開業レポ

注目新店舗インタビューvol.16「鉄板お好み焼き 肉玉 蒲田本店」コロナの影響で住宅立地出店に転換

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2021年10月29日プレオープン、11月5日にグランドオープンを迎えた「鉄板お好み焼き 肉玉 蒲田本店」。こちらは、恵比寿にある「お好み焼き ぶち」を経営する株式会社WIDE ISLANDが手がける新店舗です。コロナ禍をきっかけに、これまでの経営方針を転換。地域密着型店として「鉄板お好み焼き 肉玉」ブランドを立ち上げられたそう。そこで、代表取締役の石原智弘さんにお話を伺いました。(写真右)
 
―コロナ禍の今、新店オープンを決意された理由を教えてください。
(石原さん)実は、コロナ禍以前は恵比寿で3店舗を経営していました。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって半年ほどで2つの店舗を閉めることにしました。補助金や協力金をいただきながら乗り越えることもできたと思うのですが、この状況は、2年は戻らないと考えて、根本から立て直すことにしました。
 
―なるほど。受け身の姿勢ではなく、より前向きに考えた結果だったのですね。
(石原さん)そうですね。元の状況になるのをひたすら待つより、この機会に原点に立ち返ってみました。私は広島出身で、お好み焼きは小さい頃から食べてきたソウルフード。その後、大阪で数年過ごしたのですが、やはり粉ものは地域密着で帰り道に立ち寄るようなお店が多いのです。そんな地域に根ざした食文化を関東の人にも知ってもらいたくて上京しました。その思いを貫くなら、細く長く続けられる住宅地に店を出そうと決意しました。
 

 
―どのように物件探しをされましたか?
(石原さん)かなり広く検討しました。特に、希望していた南武線沿線はいろいろな駅を見ましたが、なかなか良い物件がありませんでした。蒲田は、駅前の居酒屋さんには飲みに行ったことが何度もあったのですが、そのときの印象はあまり良いものではありませんでしたね(笑)
 
―それなのに蒲田に出店された決め手はどこにあったのでしょうか?
(石原さん)登録していた居抜き市場営業の方から「石原さんにぜひやってもらいたい物件がある」と、紹介していただいたのがきっかけでした。私が知っている蒲田は駅周辺だけで、そのとき初めて東京工科大学の周辺まで来ました。そこから続く商店街(西蒲田 女塚通り会)への導線は、まさにイメージ通りでした。
 
―確かにこのエリアは駅前とはガラリと雰囲気が変わりますね。
(石原さん)それに近隣の方と話をしてみると「この商店街は寂しくなっているけど、お店ができたらうれしい」と、よそ者を受け入れてくれる空気感が他のエリア以上にあって、さらにこの街が好きになりました。あとは人通りを知りたくて店の前に何時間も滞在してみると、時間帯によっては6秒に1人通るほど往来があることがわかりました。自分がこの通りの先に住んでいると想定して、この場所に明かりが灯ったら……、絶対に流れを変えられると思いました。勘でしかありませんが(笑)
 

 
―お店は、一見するとお好み焼き店とは思えないスマートなデザインですが、どのようなコンセプトで作られたのですか?
(石原さん)清潔感があってスタイリッシュで、女性やカップル、家族も入りやすい店にしたいと考えました。調理風景をスタジアムのスタンド席から見るような感覚で楽しめるように、厨房の床を少し下げ、お客さまの視線の高さにこだわり、「2段式STEP型カウンター鉄板」という他にないスタイルを完成させたのです。また、スムーズに移動できるように通路を広く確保、テーブルの天板の下の引き出しにメニューやカトラリーなど必要なものはすべて収納しました。
 
―確かにこの通路はゆったりしていて、ベビーカーでも奥まで難なく入れそうですね。
(石原さん)お客さまの中には「もったいない」、「それならテーブル席を」という声もありますが、「こういうお好み焼きのお店ってなかったよね」、「通路が広いですね」と、こちらの意図を感じてくださる方も多いのがうれしいです。ここはスケルトンで契約したので、建築士さんと相談してミリ単位で調整してもらい、まさに特注の空間をつくり上げることができました。その分、時間とコストはかかりましたが……。この店がモデルケースになると思っています。
 
―広告、宣伝に関しては、オープン前からInstagramなどSNSで情報発信をされていたそうですね。
(石原さん)工事の様子やその進捗具合を投稿することで、成長を見守るというか、愛着がわくと良いなという思いでした。ハッシュタグは「#蒲田」「#西蒲田」「#女塚通り会」など、地元の方の目に止まるように意識しました。すると、オープン前には200人ほどのフォロワーさんが付いて「SNS見てました!」と、来店してくださる方もいらっしゃいましたね。
 

 
―地域密着型店だからそこ、ターゲットを絞って効果的な情報発信ができたわけですね。
(石原さん)そうですね。それに、工事が始まる前からシャッターに「アルバイト募集」の貼り紙をしていたら、地元の学生さんを中心にアッと言う間に集まりました。駅前でチラシ配りをする必要もなく、店頭に設置しておけば良いという具合です。そうしたコストを抑える代わりに、粉ものでも罪悪感なく召し上がっていただけるように国産食材にこだわるのが、この店のやり方だと思っています。
 
―先ほど蒲田本店をモデルケースにしてというお話がありましたが、今後の展開はどのようにお考えですか?
(石原さん)ここと同じような物件を探してもらっているのですがなかなか見つかりません。条件に合う物件に出会えたら、2店舗目、3店舗目と展開して、子どもも安心して楽しめるお好み焼き、鉄板焼き文化を伝えていきたいです。
 

<おすすめ料理>

 

肉玉のお好み焼き 観音ねぎぶっかけ+双子月見 1,500円(税込)

 

肉玉のお好み焼き 半熟とろ玉子+観音ねぎ 1,600円

 
山口県産 長萩和牛のデカぷりホルモン焼き 熟成たれor旨塩 1,100円

山口県産 長萩和牛のデカぷりホルモン焼き 熟成たれor旨塩 1,100円

 

店舗概要

  • 店名 鉄板お好み焼き 肉玉 蒲田本店
  • 住所 東京都大田区西蒲田5-13-32 ファミーユ束田1号館1F
  • TEL03-6715-8642
  • 営業時間 17:00〜22:30(LO21:30)
    ※テイクアウトOK
    定休日:月曜+不定休
  • HP29tama_okonomiyaki.kamata

スナック 外観
 

 
取材・文 近藤由美 ライター、手作り味噌マイスター

 

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