクアウトのさばサンドを開発、Uber Eatsにも登録をしていこうと思っています。
―今は、2足のわらじを履いている状態での経営なんですね。
(森沢さん)はい、こちらのお店を軌道に乗せるためにも、もう一つの世界も大切にしているんです。広告の世界が長い分、その業務でできた繋がりから、堂々と豊洲に買い出しに行けたりもするんですよ。端から見た時に、「見た目はいいかもしれないけれど、味は大丈夫なの?」と思われるのが何より嫌なんです。素材にこだわり、お客様としっかり向き合って、料理を提供しています。
―森沢さんですが、フードコーディネーターになるきっかけを教えてください。
(森沢さん)私は、学生時代に演劇部に身を捧げていました。中学、高校、大学と13年間ですね。そんな中、大学生のころに、大道具のアルバイトを始めたんです。その流れから、セットデザインの小物を集めたりすることも。
―あっ、確かにフードは今でこそ、フードコーディネーターというポジションがありますが、昔は、「消えモノ」としてセットの一部だったんですよね。
(森沢さん)そうなんです。その時代から食を担当することになり、せっかく口に入れるものであれば、美味しいほうが良いに決まっているし、演技する役者の表情も違ってくるとの思いから、「消えモノ」にこだわるようになったんです。某企業のCMに至っては、35年担当していますから。
―そんな「食堂モリサワ」のお料理についてご紹介ください。
(森沢さん)酒の肴になるものは、なんでも提供しますよ(笑)。今回ご紹介する生がき、タンドリーチキン、ねぎま鍋を見ていただいても幅広いでしょう?もちろん、時期ごとにメニューはどんどん変わります。一期一会のメニューもあるかもしれません。
ワインはイスラエルのものを中心に取り揃えているので、毎週日曜日は、私以外のスタッフのイスラエル料理メニューになっています。
―最後に、どんなお店に育っていってほしいですか?
(森沢さん)やっぱり、ワイワイと毎日賑やかなお店にしていきたいですね。
カウンター6席とベンチシートのテーブル席のミニマムな食堂空間ですから、一人でも気軽に立ち寄って頂けるようなお店になりたいです。
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. 近隣のマーケットリサ―チは入念に!
- 其の2. 運転資金は余裕をもって。
- 其の3. 友人の「あの場所にできたら通うよ」をあまり信じない。
お店ができるまで
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<おすすめ料理>
生がき
タンドリーチキン
ねぎま鍋
店舗情報
店主経歴大学時代のアルバイトで舞台の大道具の世界へ。 |
取材・文 青山友美 食専門のPR企画&編集・ライターとして活動中
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