飲食店開業者インタビュー VOL.40「酒肴 CHISOちそ」下田 政隆さん
長年の夢であった独立で、地元に貢献できる喜び
東急田園都市線「駒沢大学駅」駒沢公園口から徒歩5分の場所に2022年8月20日にオープンしたのは、「酒肴 CHISOちそ」。ビルの2Fという立地でありながら、専用階段でそのまま店内に入るスタイルがとても心地よいお店です。今回、独立開業を果たした、店主の下田 政隆さんにお話を伺いました。
―第一印象ですが、カウンターの作りが、すごく印象的な空間ですね。入り口の扉を開けて、専用階段で上がってくる感じも素敵です。
(下田さん)ありがとうございます。元々、事務所仕様だったので、ほぼスケルトン状態からの内装工事でした。この物件自体が、縦長なのでどうしようか悩みましたが、まずカウンター内の導線を意識し、3席ずつで2つのカウンターを確保しました。少しイレギュラーなカウンターですが、気に入っています。そして、奥には6名のテーブル席を配置しました。
―独立用の物件はいつ頃からリサーチを開始されていたのでしょうか。そして、この物件に決定した決め手を教えてください。
(下田さん)はい、独立に向けてリサーチを始めたのは、2年ほど前からです。はじめは、前職が東急東横線沿いだったので、同じ沿線で探していました。しかし、人気エリアというのもありますし、わたしのような個人で初独立となると企業には負けてしまいます。
しかし、そろそろ年齢的にも独立への一歩を踏み出さないといけないなと真剣に考え、最後は退社し、リサーチ範囲も広げていたところでこの物件と出会ったのです。決め手は、まず理想的なサイズだったこと。家賃も2Fですので、路面よりは少し条件が下がっているのもよかったです。そして、私は世田谷区出身なので、お店の住所が世田谷区というのも地域貢献というか、恩返し的になるかなとも思いまして。
―結果的に、世田谷区で落ち着いてよかったですね。開業準備は順調でしたか?
(下田さん)何より大変だったのは、工事申請でしたね。契約をしたのは5月でしたが、まるまる3カ月工事に費やしました。並行して、融資の計画書の作成も自分自身で行いました。ここは、人任せではなく、自分でやることが大切だと思ったんです。ここ数年で貯金をしつつ自己資金もありましたが、きちんと融資を受けました。厨房機器もすべて新品ですし、初期投資の部分はやはりかかりますからね。内装工事に至っては、ペンキを塗るなどのできるところは全て自分たちで行いました。
―ニュートラルな内装が落ち着きますし、お一人の方でもカウンターで楽しめそうです。
(下田さん)そういっていただけると嬉しいです。和食店にしては、カウンターの高さが少し高めになっていますのでカジュアル感が出ていると思います。
―業態についてのコンセプトはどのように固まったのでしょう。
(下田さん)私の25年の飲食経験は、ほぼ和食と居酒屋なので、必然的に料理は決まります。ただ、このコロナ禍で外食スタイルも変化がおきたと感じていたので、ターゲットは少人数利用のお客様と考えていました。結果、この物件と出会い、まさにカウンターをメインとした少人数スタイルが実現できたのです。
お店の価格はリーズナブルに設定しました。豊洲の仲卸の方には「お値打ちすぎる」というお声をいただいたほどです(笑)お一人様に、ハーフポーション対応などを臨機応変にできるのも、独立した醍醐味ですね。でも、そのおかげもあってか、一度来てくださった方は、ほとんどリピートしてくれています。
―オープンして約1カ月半ほどですが、お客様の集客はいかがですか。(取材時)
(下田さん) 今のところ、インスタと公式LINE以外のPRなどは特にしていないのですが、地元にお住いの30~50代の方々にご来店いただけています。あと、過去に勤務していた時のお客様が足を運んでくださるのも、とても幸せです。今では、ありがたいことに多くのご予約を電話やインスタDMからいただいています。
―スタッフの募集はどうされたのでしょうか。
(下田さん)私のほかに、1名のアルバイトで運営しているのですが、これがありがたいことに募集をすることなく、身内のアルバイトで回っています。身内というのは、友人の子供だったりもするので、地元の強みがここで活きましたね。
―「酒肴 CHISOちそ」の名前の由来を教えてください。
(下田さん)「ごちそう」から命名しました。「ごちそう」の真ん中を取る形で。英字をいれることで、ザ・和食店という固いイメージから抜けるように意識しました。
―お料理はどれくらいの期間で変わっていきますか?
(下田さん)季節ごとにベースのメニューは変えていく予定ですが、ほかに、日々のおすすめは黒板メニューとしてかならず準備します。本日ご紹介するメニューも変更がでますので、ご了承ください。
―まさに、通い続けたくなるお店ですね!念願の独立の夢を叶えた、今のお気持ちを聞かせてください。
(下田さん)まずは、オープンでき、さらにお陰様で売り上げ目標まで達成できたので、このまま長く続けていくことが目標です。ただ、その先に、和食ではないコンセプトで展開するという夢も生まれてきましたね。
―素晴らしいです。最後に、今後独立しようと思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(下田さん)独立するということは、全ての責任が自分に降りかかってきます。しかし、私は大変でもそれをやりがいに感じる日々です。もし本当に独立を視野にいれているのであれば、働きながらでも、自分ならどのようなコンセプトで独立するか、何ができるのかということを常に考えておくべきだと思います。
―下田さんのインタビューから、充実感が伝わってきます。本日はお忙しい中、ありがとうございました!
<おすすめ料理> *季節によってメニューが変わります
お刺身盛合わせ
ホタテとキクラゲのシュウマイ
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. 事業内容の明確さが大事(ターゲット・物件イメージ)
- 其の2. 自分が、何ができるのかを分析しておく
- 其の3. 過去の人脈は大切にすること
お店ができるまで
|
店舗情報
店主経歴東京都世田谷区出身。和食、居酒屋を中心に飲食経験は25年。前職のカウンター和食店の業態開発、メニュー開発をすべて行う中で、独立の夢を強くし、2020年より物件リサーチを開始。2022年8月20日に駒澤大学に独立開業する。 |
- 開業レポ最新記事はこちらから
「開業レポ」の関連記事
関連タグ