飲食店開業者インタビュー VOL.31「とんかつ専門店 がんばり亭」 野間正一郎さん/独立から23年を経て、新業態をオープン
戸越公園駅前の再開発ビル工事の目の前にオープンしたのは、「とんかつ専門店 がんばり亭」。オーナーは、大井町で23年間、焼きとん居酒屋「がんばり亭」を経営している、野間正一郎さん。
オープン日は、一号店と同じ12月8日とのこと。コロナ禍での開業ですが、いつかは専門店での開業をしたいという構想はあった中での絶妙なタイミングで「とんかつ」の魅力に出会い、感動したことが今回のオープンのきっかけのようです。お話を伺いました。
―看板の「とんかつ専門店」がとても印象的で目に留まりました。いつから専門店での開業を考えていたのでしょうか。
(野間さん)大井町で居酒屋を営んで、早23年なのですが、頭の片隅に、次には何かの専門店をオープンしたいなという思いがあったんですね。そんな中、1年くらい前ですね、いつも行列の絶えない有名店の「とんかつ」を初めて食べて、とてつもなく感動したんです。
こんなにも身近なとんかつという存在のおいしさの幅の広さに。それまでは、わざわざこんなに並んでまで食べたいのか?なんて、斜めな意見も持っていたので、目から鱗でした。とんかつは、コンビニでもスーパーでもどこでも気軽に食べることができます。でも、専門店のおいしさというのは本当に格別だ!みんなにもっと伝えたい。と、自分に湧き上がったエネルギーからのスタートでした。
―2020年12月8日にオープンとのことですが、まさにコロナ禍での準備でしたね。
(野間さん)そうなんです。コロナによって、自分の中の少し計画が早まりましたね。23年間営んでいる既存の大井町の店舗は居酒屋なので、コロナ自粛の影響は免れませんでした。そんな中、すでにとんかつ専門店の構想はあったので、コロナの渦中で物件探しに動きました。そして、10月に物件契約をして、12月8日のオープンです。蒲田~大井町沿線を中心に、4~5軒ですね、内見したのは。
―こちらの物件に決定したポイントを教えてください。
(野間さん)一番の決め手は、この目の前の再開発ビルですね。23階建てのマンションが建つんです。すでに、工事の方々が日々お弁当を買ってくれたり、ランチを召し上がってくれたりで効果があるのですが、ビルの完成によって人の流れが変わりますよね。そこは、最大の魅力でした。もちろん、物件サイズがベストだったということもあります。前は、和食店だったようですが、内装はかなり手を入れましたね。トイレも、厨房機器もすべて入れ替えましたし、カウンターも一枚板を削って塗り替え、壁も張り替えという作業に、1カ月は費やしました。
―街のマーケティングなどはされていないということですね。
(野間さん)はい、そうなんです。で、オープンをしてみたら、意外に近くに競合店がないことに気が付きました。オープン時は、新聞折り込みを2300枚ほどだけ。あとは、SNS発信と、Google登録というくらいですね。でも、目立たない場所なのにもかかわらず、チラシ効果か地元のお客様が徐々に来店してくださっています。あえて、店名よりも「とんかつ専門店」を目立つようにしたことも功を奏しているように思います。これは友人からのアドバイスでした。「何が食べられるか」が明確にわかるほうが印象に残ると。
―店舗づくりで意識をしたことはありますか?
(野間さん)今回は、お酒をたくさん飲む空気感をださないという点でしょうか。あくまでもお昼のイメージを強く。でも、とんかつをつまみにお酒を楽しみたいという方に、瓶ビール、日本酒などシンプルなものは用意しています。昨年は、ほぼ毎日とんかつを食べていたといっても過言でないくらい、食べ歩きましたね。その結果、スタートはとにかくシンプルなメニューで行こうと決断しました。
―厨房の鶴田シェフとの二人三脚でのスタートですね。
(野間さん)はい、鶴田シェフは寿司、鉄板焼きなど様々な和食の経験を持っています。彼との出会いは、大井町の野球チームという個人的な繋がりからです。私の構想を話したときに、一緒にやろうということになり、まずは大井町の店舗に入ってもらいつつ、一緒にとんかつの研究に励みました。
―「がんばり亭」が扱う「林SPF豚」について教えてください。
(野間さん)SPFとは Specific(特定の) Pathogen(病原体) Free(無い)の略で、あらかじめ指定された病原体を持っていないという意味です。病気によるストレスがないため、ワクチンや抗生物質も打つことが少なく育つため、健康優良児といえるんです。私が感動したお店もこの「林SPF豚」を使用していたので、オマージュしています。お客様には、肉の柔らかさ、脂の甘さ、軽さ、美味しさを体験してほしいですね。
―今回は、既存店と180度異なるわけですが、野間さんにとっては新しい挑戦ですね。
(野間さん) そうですね、高卒業後に飲食の道に進み、24歳の時に洋風居酒屋で共同経営者として独立、30歳でオーナーとして大井町の「がんばり亭」をオープンしたので、お昼間業態は初めてなんです。でもコロナの状況も背中を後押ししてくれたと思います。一つのスタイルよりも、異なる業態で支えあえればいいなと。
―独立資金のことについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
(野間さん)はい、今回の独立においては、もちろん借り入れをしましたね。前回の時もしましたが。4年前に個人事業主から法人化していたことで、審査はそんなに大変ではなかったです。特にコロナ禍ですし。でも、なるべくお金は借りないほうがいいですよね。返さなければいけないから。私はそう思います。
―店名に付けられた「がんばり亭」に込められた思いを教えてください。
(野間さん)この名前は、大井町と一緒なんですけどね、30歳で独立するときにパッと降りてきたんですよ。で、今回も同じ屋号で行こうかなと。オープン日も一緒になりましたし。
―今後独立と思っていらっしゃる方に向けて一言いただけますか?
(野間さん)とにかく、「やる」と決めたらやるってことですね。長くやっていれば、なんとかなりますよ。私も何回もやめようと思ったことがありますが、辞めなかったことで今があるので。
<おすすめ料理>
<定食> ご飯、豚汁、漬物付き*ご飯の大盛り、キャベツのおかわり無料
ロースカツ定食 ¥1,300 / 上ロースカツ定食 ¥2,000 /
特上ロースカツ定食 ¥2,500 / ヒレカツ定食 ¥1,600 /
上ヒレカツ定食 ¥2,200
<単品>
ロースカツ ¥1,000 / 上ロースカツ ¥1,700 / 特上ロースカツ ¥2,200 /
ヒレカツ ¥1,300 / 上ヒレカツ ¥1,900 / ごはん ¥200
これから独立する方へ アドバイス 3箇条
- 其の1. お金の借り入れはなるべく少なく
- 其の2. メニューは専門性があるほうが良い
- 其の3. 「やる」と決めたらとことん「やる」
お店ができるまで
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店舗情報
店主経歴東京出身、高校卒業後、飲食の世界に。 |
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