飲食店開業者インタビュー VOL.39「KARASUMIYA」「肉割烹 門」遠藤功一さん
コロナ禍で気づいた飲食店への愛情
東武東上線「大山」から程近く、ビルの1階と地下の物件2つを契約し、それぞれの業態で店舗経営を行う、遠藤功一さん。初の独立であるにもかかわらず、自身の経験を信じたことで、大きな不安はなかったそうです。台湾出身の母の影響から“からすみ”をテーマにした「KARASUMIYA」(2022年2月23日オープン)、前職のキャリアを生かした「肉割烹 門」(2022年3月3日オープン)。2つの異なるコンセプトをどのように運営していくのかを遠藤さんに伺いました。
―オープンおめでとうございます。初の独立で一気に2店舗というのは勇気がいったと思います。このタイミングでの独立について教えてください。
(遠藤さん)ありがとうございます。そうですよね。2店舗というのは自分でも想定していませんでした。独立についてですが、そもそも私は22歳の時に地元栃木でBARを開業していたんです。しかし、当時は海外志向の気持ちが強くなり、まずは海外にも出店している東京のお店で働こうと上京しました。そして、グローバルダイニングに入社し「モンスーンカフェ」などの店舗マネージメントを経験させてもらいました。
グローバルダイニングを退社するタイミングで一度独立もよぎったのですが、今思えば独立するという覚悟がまだ揺らいでいたと思います。そんな時、前職のオーナーから「お店を手伝ってほしい」という声掛けをいただき、サポートすることになりました。するとあっという間に4年が過ぎてしまって、自分でもびっくりしています。そして、今回のコロナ禍に突入。外食の制限や飲食店の存在意義など色々と考えさせられた結果、自分の気持ちに逆に火がついてきたんです。こんなに楽しい外食文化をなくすわけにはいかないぞと。
―なるほど。逆境に強い気持ちがうまれたと。独立を決意してから、物件と出会うまではどれくらいだったのでしょうか。
(遠藤さん)まず、エリアは特に絞らずに駅からの距離と建物の店構えにこだわりました。人形町とかも見てましたね。前の職場が北千住ということもあって。でも、なかなか気に入る物件がなく、半年くらいたったころ、この物件を紹介されたんです。
まず、「大山」というエリアにまったく馴染みがなかったので、このエリアを知るために、飲食店のリサーチを徹底的にしました。逆サイドの商店街には、低価格帯の飲み屋街が多くあるのですが、色々なお店に足を運んでみると単価が10000円くらいの飲食店もあることがわかり、しかもお客さんも入っている現実を目にしたんです。その時点で、勝負ができるかもと思いました。
この物件は、1階が寿司店で地下1階が居酒屋だったんです。はじめは、1階だけを借りる予定だったのですが、地下を案内されてみたら、なかなか良い物件だと思いました。加えて、2つ借りることでの家賃メリットもおおきかったです。2022年1月末に契約をいたしました。
―居抜き物件の魅力はいかせましたか?
(遠藤さん)はい、かなり店内の状態がきれいで、エアコンや厨房は問題なく使用できています。造作譲渡のなかで寿司ネタケースなどの必要がないものは、売却が出来ましたし、準備期間もかからず、オープンできたのはとてもよかったと思います。
―業態についてのアイデアはいつ頃から?
(遠藤さん)そもそもは、台湾にからすみ専門店をだしたいなと思っていたんです。わたしの母が台湾出身ということもあり、おいしいからすみをもっと知ってもらいたいなと常々感じていました。コロナ禍になり、海外出店は難しく感じたので、まずは都内へ意識を向けました。特に近年は、専門店の強みが大切になってきているなと思っていたのもあり、迷いはなかったです。肉割烹については、地下の物件を見たタイミングで、この広さがあれば、割烹スタイルの焼肉店ができるなと。
―店内の席数についてお伺いします。
(遠藤さん)1階のカウンターは、9席で職人の手元が見えるスタイルです。もともとの寿司店のカウンターを活かしています。テーブル席は4席×2卓で、計17席。地下は、カウンターが6席、テーブルが4席×2卓、個室6席、計20席です。スタッフの上下移動もそうですし、ドリンクの共有なども含め、2業態ではありますが、経営は同じ店舗としてみています。
―実際にオープンをして約2カ月ですが、お客様の集客はいかがですか。(取材時)
(遠藤さん) まだしっかりしたPRはしていません。今までにお世話になった方々に案内状をだした程度で。でも、工事中から「どんなお店になるの?」など近隣の方に関心をもっていただいていたのもあり、リピートいただくお客様も多いです。下の「肉割烹門」はコース対応で、上の「KARASUMIYA」はアラカルト対応なので、しっかりと食事を召し上がってから、移動して飲んでいただけるパターンも。とにかく、しっかりサービスし、おいしい食事と楽しい時間を提供するということを、一番大切にしています。そこから、お客様の口コミや紹介、リピートに繋がるからです。
―今回ご紹介いただいた、前菜の中に4種のからすみがありますが、こちらのご説明をいただけますか?
(遠藤さん)4種のからすみは、ボラ、タラ、マグロ、マルーカです。それぞれ味わいに個性もありすし、カラーが違うのも楽しいですよね。産地は、台湾、イタリア、オーストラリアなどで、料理によって使い分けています。アラカルトでも「からすみ4種お好み探し」でお楽しみいただけます。
―店名もわかりやすく「KARASUMIYA」ですし、目的来店の方もおおいのでは?
(遠藤さん)そうなんです。意外にからすみというワードに惹かれて来店される方がいらっしゃいます。特に、日本酒好きな方が多いですね。もちろん、からすみ以外のメニューも取り揃えています。
―スタッフはどのように集められたのでしょうか。
(遠藤さん)主力メンバーは、もともと一緒に働いていたスタッフです。独立に際して集まってくれたのは嬉しいですね。年明けすぐに求人をかけた際には、反応が鈍かったのですが、学生の入れ替わりのタイミングでよいアルバイトスタッフが集まってくれました。チームワークはとても良いです。
―今後、独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(遠藤さん)飲食店が大好きだからこそ、この仕事と真剣に向き合っています。とくに、今回のコロナ禍では自分自身はこんなにも飲食店が好きだということに気が付きました。ぜひ、同じような志の方には勇気をもって独立してほしいと思います!
―本日はお忙しい中、ありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。
<おすすめ料理>
おまかせ八品の前菜(*からすみ4種入り)季節によって変更あり
からすみ蕎麦
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. 後悔しないように!失敗を恐れず
- 其の2. 人を雇うという責任感をもつ
- 其の3. とにかく楽しくやろう
お店ができるまで
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店舗情報
店主経歴栃木県出身。22歳で地元栃木にBARを開業。その後、海外志向が強くなり、BARをたたみ上京。グローバルダイニングへ入社。店舗マネージメントを担当。2018年からは、オーナーに声をかけられ、肉割烹スタイルの焼肉店に4年間勤務。2021年より独立を目指しリサーチを開始、2022年に開業。 |
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