飲食店を売却・閉店するとき役に立つ方法、知識、コツを説明します。

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飲食店舗の造作譲渡・売買
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飲食店を売却する方法とは?閉店するとき役に立つ売却方法の知識とコツ

飲食店を売却する方法

飲食店は年間平均での閉店件数が多いことから、店舗の入れ替わりも激しい業種です。こういった飲食店は、閉店する際に契約通りに原状回復した上で返却するという選択のほかに、居抜きという形で売却するという選択もあります。居抜きでの売却とはどのような仕組みで、どういったメリット、デメリット、注意点があるのでしょうか。飲食店の売却について、その方法や重要ポイント、手順などをご紹介します。

飲食店を売却する方法は?

飲食店を売却、というとどのような取引方法が考えられるでしょうか。

一般的な商品の売買は、1つ1つのモノに対して価格が設定されて取引されるのですが、飲食店を売却する場合、単に備品を個別に売却する場合を除いて、店舗の内部にある設備や什器などをまるごと1つの商品として、更に立地や建物の価値、経営状態やこれからの可能性などの視点も加味して、それらを総合的に勘案して価格が決定さて取引されることが多いです。

具体的に、飲食店を売却する方法として次のような3つの方法があります。

店舗をそのまま売却

最もわかりやすい方法が、店舗をそのまま売却する方法です。

しかし、一般的には賃貸物件で営業している飲食店が多く、それを売却することはできないように思われる方も多いのではないでしょうか。実は、所有物件で店舗運営していた場合だけでなく、賃貸物件での店舗も売却は可能です。

店舗を建物のような「モノ」として考えると不思議な感じがするかもしれませんが、店舗の価値とはそれだけではありません。これまで運営していた状態も含めた「コト」として考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

飲食店の店舗にはこれまで飲食店を運営する上で使用していた内装や設備、什器などがあり、これらを次の使用者へと引き渡しその対価を受け取るという手法で取引が行われます。

こういった方法で売却する物件を「居抜き物件」といい、内装や設備、什器などを譲渡することを「造作譲渡」といいます。居抜きでの売却は、店舗をモノとコトそれぞれ半々で考えた売却方法といえます。

事業譲渡

店舗をモノではなく、コトとしての捉え方に比重を置いた考えでの売却方法が、「事業譲渡」という方法です。運営している店舗としての事業を自社の経営から切り離し、他社または他者が引き続き運営するよう権利を譲渡します。

多角経営や多店舗経営の場合に、事業整理を目的として行う場合に多くとられる方法です。

備品の売却

店舗でそれまで使っていた設備や備品を中古厨房機器屋さんなどに売却する方法で、店舗にあるモノに比重を置いた考えの売却方法です。

この場合は、店舗内部には設備等がまだ残っていることも多いので、賃貸借契約書通りに物件を原状回復工事し、スケルトンにして家主に返却するか、または残った設備を居抜きとして売却するという選択もあります。

居抜き物件で売却するメリット

居抜き物件での売却という選択には多くのメリットがあるため、店舗売却の際に選ばれる事が多い方法です。居抜きでの売却にはどういったメリットがあるのでしょうか。

メリット1)原状回復の費用がかからない

賃貸での店舗は家主に返却する際、すべて設備や内装を撤去・解体しコンクリート打ちっぱなしの状態に戻す義務があります。

こういった状態をスケルトンといい、スケルトン状態の物件をスケルトン物件、スケルトン状態にする工事を原状回復工事といいます。

原状回復工事の費用は、状態や期間によっても変わりますが、坪810万ほどが相場で、閉店して売却する際の大きな出費となります。

居抜きでの売却では、原状回復の必要がなく工事にかかる費用が不要という点が大きなメリットです。

メリット2)造作譲渡料を得られる

居抜きでの売却の場合、内装や設備、什器などの造作譲渡を行うためその対価を得られます。

閉店までの期間に必要となった経費の補填、閉店後にかかる諸費用の支払いに必要な費用が確保できます。

メリット3)契約満期の直前まで営業できる

原状回復工事の必要がないため、工期を見越して契約満期の期日より早く閉店することなく営業を続けられるという点もメリットです。

原状回復工事の期間中も家賃は発生するため、店舗の売上がないまま家賃を払う期間が短くなり、出費を削減できます。

メリット4)解約予告期間中の家賃を免除

賃貸借契約の解約を申し出てから実際に解約となるまでの解約予告期間中は、退去していたとしても家賃を支払わなくてはなりません。

居抜きの売却において後継の借り主が決まっている場合、家主は、引き続き家賃収入を得られるので、解約予告期間を待たずに合意解約を承諾してもらえるケースが多く、空家賃の支払いをなくすことができる可能性が高い方法です。

メリット5)家主と新借主にもメリットがある

家主は空き期間がなく新たな借り手を見つけられることで賃料収入のない空白期間がなくなります。一方で、新しい借主は低コストで店舗を開業できます。

このように、三者それぞれにメリットがあるため、居抜きでの売却は歓迎されやすくスムーズな契約に結びつきます。

居抜き物件で売却するデメリット・注意点

一方で、居抜きでの売却にはデメリットとなりうる点や注意点もあります。

デメリット)買い手が現れるまで営業を継続

スケルトンとして返却する場合には明確な期日を決められますが、居抜きでの売却は買い手が現れるかどうかは100%ではないため、期日を決められません。

買い手がつくまで営業を続けることになり、経営状況が悪いことが閉店の理由であれば赤字経営を続けることになりかねないという点は注意が必要です。

注意点1)既存客やスタッフが閉店を知る可能性

居抜きでの売却では一般的にウェブサイトなどによって買い手を募集することが多いです。売却の情報が出ることで既存客やスタッフが閉店を知り、客離れ、スタッフの退職や士気低下につながる恐れがあります。

注意点2)家主とのトラブルの恐れ

居抜きで売却する場合には、必ず家主の承諾を得なければなりません。

承諾なしで進めてしまうと不信感から居抜きでの売却の拒否、スケルトンでの返却を求められるといったトラブルに発展する恐れもあります。

飲食店を売却する流れ

では、飲食店の売却はどういった流れで進め、それぞれの段階でどのような注意点があるのでしょうか。飲食店売却は次のようなステップで進めていくのが一般的です。(各ステップが前後することもあります。)

ステップ1)事前準備と契約内容の確認

賃貸借契約書を準備し、契約内容を確認しておきます。特に解約予告期間、原状回復義務についての記載があるかどうか、ある場合はどのように定められているかは確実に確認しておきましょう。

リースの設備があれば、リース契約書を準備しリース品のリストアップをしておくことも大切です。

ステップ2)居抜き売却のプロに連絡・相談

賃貸借契約に原状回復の記載がある場合、基本的に居抜きでの売却は認めていないことになります。こういった場合には家主との交渉が必要となります。

借主は立場が弱くなりがちで交渉が難しい場合も多く、専門家による合理的な説明によって交渉を進めることがスムーズな売却への近道です。

ステップ3)家主との交渉と承諾

家主と交渉し、居抜き売却の承諾をもらいます。

ステップ4)物件の現地確認と査定

現地を調査し造作物の状態などを確認します。

造作譲渡料は、現物の価値だけでなく立地や集客力も含めた物件の価値によって査定額が決まるのが一般的です。

ステップ5)購入希望者を募集開始

居抜き店舗購入者の募集を開始し買取り希望者を探します。

居抜き物件は、多くの場合は居抜きに限定して探している方が大半で需要が絞られます。そのため、居抜きの専門サイトのような売る側と求める側を結びつける募集力がある場所で募集すると、早く売却できる可能性が高まります。

ステップ6)売却条件の交渉

購入希望者が見つかったら、造作譲渡するものの範囲とその価格、不具合がある物品等があればどちらの負担でそれをどう取り扱うのかなどの交渉を行います。

多くの項目についての決め事や価格交渉などがあるため、居抜き店舗専門の業者が間に入ることでスムーズに進めることができます。

ステップ7 家主と新借主の合意

ここまでの段階では家主と新借主がまだ賃貸借についての合意をしていません。

新借主の情報を家主側に伝え合意を得ます。(面談を行う場合もあります。)

ステップ8 造作譲渡契約の締結

家主と新借主との間で合意が得られたことで、居抜きの売却も滞りなく進めることができる条件が整いました。この段階で、売却をする人と購入を希望する人で造作譲渡契約を結びます。

ステップ9 家主と旧借主が合意解約・新借主が家主と契約

居抜きの売却希望者である旧借主が賃貸借契約を合意解約、新借主が家主との間で新たな賃貸借契約を交わし物件を引き渡しを受けます。

飲食店を高く売却するコツは?

飲食店を売却しようとしたとき、できる限り高く売却したいものです。では、どういった点を工夫すれば高く売ることができるのでしょうか。

飲食店を居抜きとして高く売却するコツは、「こういう状態なら価格が下がる」と予想がつくことを考えてみると答えが見えてきます。価格が下る条件を減らしていけばいいのです。

次のような状態・条件だと、価格は下がってしまいます。

  • 床や壁、ダクトやグリストアップなどが汚れている
  • 厨房機器・店内設備が壊れている
  • 設備や機器のリース残価が大きく売却額で精算できない
  • 営業可能時間、看板の掲出場所、業態制限など営業について物件の制限が厳しい
  • 仕切りの場所・形状が悪く席数や動線が確保できていない

これらの要因を可能な限りなくすことで、状態にもよりますが、高く査定することが可能になります。

清掃や修理、良好な状態での維持は日頃から心がけておくことも大切です。それに加え、査定前にはさらに注意して行っておくことで、掲載写真の印象も良くなり買い手もつきやすくなります。

営業可能時間、看板の掲出場所、業態制限などの営業条件は、売りに出す前に家主と交渉し緩和しておくのも有効です。また、造作についてマイナスとなる部分がある場合、それほどコストがかからないのであれば、改修をして、その改修費を売却価格に上乗せすることもあり得ます。そうすることで、居抜き物件としての価値を上げ、買い手を付きやすくする方法もあります。

居抜きでの売却、造作譲渡は専門家に依頼するのがおすすめ

飲食店を売却する時、最もメリットの大きい方法が居抜きでの売却という選択です。しかし、これには家主の承諾、適正な価格の売却価格決定、購入希望者の募集、造作譲渡の契約の手続などが必要です。こういった手続きはノウハウと知識が必要であり、個人で行うには負担が大きく、最悪の場合、居抜きでの売却が認められないこともあります。居抜きでの売却を検討する場合は、専門家に相談し適切な判断と手順によって進めることが重要です。

飲食店の売却をお考えの際は、豊富なノウハウと買い手の募集力を持つ「居抜き市場」にぜひご相談ください。

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